福岡でうどんといえば、やわらかくてコシが少ない「博多うどん」。地元愛の強い福岡県民の多くは「やっぱ、うどんといえばこれでしょ!」という偏愛にも似た強いこだわりがあるように思います。が、そんな博多うどんが覇権を握る福岡で、長く愛されている「さぬきうどん」の名店があります。本日はそんな「博多さぬきうどん」さんへ伺いました。
「博多うどん」全盛の福岡で支持を集める「さぬきうどん」を知っているか
「福岡県民は実は豚骨ラーメン以上にうどんをよく食べる」という言説は、ここ10年くらいで一気に定着したように思います。もちろん豚骨ラーメンもソウルフードとして愛されているのですが「ガチの福岡人は、やっぱうどんやもんね?」という一種の「ドヤ」とともに、福岡県民のうどん愛は近年ますます高まっているように感じます。
「博多うどん」と言えば一般的に、透明感のあるお出汁に「コシの弱い(もしくはコシがない)麺」が特徴。私自身日常的に食すのはそんなうどんで、やわらかい麺と上品な出汁を味合うときには何とも言えぬ多幸感に包まれます。もはやDNAに染み渡っているというのでしょうか。
しかしそんな「博多うどん原理主義者」が多い福岡で愛される「さぬきうどん」が存在します。それが本日伺った「博多さぬきうどん」さんです。場所は、福岡市中央区渡辺通り。天神南から渡辺通りをニューオータニ方面に向かって歩き、ミニストップの手前の角を左に曲がってしばらく歩くと現れます。
55年以上、地域で愛され続ける老舗「博多さぬきうどん」
創業は昭和40年(1965年)だそうで、55年以上この土地で愛されてきた歴史ある老舗です。会社が多いエリアでもあるので、ランチタイムは近隣のビジネスマン中心に、いつもにぎわっています。
冷静に考えると「博多さぬきうどん」という屋号は、なかなか不思議。「博多沖縄そば」とか「博多長崎ちゃんぽん」と同じであり、逆に言えば「さぬき博多ラーメン」と同じ構造です。
完全なる余談にはなりますが広末涼子の旦那である「キャンドルジュン」氏の名前の構造は「ラーメン二郎」と一緒(商品+名前)である、という考察も好きです。そんなくだらぬことを考えながら入店。
定番メニューがずらり。お昼はセットメニューも
店内は、厨房の前に位置するカウンター席、奥にテーブルが数席、こあがりのお座敷もあります。カウンターからは、麺をダイナミックにゆでる厨房の様子も見ることができます。
こちらが本日のメニュー。
平日は、日替わりのうどんにいなり2個がついてくる「日替わりうどんセット」(530円!)を頼む人が多いのではないでしょうか。後は、肉と天ぷらがどちらともついてくるぶっかけ「スペシャルうどん」が「一番人気」とのことです。
メニューは、ひととおり定番のトッピングが揃っています。さぬきうどんではありますが「ごぼう天」が定番人気ということで、このあたりは福岡っぽいですね。本日は、色々悩みつつも「他人うどん」(710円)と「かしわおにぎり2ケ入り」(190円)をオーダーしました。
さぬきだけど、福岡の定番「かしわおにぎり」はしっかり抑えてます
うどんの前に、先にやってきたのは「かしわおにぎり」。福岡のうどん屋さんには結構な高確率で、この「かしわおにぎり」(もしくは、かしわごはん)が置いてあります。そしてメニューにあると、ほぼ無意識でオーダーしてしまう自分がいます。
非常にスタンダードな「かしわおにぎり」ですが、美味しい!間違いありません!うどんを食す前のウォーミングアップ感覚で、2個ともぺろっとたいらげました。
うどんは「さぬきうどん」を福岡向けに再構築した逸品
続いてやってきました、本丸の「他人うどん」。説明は不要だとは思いますが他人=「牛肉の卵とじ」です。日ごろから「肉うどん」は、やや甘すぎるように感じてあまり食べないのですが、「他人」で卵と一緒になっていると、味がしまった感じがして、好んで食べています。
肉と卵をほぐしつつ、出汁と混ぜ合わせます。なおこちらの出汁ですが、福岡のうどん好き向けに少し寄せてあるような印象です。「スタンダードなさぬきうどん」というよりかは「さぬきうどんを福岡向けに再構築」したとでも言うのでしょうか。しかし、それが福岡で支持されている理由のひとつかもしれません。
麺は、四国から取り寄せた小麦粉を使っていると伺ったことがあります。機械ではなく、厨房にて、手打ちでつくられています。手打ちゆえ、麺の太さや形状は必ずしもきちっと揃っておりませんが、その感じも私は大好きです。
出汁とまぜあわせつつ、ズズっと、すすります。もちもちとした、しっかりしたコシがたまりません。
出汁もコクがあり、麺を食べる合間に飲むと、心身ともに温まり、深いため息さえ出てきます。これですよ、これ・・・・
「さぬきうどん」は過去香川に食べに行ったことはあるものの、そこまで明るいわけではありません。ただ、本場のものとはまた違ったこの店独自の仕上がりだと思います。
「博多うどん」とは一線を画す、しっかりとした「さぬきのコシ」は活かしつつも、福岡でも馴染みやすく再定義されたこの一品。なぜ「博多うどんを偏愛する福岡県民にこのさぬきうどんが愛されているか」を、ぜひ実際に体感してみてください!
博多さぬきうどん 渡辺通り店
■住所 福岡県福岡市中央区渡辺通5-13-3
■電話番号 092-713-7972(予約は不可)
■営業時間 [月~金]11:00~18:00
[土・日・祝]11:00~16:00 ※不定休