普段、あまり友達と約束をしてこない小学5年の息子が、遊ぶ約束をしてきました。待ち合わせは13時半。急いで昼ごはんを食べておこづかい1,000円とみんなで食べるお菓子をリュックに詰めて出発。心配な気持ちと成長を喜ぶ気持ちで送り出したのですが… 予想外の結末が待っていました。
友達と遊ぶ約束をしてきた長男
夏休み直前の終業式の日。珍しくテンション高く帰ってきた息子。友達と遊ぶ約束をして帰ってきました。お昼ごはんを食べて、13時半に駅前で待ち合わせだそうです。その日はとても暑い日で、私は
「熱中症になったらダメだから気をつけてよ!」と言いながら一緒に昼食をとっていました。その最中も
「市民プールに行くかもしれないから水着も持っていこうかな」や
「何人誘ったのかな? みんなで食べられるようにお菓子いっぱい持って行ってもいい? お金はジュース買うかもだし、プール行くかもしれないから1,000円もってくわ」など息子の言葉から、胸の高鳴りが伝わってきます。
コロナ禍で友達と遊ぶ機会も少なかったことから、テンションが上がるのも当然。そんな息子を見て、いつの間にか私は心配な気持ちよりも、楽しんできてほしい気持ちが勝りました。
慣れない自転車で出発
「車が来たら自転車をおりてね! 怖いと思ったらおりたらいいからね」と、ずっと眠っていた自転車に乗る息子に伝えました。弟も行きたいと言いましたが、今日は一緒に見送ります。
楽しかったと言う息子の顔を想像しただけでも帰りが待ち遠しい! 私はそれから家事の続きをして夕飯の献立を考えていました。すると玄関の扉を開く音が。なんと数十分ほど前に遊びに行ったはずの息子がそこにいました。
何となく気まずそうな雰囲気。口数が多くない息子が忙しく話します。
「暑かったぁ。誰も来なかったわ。でも自転車は気持ちよかったし行ってよかった。待ち合わせ場所にツバメの巣があってお母さんが餌を運んでてさ。可愛かったー」そういいながら大きなリュックをおろします。
「あっ! お土産買ってきたよ。何がいいか分からんくてさ」と私にカフェオレを渡しました。弟にはカルピス。そして
「あっ! 自分の分を買うのを忘れとった。まぁいいや」と笑っていました。
“素直”は最強の武器
直後は、息子のプライドと寂しかった気持ちを隠すのに必死で話せなかった事を、夕飯時に話してくれました。
「待ってたけど、今日は暑いから〇〇くんのお母さんがダメって言ったと思う。約束破る子じゃないから」と友達を悪く言うセリフなんてゼロ。むしろ私が
「なんで来なかったんだろうね」と無神経な事を言った事を後悔。息子は道中で嬉しいことがあったようです。
それは“どうぞ”という気持ち。息子が
「横断歩道で自転車を降りて車を待っていたら、すぐに1台の車が止まってくれてどうぞと合図をしてくれたよ。そして待ち合わせ場所にいる時、自転車が倒れたら助けてくれた人もいた。優しい人と優しいツバメのお母さんにあえたから今日はホントに行ってよかった! 自転車も得意になったからこれからは沢山おつかいに行けるよ!」
ハッとしました。大人になると譲ってもらえた時の感動や感謝が薄れ、なんなら譲ってもらえないことに腹を立てたりして…。見上げたら一生懸命に子育てをするツバメがいたり、小さな幸せがたくさんある。素直な心は、幸せを見つけるのがとっても得意。忘れかけていた大切なことを思い出した暑い日の温かいエピソードです。この日から私は、コーヒーはブラックからカフェオレ派になりました。
(ファンファン福岡公式ライター / まぁこ)