働き方が見直されている今、女性にとっても仕事がしやすい環境も、少しずつではありますが整いつつあると思います。しかし私は思うのです。「女性」という枠の中に果たして妊婦は入っているのかと。それを痛感せざるを得ない妊娠中の就活経験です。
女性に寄り添う社会は結局のところ、ただの理想?
仕事人間だった私は人や社会との繋がりに楽しさを感じていました。産後少しでも早い社会復帰を望んでいた私。しかし引越しを機に以前の職場は退職せざるを得なくなりました。社員同士仲もよく働きやすい職場だっただけに少し落ち込みましたが、環境も変わり、心機一転就活がんばろう、と意気込んでいたところ…。なんと早々に第2子の妊娠が発覚。
第2子の妊娠がわかったのは当時長男がまだ6カ月。嬉しい気持ちと同時に「また妊婦!?」という現実と、これまでの計画が音を立てて崩れていくことにショックを受けたのもまた事実でした。
時間と共に身動きがとりづらい状況になっていくことは、最初の妊娠で十分に学びました。しかし当然働かないわけにもいかず、パートや短期に派遣、とにかく手あたり次第探して応募をするも、条件が合致する仕事はそう簡単に見つかりません。
面接までこぎつけても「子育て」「出産」のワードを出すと、なんとなく空気が変わるのを嫌でも伝わってきます。私が仕事を探し始めたのが、出産予定まで6カ月を切った中途半端な時期だったのもきっとあるのでしょう。
しかし「主婦の方大歓迎!」「妊婦さんでも活躍できる仕事」などと謳っている案件ですら、現実はそうスムーズに事は運びませんでした。
誰にとっての改革なのか…
コロナ禍で在宅ワークを推奨し、なおかつ女性の雇用を増やすという世の中の取り組みと、実際に目の前にしている現実とのギャップにやきもきしていました。働き方改革なんて言って、現実は不利な立場に置かれているだけ、と焦る気持ちも相まってネガティブになっていました。
前職が日本語教師だった私は、日本語と英語の在宅講師をメインに探していましたが、ここにも弊害が。在宅とは言え、クラスを受け持つとなると、決まった日の決まった時間の確保が必要になってきます。妊娠中というだけであれば大した問題ではありません。しかし夫が不在の日中、まだ一歳にならない長男の面倒を見ながらの環境では、現実的ではありません。
そこで、いずれ独立したいと考えていた私は、これを機にフリーランスとして収入が得られるなら、産後でも将来的に安心要素になるのでは、と思考を切り替えました。それからはフリーランスになるための参考書を買ったり、クラウドソーシングサイトに登録したりと、とにかくできることから少しずつ行動に移していきました。
とはいうものの、もちろん最初から仕事が来るはずもなく、自ら探さなければなりません。ある日サイトを見ていると、文章のリライトの案件が募集されており、ダメもとで提案してみたところ、思いがけず採用されました。不安はあったものの、これまで学生の添削を仕事でしてきたので、これならいけるかな… と正直いまひとつ自信がもてないまま仕事に臨んだのですが、クライアントから大変喜ばれる結果となったのです。
思い通りにいかず状況が変わらない日々が続いていた時は「どうせこんなもん。結局のところ女性は妊娠、出産となると立場的に不利になる」と、かなりやさぐれていました。しかしこうして時代に合った働き方の改善を求められ、一所懸命変化についていこうとしている企業側の気持ちも、正直理解できます。色々と考えていく中で、働き方改革は自分でしなければいけないという結論に至りました。
会社と違い時間に縛りのない在宅フリーランスであれば、これまで難しかった育児、家事、学習、仕事の両立などの問題が緩和されていっていることにも気が付きました。もちろん大変な面も多いです。今でも仕事が軌道に乗ったわけではないものの、少しずつではありますが仕事が入ってきています。今となってみれば目の前の課題も、今後求められる私なりの働き方のひとつなのかな、と思えるようになりました。
(ファンファン福岡公式ライター/Mia)