通勤や通学や犬の散歩など、毎朝同じ道で同じ人とすれ違い、なんとなく顔見知りになることありますよね。夫が朝の通勤で知り合った人がいるのですが、彼女に関する驚きの体験談をお話します。
毎朝の通勤で夫が目にする様々な人たち
毎朝7時前には家を出て、40分以上かけてマイカー通勤する夫。同じ時間帯に同じ道を走っていると、自然と同じ顔ぶれを見るのだと言います。坂道をランニングする若い男性。ゆっくり犬の散歩をする初老の女性。猛スピードで走り去る白いスポーツカー。
そんな中、夫が家を出てすぐの信号で、ほぼ毎朝、前後に並ぶ水色の小型外車があるそうです。その車は、夫の勤め先の近くまでずっと同じ方向に進むので、
「俺の職場近くで働く人が、近所に住んでいるらしい」と、夫から世間話程度に聞いていました。
いったい誰? いきなり話しかけてきた見知らぬ女性
ある朝。夫は通勤途中、時々寄るコンビニでコーヒーを買い、車に戻りかけました。
運転席のドアに手をかけたとき、後ろから
「おはようございます」の声。振り向くと、見覚えのない人。夫によれば、自分よりひと回り近く年上に見える、身なりの整った上品な年配女性だったそうです。
「毎日遠くまで出勤されているんですね。お互い様ですけれど」誰だっけ? いぶかる夫を気にする様子もなく、彼女はにこやかに会釈しながら、自分の車のほうに戻っていきました。あっ! あの水色の小型外車!
その夜、帰宅した夫から話を聞いて、
「へえ。わざわざ話しかけてくるなんて、人懐っこい人だね」
「だろ。びっくりした。水色の車がなかったら、誰なのか謎で終わるところだった」その日の夕食は、彼女の話題で盛り上がりました。
挨拶程度の顔見知りなはずが…
その後、同じコンビニで時々会うと挨拶を交わすようになった夫と女性。彼女は、夫の勤務先の近くにある美容系隠れ家サロンのオーナーさんだそう。そしてある初夏の朝。アイスコーヒーを手にコンビニから出た夫は、女性から小さな包みを渡されたのです。
「これから暑くなりますから、お体を大切に」の言葉とともに。
中身は藍色の扇子。シンプルだけど上品で、念のためインターネットで調べるといいお値段。名前も知らない人が、なぜ突然そのようなものを…。夫婦で思案した挙句、上質なハンドタオルをお返しに用意しました。これで終わると思ったのに、女性はその後も、わざわざ買ったものではないようですが、何かと夫に渡すのです。
「戴き物で余って困るので…」と、ドレッシングやお菓子、サロン関係の品らしい高級シャンプーリンスの試供品など。夫婦で相談し、その後いっさいのお返しをやめましたが、女性からの品物は現在までずっと続いています。
女性が独身なのかどうかが、実を言うと私には最大の関心事。ですが夫に聞いても、興味ないし聞くのも変だし、とのんきな返事。
「俺がコンビニでコーヒーしか買わんから小遣いが少ないと思われて、処分に困る余り物をくれるのかな~? 高級車とは程遠い車に乗っているしな」そう言われれば、そんな気もする。テレビの前にだらしなく寝そべる童顔の夫を見ながら、恋愛がらみはないな。と結論付けた私でした。
そうはいっても外車に乗り、美容サロンを経営する上品な年配女性。その家族構成も、名前すら知らないまま、時々コンビニで挨拶して色々な品物を一方的に渡される関係。それを不思議というより、なんだか怖くも感じるのは私だけでしょうか…!?
(ファンファン福岡公式ライター/山ナオミ)