【ワインセミナー体験】イタリア大使館が福岡で初開催! キャンティワインの魅力に触れる♪

 イタリアのトスカーナ地方を代表するワイン「キャンティワイン」。その歴史や特徴を知り、7種類の赤ワインを試飲する「キャンティD.O.C.G. マスタークラス」(主催:キャンティワイン協会、イタリア大使館貿易促進部)が11月28日、ソラリア西鉄ホール福岡(福岡市中央区)で開かれました。福岡では初開催というセミナーに興味をそそられ、参加してきました。キャンティワインアンバサダーのルカ・アルベスさんが歴史や特徴を解説し、ワインジャーナリストの宮嶋勲さんが通訳しながら試飲ワインの印象などを伝えました。

目次

イタリア・トスカーナ地方で造られるキャンティワイン

福岡市内の飲食店やワイン愛好家が参加

 イタリアワインの中で最も有名なワインの種類の一つが、トスカーナ地方で造られるキャンティ。キャンティの語源は諸説あり、「翼の羽ばたき」や「鳴き声と角の音」の意味があるとか、現在のイタリア中部を中心に独自の文化を展開した先住民族エトルリア人の一般的な名前「Clante」から取ったともいわれます。

 キャンティワインはブドウの種類「サンジョヴェーゼ」を少なくとも70%使用しているのが特徴。残りの30%に使ってよい品種は100種類以上あり、10%までは白ブドウも使用でき、カベルネソービニヨンのように香りなどが強い品種は15%までと定められています。

ルーツは紀元前、メディチ家やリカーゾリ男爵が影響を与える

イタリア・トスカーナ地方の7つの生産地で造られるキャンティワイン

 キャンティワインのルーツは紀元前にまでさかのぼるとのこと。「トスカーナ地方があるイタリア中部のワイン造りは、古代ギリシャ人から製法を受け継いだエトルリア人がより洗練させました。ルネサンス期になると、トスカーナを支配していたメディチ家がワイン造りを権力の象徴として位置づけるようになりました」(アルベスさん)

 その後、キャンティワインに大きな影響を与えたといわれる人物が、トスカーナ大公コジモ3世とベッティーノ・リカーゾリ男爵です。コジモ3世は1716年、世界で最初にワインの原産地保護の境界線を決め、またその頃に出回るようになったワインの偽物の取り締まりにも力を入れたといわれています。

興味深いキャンティワインの歴史

 そして1872年にブドウの品種サンジョヴェーゼを主体としたキャンティを誕生させたのがリカーゾリ男爵。「それまでは一つの畑で幾つかの品種を栽培するのが主流でしたが、彼はサンジョヴェーゼだけにしました。さらに化学や物理学など科学的知識を基にしたワイン造りと研究を重ねました」(アルベスさん)

生産地、生産年、カテゴリー別に7種類を試飲

試飲した7種類のワイン

 座学が終わると、試飲タイム。「7つの生産地(コッリ・アレティーニ、コッリ・フィオレンティーニ、コッリ・セネージ、コッリーネ・ピザーネ、モンタルバーノ、モンテスペルトリ、ルフーナ)、生産年(2017~21年)、カテゴリー(ヴィンテージ、スペリオーレ、リセルヴァ)の違いを感じてほしい」とセレクトされた7種類です。

【試飲したワイン】 〈生産地、生産年、カテゴリー〉
1 Chianti D.O.C.G. 2021 (Montalbano) 
〈モンタルバーノ、2021年、ヴィンテージ〉

2 Chianti Colli Senesi D.O.C.G. 2021 
〈コッリ・セネージ、2021年、ヴィンテージ〉

3 Chianti Superiore D.O.C.G. 2020 (Colline Pisane)
〈コッリーネ・ピザーネ、2020年、スペリオーレ〉

4 Chianti Rufina D.O.C.G. “Governo all’uso Toscano” 2019
〈ルフーナ、2019年、リセルヴァ〉

5 Chianti D.O.C.G. Riserva 2019 (Colli Aretini)
 〈コッリ・アレティーニ、2019年、リセルヴァ〉

6 Chianti D.O.C.G. Riserva 2018 (Montespertoli)
 〈モンテスペルトリ、2018年、リセルヴァ〉

7 Chianti Colli Fiorentini D.O.C.G. Riserva 2017
 〈コッリ・フィオレンティーニ、2017年、リセルヴァ〉

地域によって特徴が違う味わいが?!

 今回のイベントタイトルにもある「D.O.C.G.」とは、イタリアワインで格付けされる4段階のうちの最高ランク。個人的には、フィレンツェを取り囲んでいるエリアで2017年に造られた「Chianti Colli Fiorentini D.O.C.G. Riserva 2017」が、7種類の中で最も好きな味わいでした。

「生産地域の違い明確」(宮嶋さん)、「キャンティの新しい面を発見して」(アルベスさん)

香りや味を確認しながら試飲する宮嶋勲さん(左)とルカ・アルベスさん

 7種類を試飲して宮嶋さんは 「熟成はどれも緩やかな感じですが、生産地域の違いはかなり明確にありますね。太陽を感じさせるコッリ・セネージ、海を感じさせるコッリーネ・ピザーネ、山を感じさせるコッリ・アレティーニなど。そのような違いがあるにしても、生き生きとした酸、フローラルなトーンと果実味、スパイシーなタンニンを共通して感じます」と分析を披露しました。

 最後にアルベスさんが「今日はありがとうございました。一緒に試飲できることがいかに貴重かを、この(コロナ禍で動けなかった)3年間で感じました。日本は私たちに誇りを持たせてくれる、とても大切な市場です。今日のセミナーでキャンティワインの新しい面を発見していただき、今後飲まれるときにまた思い出してもらえたら、とてもうれしいです」と締めくくりました。

 2時間弱の短い時間でしたが、イタリアの歴史の中で育まれ、守られてきたキャンティワインの魅力を堪能しました。これからキャンティワインを選ぶときは生産地やカテゴリーにも注目したいと思います。

 

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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