新年度が始まるこの時期は、PTA役員を決める季節。内心ハラハラしている保護者もいらっしゃるのではないでしょうか? わが子たちの小学校では2年前、立候補という最も幸せな展開で会長が決まりました。ところが、まさかまさかの「王様会長」だったのです。
PTA会長に立候補したボスママ
わが子が通う小学校では、新年度が始まって少し経った頃に、PTA役員の選出があります。クラス代表はクラス懇談会で決めるのですが、会長、副会長などの幹部役員は前年度の幹部からの指名になります。もちろん辞退することは可能ですが、この時期になると、指名を恐れて前年度の幹部役員とは目を合わせようとしない保護者が増えます。
そんな中、あるボスママが会長になりたがっているという話を聞きました。ボスママは、国家資格を生かしてフリーランスで働くバリキャリママ。発言力が強いことが有名で、仕事で忙しくても、学校行事によく姿を見せていました。
噂通り、そのボスママが会長に立候補すると、ほかの保護者は大喜び! ボスママの発言力を問題視する声もありましたが、誰もが嫌がる幹部役員を引き受けてくれたことを喜ばない親はいません。私自身も、役員を免れたことで正直ホッとした気分でした。
役員同士で意見が対立…
新しい役員でPTA活動が始まると、役員の間で意見が対立することも度々あったそうです。特にコロナ禍での活動は、イレギュラーな対応が多く、意思決定を迫られる場面が多かったように感じます。
例年通り行事ができないことで、余ったPTA会費をどう還元するか、運動場の放課後解放を継続するか… 役員会議が開かれるたびに、会長のボスママがリーダーシップを取って進めたそうですが、なかなか議論が進まないこともあったと聞きます。
意見の合わない役員を、仲良しママにチェンジ?!
2学期が始まった頃、子どもが学校から1枚のプリントをもらって帰ってきました。
「PTA役員の変更」というタイトルで、2人の役員が交代するという内容でした。年度途中での交代は珍しいこと。そして私は、辞めた元役員のママ友から驚愕の事実を知らされるのです。
ママ友によると、辞めさせられた2人は、会議でボスママと意見が合わなかったそうです。元役員2人は、クラス役員から吸い上げた意見を述べていたため、ボスママには何度も再考するようにお願いしたそうです。しかし、議論は修正すらされることなく、ある日突然ボスママから
「意見が合わないなら、辞めてもらうしかない」と言い渡されたんだそうです!
さらに、新たに任命された役員の名前を見て、驚きました。ボスママと大変仲がいいママで、極端な意見で他の保護者と揉め事を起こしている人だったのです。
暴走するPTAに、退会者が相次ぐ
幹部役員が、ボスママの“仲良しママ”だけで固められると、これまで滞っていた議論が一気に決まり始めました。その内容は、感染した児童の出席停止措置をやめるよう教育委員会に意見書を提出した、学校への寄付(体温計)を取りやめるなど、大多数の保護者の意見が反映されていないものばかり。
ボスママを怖がってか、直接抗議する保護者は少なかったのですが、代わりに「PTA退会」という形で反意を示す人が出始めました。そもそも任意のPTAに強制的に加入させられていることに反感を持っていた保護者が多く、これを機にPTA離れが進んだように思います。
わが校のPTAは、たった1年でここまで空中分解してしまいました。
「面倒だから」と役員を押し付け合うのではなく、選出の時点からよく考えるべきだったと思います。ただ、ここまで来ると解決は難しく、民間企業によるPTA代行サービスなどにお願いすべき段階に入ってきているのかもしれないとすら思ってしまいます。
(ファンファン福岡公式ライター / nayuka)