「竜二」「チ・ン・ピ・ラ」などのヒット作で知られる福岡市出身の映画監督、川島透さんが作・演出を手がける78(ななはち)-spirit performance#4「無用の人」の公演が11月19日(土)と20日(日)、ぽんプラザホール(福岡市博多区)で開かれます。12年ほど前から福岡市に暮らす川島さんが、演劇ユニット「78-spirit」(同市)代表で俳優の手島曜さんに口説き落とされて実現する初舞台作品。これから稽古本番という10月17日、川島さん、手島さん、女優の立石義江さん、ともなが舞さんが記者会見で顔をそろえ、作品立ち上げの経緯や見どころなどを話しました。
説得10年、3人が登場する一人(?)芝居
本公演の発端は、手島さんが「尊敬する川島監督の作品にじかに触れたいと思った」こと。10年来の飲み友達でもある手島さんが説得を重ね、今回の実現に至ったと明かします。
「無用の人」は、ヤクザを辞めて「演劇による更生プログラム」を受けることになった男の物語。その男は渡された台本を読み演じていくうちに、本当の自分なのか、演じている人物なのか、分からなくなってしまい、誰かに自分の人生をのぞかれているような感覚から狂気に駆られていくという展開です。
笑いあり、歌あり、ダンスありの一人芝居なのに、登場人物は3人。手島さんが「俺」、立石さんは「おまえ」、ともながさんが「あんた」を演じます。
「ファンタジーではないけれど、もう一人の自分が2人いるみたいな感じです。もともとエンターテインメント指向のところがあって、でもあまり軽くて明るいエンタメは苦手なので、多少ひねりのあるエンタメになっていると思います」と川島さん。
本作のプロデューサーでもある手島さんは、一番先に台本を手にして「想像していたよりも面白く、“川島透作品だな”と、ちょっと震えながら読みました」と話します。
立石さんは台本を読んで「川島監督は映像の人なんだなと思うような場面が随所にあり、それが舞台できれいに見えたらいいなと思っています」。
ともながさんは「(主人公は)ヤクザなのにキュートなイメージでした。川島監督は立石さんのことも私のこともよく知ってくれているので、当て書きのような感じで書かれていて、愛情をすごく感じました」
「やったことないことをやるのが、わりと好きなんだ」(川島さん)
稽古はこれからが本番。出演の3人に心境を尋ねました。
立石さん「稽古場では、今までやってきたことをとりあえず全部出していこうと思っています。ここから先がむしろ楽しみです」
ともながさん「川島監督が書いてよかった、こいつらとやれて良かったと思えるような作品にしていきたいと思います」
手島さん「稽古中は、まだびびっている感じです(笑)。でも、このびびっている自分を超えたときに、突き抜けた雰囲気を見せることができるんじゃないかなと思っていて、闘っているところです」
73歳の川島さんは「もっと年齢にふさわしい風格とか、物の考え方とか、表現の仕方とか、意識しなきゃいけないと思っている」と言いつつ、今回初めての舞台作品に挑みます。「わりと好きなんですよ、やったことないことをやるのは。映画作品も少ないおかげで、映画をやるときはいつも新人みたいな感じなんです。初舞台作品、本当に楽しんでもらえるかなという思いは強いです」
“映画監督・川島透”が手がける福岡発のオリジナル作品に期待は膨らみます。
78-spirit performance#4「無用の人」
日時:11月19日(土)14:30、19:00
20日(日)13:00、17:30(アフタートーク)
場所:ぽんプラザホール(福岡市博多区祇園町8ー3 4階)
料金:前売り3,800円、当日4,000円、U23 2,300円(要身分証提示) ※税込み
問い合わせ:78-spirit
Eメール:nanahachi.sp@gmail.com