昔、実家で飼っていた犬「こっこ」の話です。5年前に他界してしまいましたが、今から約10年前、私たち家族に奇跡を体験させてくれました。一体何が起きたのでしょうか。
飼い犬こっこ
今ではペットは室内飼育が主流ですが、10年前は外飼いも多く、特に私の地元は田舎だったため、外飼いが普通でした。
こっことは、地元紙の里親募集広告で出会いました。柴犬系の雑種で中型犬。生後半年ほどの時は、垂れ耳でベージュ色だったので、ラブラドールと間違われることもありました。以前も捨てられていた犬を飼っていたので、また犬を飼う機会があればと思って出会ったのが、こっこでした。
こっこも一緒に家族旅行
私達家族には、毎年行く海の別荘がありました。別荘といっても、一般的な別荘と違い八畳一間の小屋です。通称「海の家」は実家から車で約40分。こっこも一緒に行くのが恒例でした。
海の家は、海風が涼しく、エアコンいらず。こっこも外でくつろいでいました。別荘の前には歩道のない国道があり、国道の奥は山なので、夜は室内で眠っていました。
でも日中は、こっこに留守番してもらう時もあります。海の家のテラスは風通しがいいので、テラス下に専用のスペースを作成。テラスの足に、長めの太いリードでくくっていました。
海の家から行方不明に…
こっこが行方不明になったのは、私が家を出て社会人になってからでした。
両親は、こっこを留守番させて、海の家から車で約30分の温泉へ行ったそうです。帰ってくると、リードごといなかったとのこと。当時両親は共働きでしたが、次の日が休みだった為、泊まりで捜索したそうです。それでも見つからず、エサや水を置いて、泣く泣く帰宅。その後も、両親は何度も海の家に足を運んでこっこを探しました。
最悪の事態も考えました。理由は、「リードがついたまま」だということ。次に、「別荘から実家までは危険な道が続く」こと。道中の半分は、歩道が無く、海と隣同士の国道です。道路から海はほとんど崖で、道路の反対側は、有刺鉄線がはりめぐらされ、サルが出没する山でした。
そのため、何が起こってもおかしくなかったのです…。
奇跡が起こった
しばらく経ったある日、私は旧友と久しぶりに会って食事をしながら、こっこがいなくなった話をしていると…。
母から電話がきて
「帰ってきた!!」と、私が驚かないように落ち着いたトーンで教えてくれました。次の日は仕事が休みで、実家へは車で2時間の距離だったため、すぐに帰省することに。
こっこは、お向かいさんが発見してくれました。玄関前にちょこんと座り、リードをつけたままだったのを不思議に思って、連れてきてくれたそうです。
少しやせて疲れていて、足と顔に深い傷があったこっこ。獣医からは
「ケガはたいしたことなく、他にも異常はナシ」と言われました。
実家に着いた私がこっこの元へ向かうと、いっぱいしっぽを振ってくれました。両親は、忙しい中何度も探しに行っていたのでやつれた様子…。私が帰省したのは、こっこに早く会う為でしたが、両親のことも心配だったからです。
ペットとお出かけするときは
実家の近くには、橋と踏切が2カ所ずつあるのですが、こっこは橋や踏切が大嫌い。よく乗り越えたなと思っています。苦手を克服して帰ってきたこっこ。行き慣れた場所の環境や匂いを覚えていて、たくさんの奇跡に出会ったんでしょうね。
犬を飼っている人には、このような不安な思いをしてほしくありません。今一度、脱走対策について考えるきっかけになればと思います。
(ファンファン福岡公式ライター / おうみ)