子どもは好奇心旺盛。特に乳幼児は家の中でも目が離せません。1歳半の息子がいるわが家でも、事故が起こらないように気を付けていたはずだったのですが…。ただならぬ泣き声に駆け付けると、息子の口が接着剤まみれに! 救急車で病院へ搬送された出来事についてお話しします。
瞬間接着剤を飲み込んで泣きじゃくる息子!
穏やかに晴れていた休日のことでした。その日は、古くなった洗濯機を業者に引き取ってもらうことになっていて、私たち夫婦は洗面所で作業をしていました。
するとリビングから息子の泣き声が。様子を見にいくと、息子の口や襟元が濡れています。
「よだれ?」と思いながら触れた液体は、ベタッとしていました。
そして息子の足元に転がっているチューブを目にした私は、凍りつきました。その液体は、夫がスマホケースを修理するために使っていた瞬間接着剤だったのです!
ふたは閉まっていたものの、アルミチューブには穴が空いていました。息子が生えそろった歯でかみちぎり、液が漏れ出してしまったようです。慌てて口の中を確認すると、歯や歯茎に付いた接着剤はすでに固まりかけています。
「救急車呼んで! 救急車! 接着剤を飲んでる!」
間の悪いことに、夫はちょうど洗濯機を引き取りに来た業者さんに応対中。業者さんもあぜんとしていましたが、気にする余裕などありません。
早くしないと、接着剤が喉で固まって窒息してしまう! 恐ろしい想像にパニック状態の私は、泣きじゃくる息子を抱きかかえ、水道水で口の中や周りをバシャバシャと洗い流しました。しかし、接着剤はこすってもなかなかとれません。
夫が「119」に電話をかけている間、私は息子を抱いてマンションのエントランスへ。息子は泣いていますが、まだ息はできています。救急車が来るまでの時間がとても長く感じられました。
責任を押し付け合って、救急車の中で夫婦げんか
まもなく救急車がやってきました。
救急隊員に事情を説明すると、車内で息子の口の中を確認したり、脈を測ったりと応急処置をしてくれました。
「飲み込んだ接着剤って、持ってきてます?」
「あ、はい」
ラベルに書かれた文字がよだれでにじんで読みにくそうでしたが、隊員さんは接着剤の成分を確認していました。
洗濯機を引き渡した夫も合流し、救急車はサイレンを鳴らして走りだしました。その頃には息子も泣きやみ、具合が悪そうな様子はありません。
ほっとするとともに、目の前に座っている夫に対して、猛烈な怒りが湧いてきました。
「何で手が届くところに置いとくわけ? 使い終わったらしまっときなよ!」
「それは悪かったけど、お前だって子どもから目を離してたんだろ?」
自分のうっかりのせいでこんなことになったのに。言い返してくる夫に、怒り心頭です。人目もはばからずののしっていると、そばにいた救急隊員さんがおずおずと、
「あの、うちの子も誤飲したことがありました。慌てますよね…」とフォローをしてくれました。それで私はようやく、落ち着きを取り戻したのでした。
総合病院に搬送された息子の容体はその後急変することもなく、ひと通りの検査を終えた数時間後には、無事に帰宅することができました。
夫いわく、「ラベルに『瞬間接着剤』って書いてあったけど、自分が作業したときにも、部品がなかなかくっつかなかった」。接着力が弱めだったのが幸いしたのかもしれません。接着剤のこびりついたシャツが1着、駄目になっただけで済みました。
子育てに慣れてきて気の緩んでいた時期に、夫婦2人とも身の引き締まるような出来事でした。
そうそう、総合病院の医師も、接着剤のラベルを見て成分を確認していました。とっさにチューブをポケットに入れてきて本当によかったです。
事故が起こるとパニックになって右往左往してしまいがちですが、万が一誤飲で医療機関へ行くことになった場合は、飲み込んだ物と同じ物や、その容器を持っていくと役立つと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/桐谷きこり)