息子が中学生だった頃の話です。近所のママ友と手作りのクリスマス会を開こうという話になり、マンションの集会所に集まり簡単な軽食等を用意しました。パーティの目玉はビンゴ大会! その時に驚いたママ友の行動とは…。
注目をあつめるプレゼントが!
パーティーが始まって数時間。手作りのデザートも好評で、いよいよ子どもたちが楽しみにしていたビンゴ大会の始まりです。
中学生と高校生数名は、どちらかというと小学生のお世話係のような感じで参加。小学生の子どもたちはほとんどの子が親子で参加していましたが、一人だけ都合が悪くて参加できないママ友がいました。 自分がパーティーの手伝いを出来ないことに気を使ったその方が、いかにも豪華そうな大きなプレゼントを用意していました。パーティ参加の条件は、100円程度のプレゼントを一人一つ用意することとしており、親子で参加するなら二つ持参。
小さな子どもたちは皆、その大きなプレゼントに興味深々で、誰が最初にビンゴになってそのプレゼントをゲットするかで盛り上がっていました。高校生の子たちは、
「最初に自分たちがビンゴになったら、肩身狭いよね?」と、遠慮がちに囁いていました。
いよいよビンゴ大会スタート
私は余った食材でもう一品作ろうと、作業しながら適当に子供たちに合わせて参加していました。
「なかなか揃わないね…」子ども達がドキドキしながら、互いのカードを見せ合っていると…
「ビンゴ!」と、威勢よく叫んだのは、その日が初参加のママ友。
「え?」 周りの皆が呆気にとられる中を、いそいそとプレゼントの前に進み出た彼女は、何の迷いもなく、子どもたちが楽しみにしていた大きな包みに手を伸ばしたのです!
「えー!」子ども達からは、一斉に容赦のないブーイングの嵐…。 いや、まさか… 冗談だよね?
「なーんちゃって」とか言ってプレゼントを戻すのかと暫く見守っていたけれど、彼女は、返すどころか自分の座っていた場所に戻ると、皆の刺すような視線から隠すように、まるで誰かに取られまいとするかのように、しっかりとプレゼントを抱きかかえたのでした。
その後、子どもたちのテンションが一気に下がったのは言うまでもなく、楽しかったクリスマスパーティーは、微妙な雰囲気になってしまいました。
因みに、当たった彼女が持ってきたプレゼントは、ボールペン一本だったそうです。プレゼントを用意したママ友は、子どもたちが喜ぶように、女の子に人気のキャラクターのお菓子セットを用意したのに、まさか大人が貰うとは予想しなかったと思います。
息子がふと気づいて、私のビンゴカードを調べ、
「母さん、とっくにビンゴだよ。」と言うので、慌てて、
「しー…」と口止めしました。大人が本気で参加してどうする!
大きな景品の代わりに失ったもの
この方、引っ越してきたばかりで皆あまり付き合いがなく、詳しい人柄を知りませんでした。皆さんと親しくなる良い機会だったはずなのに、他の親たちは彼女の周りからは一斉に引いてしまい、ひとりぽつんと座ることに。 彼女の息子はまだ小学一年生で、場の雰囲気が理解できず、ニコニコしていましたが…。
その後、私は彼女とは直接のお付き合いはありませんでしたが、別のママ友から、
「あの人とは関わらない方が良いよ。」と耳打ちをされ、「やっぱり…。」と納得したのを覚えています。
人間関係というものは、例え気を付けていても思わぬ誤解が生じるものです。ましてや小さな子どもがいる間は、どこで誰にどんな迷惑をかけるか、お世話になるか分からない以上、親である私は、出来るだけの気遣いをしたいと思っています。 クリスマス会で子どもたちが狙っていた景品を手に入れた彼女は、もっと大切な何かを、失ったように思えてなりません。
(ファンファン福岡公式ライター/Kitakitune)