これは私が石垣島で、人生初のダイビングを経験した時の話です。現地で見つけたツアー会社が「泳げない人! 初心者でも大歓迎!」とうたっていたので、どちらも満たしている私は、友人と申し込みました。しかし、優しいキャッチフレーズの先に過酷なダイビングが待っているなんて… 夢にも思っていませんでした。
初めてダイビングに挑戦
社会人1年目。私は沖縄の美しさに魅了され、頻繁に訪れていました。昔溺れた経験があるので、海に入るのは怖くてダイビングをした事はありませんでした。
でも石垣島へ行った時「こんなきれいな海の中を潜ってみたい!」という好奇心が芽生え、現地で「泳げない人! 初心者でも大歓迎!」と書いてある看板を見つけ、すぐに電話してツアーに申し込むことに。大好きな沖縄の海に潜れる事になり、期待は高まるばかりでした。
ツアー当日。参加者は私と友人2人だけ。ホテルから送迎車で海に向かい、潜水スポットまでは船で移動します。しかし「潜って大丈夫なのか?」と思うほど曇天の空に、波が高く荒れた海、慣れない船という組み合わせ。私達は、潜る前から酔ってしまいました。
インストラクターは、40代後半でガタイが良く、真っ黒に日焼けした「The海の男!」という風貌の男性。
「少し休みたい」と伝えた所
「船酔い? 潜れば大丈夫。いっぺん潜ってみ! ダメなら上がればOK」と言われ、無理と言ったほうが良いのは分かっているのに、つい反射的に
「出来ます! やらせて下さい」と言ってしまいました。
ハンドサインが伝わらない!
気分が優れないまま、私達は海の中でのハンドサインを学びました。
「指示はホワイトボードで出します」とインストラクターから言われ、説明は10分程と短く終わり
「まぁ習うより慣れろだ」と言われ、深い海に入ることに。
入ってみると、海の中は陸から見た時と全く違う景色。隣を泳ぐ魚に、たくさんの珊瑚… 広がる景色に感動しました。
しかし初心者なのに30分ほど連続で潜ることになり、30分も泳いだことがない私は、ボンベが持つのかという不安や、以前溺れた事を思い出して急に怖くなってきました。そこで
「海面に出たい」という意味のハンドサインを、習った通り「親指を立てグー」で伝えました。すると、インストラクターはハッとした顔をします。
「伝わった!」と思っていたら、ニコニコして
「OK」と手で丸を作り、何やらホワイトボードに書いています。テッテレー! という効果音が聞こえてきそうな表情で、ホワイトボードを出してくれたので見ると「カクレクマノミ」と書かれていました。下を見ると確かに沢山のカクレクマノミが…。
開いた口が塞がらないとはまさにこの事。私が魚を見つけてテンションが上がったと勘違いしたのか… 真相は今も闇の中ですが、私は恐怖心の中でホワイトボードを見つめてポカンとするしかありませんでした。
疲労困憊の思い出
ようやく1時間のツアーが終わり 、私は瀕死状態で陸に上がりました。行きは大はしゃぎだったのですが、帰りの船はもちろん無言。ホテルまでの車中で私は疲労で爆睡してしまいました。
インストラクターが
「よっぽど楽しかったのかな?」と嬉しそうに言っていたそうですが、事実は全く逆。ただただ疲れてもうダイビングは懲り懲り! 友人と笑い話にしました 。
後日、その会社の口コミを調べたところ、散々な書かれようでした。目の前の情報に飛びつくのではなく、ホームページや口コミ等の下調べがどれだけ大切か、身にしみた体験になりました。
(ファンファン福岡公式ライター / ハッピーポイフル)