博多出身の天才編曲家、大村雅朗さんが46歳で亡くなって25年。「大村雅朗25th メモリアルスーパーライブ」と銘打った公演が9月23日と24日の両日、博多区の福岡キャナルシティ劇場で行われました。
私こと久留仁譲二は、24日の方に単独で出かけてまいりました。以前にもこのブログで大村さんのことを書きましたが、あらためて抜きんでた実力を備えた音楽家だったと再認識したものでした。
このチケットを手に入れるのに、2回ローソンに行かねばならぬというのは,
ちとめんどうでした。手数料も入れて合計11,880円。今どきは1万円超えちゃうんですね。で、二日間のうち一日のみに絞りました。
キャナルシティ劇場、何年かぶりに来ました。前回は確か、春風亭昇太さんなどが出演された落語だったと思います。
入口に色鮮やかなお花が届いてます。
綺羅星のごたる出演メンバーです。1万円を超えるのもしかたないかな、と納得しました。
開演の20分前くらいに着席しました。普通に淡々と買ったチケットにしては中々見やすくて良い席です。たまたまですが、前が通路なので、前の席の人の頭が気になりません。ステージまでの距離は30メートルほどでしょうか。あんまり近すぎても見上げる感じになって首が痛くなったりするので、ちょうどいい位置です。
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ここから先の公演中は撮影できませんので、文章だけでご勘弁を。
まずは、ゲストDJの砂原良徳さんが、佐野元春や渡辺美里などの「大村編曲作品」を次々に披露します。
最初にかかったのは、天使のウインク。松田聖子です。ご当地福岡を意識したのかどうかはわかりません。代表曲の多くは大村さんの編曲ですから、自然に選ばれたのかもしれません。
やがて、司会のお二人が登場。ギタリストの佐橋佳幸さんと編曲家、プロデューサーでベーシストの亀田誠治さんです。今回の公演の音楽監督もお二方でされているようです。亀田さんがおしゃべりが上手なのはテレビで知ってましたが、佐橋さんは山下達郎のバックなどで黙ってギターを弾いてる姿しか見てなかったので、達者に司会進行をされるのを見て感心しました。
バンドのメンバーを一人ひとり紹介すると、佐橋亀田のお二人も楽器を持って、そこに加わります。
いよいよライブの一番手、大澤誉志幸の登場です。昔都久志会館で聴いて以来の生演奏です。のっけから一番有名な曲、「そして僕は途方に暮れる」をやってくれました。これぞ、大村雅朗アレンジ、少ない音数で(妙な表現ですが、)淡々と盛り上げます。亀田さんは、「この曲を聞いてアレンジャーになろうと思った」と話しました。たしかに、それまで聴いたことの無い不思議な「音世界」で画期的でした。
大澤作曲、大村編曲コンビ、沢田研二の「晴れのちブルーボーイ」もやってくれました。すごく斬新な曲で人気絶頂のジュリーだからこそ出来た冒険なんでしょう。会場盛り上がりました。
その後は、ごめんなさい、年のせいで順番を忘れたんですが、槇原敬之、川崎鷹也、南佳孝(この順番だった、かな)という有名どころが代わるがわるステージを飾ります。年齢的に、槇原さん、川崎さんは大村さんとのお仕事ないので、カバー曲を歌います。槇原「モニカ」、超貴重な絵面です。「ボクの曲ってあんまりカッコいいイメージないんですが、カッコいい吉川晃司さんの曲歌います」っていう前振りに妙に納得します。大江千里の「RAIN」という曲も歌いました。大江さんは、大村さんからかなり気に入られたみたいです。
川崎さんは今回の出演者では格別に若いですが、「SOMEDAY」(佐野元春)と「パープルタウン」(八神純子)をまさに、歌い上げてました。親御さんが聴いてて好きになるパターンですかね。今昔のアイドル歌謡が若い世代に受けたり、日本の1980年代頃のシティポップが海外で人気になっている、とか言いますし、音楽の魅力は時空を超えます。
大御所の南佳孝は、風変わりなアコースティックギターを抱えて現れ、自作の渋い「スタンダードナンバー」を披露しました。知りませんでしたが、角川映画の「メインテーマ」の同名主題歌として薬師丸ひろ子が歌った曲の歌詞を男性に変えたバージョンだそうです。凝った仕掛けです。多くの方が指摘しますが、大村作品はおおかた、音の数を極力少なめにして余白というか、間(ま)を作り出しているのが特徴です。スタンダードナンバーの場合、その間が緊張感を生み出している気がしました。
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さて、南佳孝や松田聖子などの大村雅朗さんが関わった曲でたびたび作詞を手がけてきた松本隆さんも公演のゲストです。はっぴいえんど時代はドラマーでしたが、今回はお話だけです。音楽プロデューサーで大澤誉志幸や沢田研二、吉川晃司などを手がけた木﨑賢治さんも加わっての、ミュージシャンも入ってのトークショーの豪華さ、といったら。
別々の人が歌詞と曲を作り、さらに編曲を違和感なく合わせて曲に仕上げるのは思いのほか難しいことのようですが、その点、松本大村コンビはあうんの呼吸でやりとり出来て相性が良かったそうです。
松本さんは、大村さんのルックスやファッションも褒めてて、どこかお店にいたときに、カッコいい男性二人連れが入ってきて、「マイケル・ジャクソンみたい」と思ったら、それが郷ひろみと大村さんだった、とも話してました。
最後にもう1回ステージ演奏になって、ラストは槇原敬之さんが「櫻の園」で締めくくりました。大村さんの没後楽譜が見つかり、松本さんたちが完成させ松田聖子さんが号泣しながら録音したという曲です。
まさに聖子で始まり、聖子で終わるライブでした。
全体的に落ち着いてじっくり楽しめるステージで、天国の大村さんも満足されていることでしょう。
私と同じような中高年のお客さんが多く、場内係の方の誘導に従って静かに席を立ちます。
後日スカパーで放送があるみたいです。私が行かなかった初日も、八神純子、ばんばひろふみ、渡辺美里、中川翔子とメジャーな顔ぶれが揃いました。一見の価値ありです。
ところで、このタバコを吸っている大村さんのイラストの感じ、
アメリカのミュージシャン、ドナルド・フェイゲンのレコードジャケットに感じが似てます。
フェイゲンさんの方が気難しい表情をしてますが。
帰りに、記念のグッズ、LPレコードを入れるバッグを3千円で買いました。この写真の色味が悪いですけど、黒ですね。少々高いし、うちにアナログレコード聴けるプレーヤー無いんですけど、とにかく記念にはなります。いつかプレーヤー買いたいなあ。昔持っていた大澤誉志幸の3枚のLP(全曲大村雅朗編曲)、人にあげちゃったことが悔やまれます。
福岡は有名人多く出してますが、日本の歌謡曲、J-POPを代表する編曲家が博多出身というのは、もっと自慢して良いことだと思います。
それでは、これにて失礼します。