長く同じマンションに住んでいると隣人が変わります。前の住人と今の住人は当然違う人ですが、「ぞっとする共通点」があるとしたら…。今回は、隣の住人に共通する奇行についてお話しします。
何の変哲もないマンション
私たち家族(夫・私・9歳息子)が住むのは、ファミリー向け賃貸マンション。スーパーや学校が近い住宅街に建つ物件で、私たちは約8年間住んでいます。ファミリー向けなので長く住む人が多く、左隣・真上・真下の住人は、私たちが引っ越してくる前から同じです。
右隣の住人だけが2回変わりました。右隣の住人は、家族構成や年齢は違うのに、奇妙な共通点があります。どの住人も夜中に叫び始めるのです…。最初の隣人は、私たちが越してくる前から住んでいた40代夫婦と小学生姉弟の4人家族。引っ越しの挨拶に行くと、元気な印象の奥さんが
「よろしくお願いします!」と明るく挨拶してくれました。
怒鳴る奥さん
新しい部屋での暮らしが始まり1週間が経ちました。22時半頃に布団に入ってうとうとしていると、消防車のサイレンのような音で意識が浮上します。どうやらサイレン音ではなく女性の叫び声のようです。
「ふざけんなー!」という怒号で飛び起き、隣の布団で寝ていた夫も
「何事だ?」と起き上がります。声は隣の部屋からでした。壁の防音性は優れており、普段は隣の音が聞こえません。相当な音量で怒っているとしか思えないのです。声から察するに息子さんを叱っている様子でした。
「隣の奥さん、すごい迫力だね」
「息子さんやんちゃなのかな?」私と夫は顔を見合わせます。怒鳴り声は10分ほど続き、すっかり目が冴えました。
それからも1カ月に1回、隣の奥さんの怒号を耳にしました。奥さんと外ですれ違えば「こんにちは」と挨拶を交わしますし、旦那さんもお子さんも変わった様子はありません。親しい関係ではないので、口出しできないし…。夜の怒鳴り声を除けば普通の隣人だったため、私と夫は「気にしない」と決めました。
隣の家族は4年ほどで引っ越しましたが、退去するまで1カ月に1度、23時頃に怒鳴っていました。右隣が空室になった後、私と夫はホッとしつつも
「静かだと寂しい気もするね」と笑い合いました。
次の夫婦はベランダで口論
それから約半年後、新しい家族が越してきました。若い夫婦と3歳の男の子です。
引っ越しから数日後の23時頃、隣のベランダから話し声が聞こえます。お子さんは眠り、夫婦がベランダで話しているのでしょう。
会話は次第に口論に。
「いいかげんにしろ!」と旦那さんの怒号が聞こえます。奥さんも高い声で何か叫んでいるようです。私はびっくりして縮こまりましたが、口論は10分ほどで終わり、夫婦は室内に入っていきました。
それからも平均して1カ月に1度、隣人夫婦がベランダで口論する声が聞こえました。ときには鉢植えが割れる音がすることも。さすがにその時は「警察沙汰?!」とハラハラしました。幸い大ごとにはなりませんでしたが、そんな喧嘩をしていても、隣人家族は休日になると手を繋いで出かけていました。
隣人は入居してから約3年後、夫婦で退去の挨拶に来ました。
「子どもが騒がしくてすみませんでした」と、にこやかに。私と夫は「騒がしいのは大人の方だったけどな~」と、苦笑しながら見送りました。
隣人は夜中に叫び出す
3代目の隣人は、間をあけずに入居してきました。最近のことです。今度の隣人は、50歳前後の奥さんと成人している娘さんの2人暮らし。夫が
「また夜中に叫んだりして」と言うので、私は
「まさか~!」と笑いましたが、冗談にならなかったのです。
引っ越して数日後の夜中、隣からヒステリックな叫び声と、
「おかあさん!!」となだめる若い女性の声が聞こえます。この奥さんも外で会えば挨拶を交わす普通の人。しかし、1カ月に1度、そして23時頃に叫ぶのです…。
私は「うるさい」よりも「怖い」気持ちでいっぱいです。3家族続けてなんて隣に「なにか」が憑いているような気がしてならないのです。夫はさほど気にせず
「管理会社に言ってみる?」と言いますが、せいぜい「騒音を出さないで」というビラが貼られる程度でしょう。
隣の部屋のゾッとする共通点。私たちに被害はないのですが… 引っ越しを検討しています。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)