福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。24回目は、イムズ(福岡市中央区)にある「紀伊國屋書店 天神イムズ店」の中島もえさんを訪ねました。読書の秋、どんな本を紹介してもらえるのでしょうか。その他、この時期に読みたい9冊も紹介します!
九州のコンビニで繰り広げられるほっこりオムニバスストーリー
「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」 町田そのこ
―福岡市・天神のイムズ4階にある紀伊國屋書店にやってきました。今回はどんな本ですか? はい、8月に発売されたばかりの文庫本「コンビニ兄弟―テンダネス門司港こがね村店―」(新潮社、670円+税)です。オムニバス形式の短編集で、九州だけに展開するコンビニチェーン「テンダネス」を舞台に、さまざまな人生が描かれています。どちらかというとライトノベル寄りの書籍で、寝る前や移動中などに気軽に読めると思いますよ。 ―タイトルの通り、舞台は門司港、北九州ですか? そうなんです。読んでいると「お、ここは」という北九州市の地名が出てきて楽しいですよ。作者の町田そのこさんは、福岡県出身なんです。福岡の街の描写が細かいので、情景が浮かびやすいと思います。
―オムニバスの中で、中島さんがイチオシの章はありますか? 私は第3話の「メランコリックないちごパフェ」が大好きです。主人公の女子中学生が、日々の「なんだかなあ」を抱えながら「テンダネス」にスイーツを買いに訪れ、そこで、クラスで浮いている存在の女子生徒と出会います。それが自分を改めて見返すきっかけになるのですが、その成長にほっこりします。 ―読後感が良いということですか? そうですね、どの短編も気持ちの良い終わり方で、元気がもらえます。キャラクターがみんなとっても魅力的ですよ! ―中島さんは文庫本を担当されているんですか? いいえ(笑)。私は実用書や芸術書、語学などを担当しています。この本は、当店スタッフから勧められて読みました。文芸書担当の中では結構評判だったらしく、売れ行きもいいようです。表紙の雰囲気から、若い人を中心に人気が広まっているようですが、老若男女にオススメです!
―先ほどから見えている、その本も気になるのですが…。 「福岡のトリセツ 地図で読み解く初耳秘話」(昭文社、1,400円+税)です! 実はどちらを紹介するか迷ったんです。福岡県の地形や歴史、文化がオールカラー写真付きで説明されていて、つい人に教えたくなる雑学がたくさん載っているんですよ。
―タイトルだけだと地図帳のような内容かと思いましたが、読み物としてすごく面白そうですね! 表紙だけ見るとそうですよね(笑)。結構人気で、ビジネスで福岡を訪れる県外の人も手に取っているようです。「歴史・文化」の棚のほか、タウン誌のところにも置いているので、気軽に皆さん読んでくれているみたいですね。 ―たくさんの人に福岡の面白いところを、知ってほしいですね! ありがとうございました。
続いて、この秋におすすめの9冊を紹介します!
「マンガでかんたん! 酒井式 腰痛解消ストレッチ 」【学研プラス】
酒井慎太郎/著、市川智茂/漫画 定価:1,210円
ベストセラー「脊柱管狭窄(きょうさく)症は自分で治せる!」シリーズでおなじみの酒井慎太郎先生が考案した、腰痛解消のための特効ストレッチの数々を、マンガで分かりやすく伝授します。自宅で気軽にできるセルフケア術をはじめ、日常生活の工夫で腰痛を防ぐ方法なども紹介しています。
「今はちょっと、ついてないだけ」【光文社】
伊吹有喜/著 定価:682円
バブル期の頃、自然写真家としてもてはやされた立花浩樹。ブームが過ぎると借金だけが残り、それを返すうちに40代に。カメラも捨て、全てを失った立花が、ある少女からの撮影依頼で東京へ行くことになり―。「ミッドナイト・バス」「彼方(かなた)の友へ」「雲を紡ぐ」の著者が描く、人生の敗者復活戦!
「したたか 総理大臣・菅義偉の野望と人生」【講談社】
松田賢弥/著 定価:924円
第99代内閣総理大臣・菅義偉を知る一冊。田から出てきた若者は、裸一貫からいかにして最高権力の座を射止めたのでしょうか。生い立ちから、安倍総理の右腕として「影の総理」ともいわれた官房長官時代までを、菅本人へのインタビューや地元・永田町関係者らの徹底取材を基に描く人物評伝。
『世界で最も危険な男 「トランプ家の暗部」を姪が告発』【小学館】
メアリー・トランプ/著、草野香、菊池由美、内藤典子、森沢くみ子、芝瑞紀、酒井章文/訳 定価:2,420円
11月に再選を狙うトランプ大統領。その姪(めい)で臨床心理学者のメアリー氏が「おじがどのように世界の安全や経済、社会の仕組みを脅かす男になったか」、一族の闇に光を当てた衝撃の告発本。家族だけが知る驚愕(きょうがく)の事実が続々と! 大統領は激怒し出版差止訴訟を起こしましたが、裁判所は出版を許可。全米190万部の大ベストセラーが緊急出版されました!
「いつかきっと笑顔になれる~捨て犬・未来15歳~」【青春出版社】
今西乃子/著、浜田一男/写真 定価:1,430円
シリーズ累計40万部ヒットの「捨て犬・未来」初のフォトエッセーが登場! 人に捨てられた子犬「未来」が、再び人を信じて人の心を救う実話です。全国の小中学校や施設を巡り、多くの子どもに「命の大切さ」を伝える活動をしている未来。本書では、愛くるしい未来の写真とともに、これまで触れ合ってきた子どもたちとの感動のエピソードを届けます。
「1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている 猫みたいに楽に生きる5つのステップ」【双葉社】
鹿目将至、鳥居りんこ/著 定価:1,210円
コロナ禍における外出自粛の日々。そんな中、問題となっているのが「1日中家にこもって、誰とも言葉を交わさない人」の鬱(うつ)だといいます。現役精神科医である著者や仲間の精神科医も実践している「1日誰とも話さなくても、猫みたいに楽しく生きられる方法」を紹介する本書。少しでも楽に生きましょう。
「中野京子の西洋奇譚」【中央公論新社】
中野京子/著 定価:1,700円
ほうきにまたがり飛翔する魔女、姿を消した子どもたち、悪魔に憑(つ)かれた修道女…。多くの人が知る伝承に隠された、恐ろしい真実とは? 科学では説明できない出来事や、人々が語り継がずにいられなかった不思議な話。歴史奇譚(きたん)の魅力に触れたら、あなたはもう、戻れません。稀代の語り手・中野京子が贈る、21の「怖い話」。
「阪神VS巨人」【潮出版社】
橘木俊詔/著 定価:880円
なぜファンは「阪神VS巨人」に熱狂するのでしょう? 経済学者が独自の視点から”伝統の一戦”を徹底分析します。球団設立以来の歴史、対戦成績、有名選手列伝、球団経営形態と親会社、大阪と東京の県民性…。「阪神VS巨人」は単なる野球の試合ではなく「大阪VS東京」「関西VS関東」の代理戦争でした。
「農家が教える 手づくり加工・保存の知恵と技」【農文協】
農文協/編 定価:1,980円
手間のかからない干し野菜、4カ月長持ちする漬物、ふわっふわ草もち、前日からの浸水がいらないおこわなど手づくり加工食品、保存食の作り方を全国の農家70人が手ほどき。75素材95のレシピが収録されています。便利な加工器具も。オールカラー。
いかがでしたか? 秋の夜長は読書時間でリラックスしたいですね。次回もお楽しみに!