西鉄平尾駅から徒歩約18分。素材選びにこだわったパンを作ることで評判のベーカリー「トランテトロワ」(福岡市中央区)を訪れました。
浄水地区の住宅街で営まれている「トランテトロワ」。入り口の看板には”国産オーガニック小麦のパン専門店”の文字が。いったいどんなパンと出合えるでしょうか。
コンクリート打ちっぱなしのモダンな建物の1階。グレーの外壁にスカイブルーの店のロゴが映えます。
店内には国産オーガニック小麦や食品ロスについて書かれたボードがあります。毎月ボランティアで「フードバンク福岡」を通し「こども食堂」他にパンを届けているといいます。
店主の前田真吾さんは元パティシエ。福岡市内のパン店で働いた後、東京の有名店「パンスケープ」「シニフィアン シニフェ」での経験を経て、2018年10月にこの店をオープン。その後、試行錯誤があり、19年6月に一旦休業。同年8月に新たなコンセプトで再オープンしました。 「開店当初は総菜パンや菓子パンなどを含めて約30種類を焼いてましたが、どうしても売れ残りやロスが出てしまう。”もったいない” のが嫌だったんです」。コンセプトを見直し、安心安全なパンを求める人に適切な量が届くよう、工夫したといいます。
「僕が食べてみて、良いと思える素材を選んでいます。小麦は九州や北海道の有機農家さんが育てた物です」。パンを買う人には、小麦の産地と生産者の名前をプリントした小さな紙が渡されます。読むと、自分が食べるパンの素材について詳しく知ることができます。 材料へのこだわりは他にも。酵母は自家製オーガニック酵母のルヴァン種。卵は伊藤ファーム(福岡県うきは市)の有精卵。パン生地には長崎県平戸市で作られた「釜炊き塩」が使われています。
パンは全部で5種類。前日から低温長時間発酵させた生地を、強火でしっかり焼き上げます。焼き上がったパンは天然酵母の働きで保存性が高く、冷蔵庫で2、3週間保存できるといいます。日持ちが良いのはうれしいですね。
看板人気の「カンパーニュ 」(税別 2,800円)は、直径約30cm、高さ約10cmのビッグサイズ! 北海道産の小麦に北海道産ライ麦を20%配合した、もっちりと引きのある生地で程よく酸味があり、高温でじっくり焼くことで表面の糖分がカラメル化し風味が増すといいます。1/2サイズ(1,400円)、1/4サイズ(700円)は目の前でカットして渡されます。 数日たつと熟成されると聞き、購入して2、3日置いたところ、酸味が落ち着き、まろやかな味わいに変化し食べやすくなりました。
店主の自信作「ブラン」(1,400円、1/2サイズ700円)は、小麦と水と塩だけで作ったパン。5~7分づきの小麦を使っています。クセが少なくチーズやハムとの相性が抜群。モチモチした中身、歯応えのある表面、どちらも味わい深く、後を引くおいしさです。
季節限定のパンは「ブラン」の生地に、オーガニックのナッツ、ドライフルーツを混ぜて焼かれます。この日は「ブルーベリーとクルミ」(1,800円、1/2サイズ900円)が並んでいました。女性客から評判が高い同品は、ブルーベリーの甘酸っぱさ、大粒のクルミの香ばしさが味のアクセント。9月30日頃まで限定販売されます。10月から登場する「イチジク」も気になりますね。
「全粒粉100%食パン」(800円)は、鹿児島県産「ミナミノカオリ」全粒粉100%で食物繊維が豊富です。ザックリとした歯応え。石臼でひき立ての新鮮な小麦の香りが広がります。 「パン ブリオッシュ」(1,100円)には有機豆乳と有機砂糖、発酵バター、卵が使われています。本場フランススタイルのしっかりとした食感。1.5cm位の厚さにスライスするのが店主のおすすめです。トースターで軽く焼くと外側がサクッとしてスコーンのような味わいが楽しめます。
曜日限定で焼かれるパンも見逃せません。毎月第1、3金曜と土曜限定の「ライ麦100%食パン」(1,300円)はずっしり重く、酸味がきいた一品。「低グルテンなので血糖値が高い人にもおすすめ」と話します。このパンは来店したことがある人に限り電話予約が可能。同店ホームページ内の通信販売でも購入できます。 「安心」をテーマに、原材料にこだわる同店。九州だけでなく関東や関西など全国にファンが多いのもうなずけます。確かな素材のパンを探している人に、教えたくなるお店です。
トランテ トロワ
住所:福岡市中央区平丘町1-5 電話:092-526-0333 営業:12:00~17:00 月曜・火曜休