九州の静かな町で暮らす17 歳の少女・鈴芽(すずめ)は、廃墟を訪ねる旅の青年・宗像草太に出会う。草太の後を追う鈴芽が山中の廃墟で見つけたのは災いが溢れ出る扉だった。日本各地を舞台に“扉”を閉めていく鈴芽の旅が始まる…。
〝巨大な災いに人はどう立ち向かうか〟を描いた2016年の「君の名は。」、2019年の「天気の子」に続く完結編とも言える新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」を、デビュー作「ほしのこえ」から20年来のファンであるガム太郎がひと足早く観てきました! 見どころや感想をネタバレ無しで紹介します。
その1:さらに進化した美術に驚愕
「背景がもう一人の主役」と言われるほど美しい新海作品。今作ではこれまで以上に美しく、これまで以上にリアルな画面が展開されます。躍動感あふれる移動シーンなど大胆なカメラワークも見事です!特に現実を基本とした世界にデフォルメされたファンタジー的キャラクターを違和感なく存在させる描写力には驚嘆。日常の描写もこれでもかと言うくらい丁寧で、食事のシーンでは久々にお腹が鳴るという体験をしました!
その2:笑い、泣き、叫ぶ! 血が通った登場人物たち
主人公・鈴芽を取り巻く人々が人間的魅力に溢れていました。成長を見守ってくれる人の厳しさ、旅先で出逢う人々の優しさ…皆の想いがあるから、これまでの新海作品のように鈴芽の心がモノローグで語られることはありません。なにより行動する主人公として輝いていました。1700人を超えるオーディションから新海監督自ら探し出した鈴芽を演じる原菜乃華さんをはじめとする声優陣の演技も見事でした。
その3:スペクタクル映画としての凄さ
災害をテーマとしている本作、その描写は凄いです。まるで自分がその場を体験しているような迫力! 観客一人ひとりに自分の問題と思ってもらいたい…新海監督はそんな覚悟で作られたのではないかと思います。
その4:見事なエンターテインメント
ビジュアルや音楽も含め様々な映画的記憶が分解され高レベルに再結晶! 間違いなく日本アニメの到達点の一つです。常に抒情詩と叙事詩の間で揺れる新海作品ですが、そのどちらもが絶妙のバランスで表現された本作は年齢や性別に関わらず誰が見ても楽しめる見事なエンターテインメント作品になっていました。新海監督が新しいステージに登ったんだなと感じさせてくれる本作、公開されたらまた劇場に足を運ぼうと思っています。
最後に…
実は…長髪・二枚目が苦手のガム太郎は観る前には草太が好きになれるか不安だったのですが、全然大丈夫でした! その理由は…ぜひ作品で確かめてくださいね♪
「すずめの戸締まり」11月11日(金)全国ロードショーです!