日本でもベストセラーとなった絵本「アライバル」で知られるオーストラリアの作家ショーン・タンの展覧会が、北九市立美術館分館(北九州市小倉北区)で2021年1月31日(日)まで開催されています。世界中の人々を魅了する独創的な世界観と表現に触れてみませんか。
2006年に移民をテーマにしたグラフィック・ノベル「アライバル」を発表し、テキストを使わず緻密にイメージを組み立てて作り上げた物語で世界中の人々を驚かせたショーン・タン。今回の展覧会は、タン本人の全面的な協力のもとに開催される日本初の大規模な個展です。 最初に手がけた絵本「ロスト・シング」から最新作までの原画や習作のほか、スケッチ、映像作品、立体作品など約130点を展示。オーストラリア・メルボルンに構えるアトリエを再現したコーナーには、実際の私物も入っています。
1. Belonging―居場所を求めて
何かが失われ、ほころびが生じた世界を一貫して描き続けるタン。そこには人々が「いつか見た風景」が織り込まれ、新たな世界との出会いや希望も描かれています。 「アライバル」の原画を中心に、コンセプトスケッチや秀作、絵コンテなど37作品に加え、「アライバル」完成までのインタビュー動画を紹介しています。
2. Companion Animals―想定外のへんな生き物
タンのイマジネーションから生まれた、シンボリックで、物語の世界を豊かにする不思議な生き物たち。立体作品も含めて、たっぷり紹介します。 タンが最初に絵と文を手がけた「ロスト・シング」の原画と、映画版の字幕付き本編動画のほか、人気絵本「エリック」の全原画など65作品が展示されます。
3. Somewhere Nowhere―どこでもないどこかへ
タンにとって、日常の観察は創作の出発点。自然の形と人工物の組み合わせがイマジネーションを刺激し、現実の風景の中に、どこにもない世界を作り上げていくのです。 日常の風景を独自の視点で切り取った油彩画や、絵本「夏のルール」「内なる町から来た話」の原画など30点を展示します。
【ショーン・タン プロフィル】 1974年、オーストラリア生まれ。幼いころから絵を描くことが得意で、学生時代からSF雑誌で活躍。オーストラリア児童図書賞など数々の賞を受賞し、2006年に刊行した「アライバル」は現在23の言語で出版されている。 舞台監督、映画のコンセプト・アーティストとしても活躍。約9年かけて映画化した「ロスト・シング」で、2011年にアカデミー賞短編アニメーション賞とアストリッド・リンドグレーン記念文学賞を受賞。
ショーン・タンの世界展 どこでもないどこかへ
日時:開催中~2021年1月31日(日)10:00~18:00(入館は17:30まで) ※12月29日(火)~1月3日(日)は休館 場所:北九州市立美術館分館(北九州市小倉北区室町1-1-1 リバーウォーク北九州5階) 料金:一般1,100円、高大生800円、小中生500円 ※税込み、未就学児は無料 ※北九州市在住の65歳以上の人は2割免除(証明書の提示が必要) 問い合わせ:「ショーン・タンの世界展」事務局(テレQ内) 電話:092-262-0077(平日10:00~18:00)