ひらがなは一般的に5歳くらいから書けると言われていますが、息子は小学校に入学してもひらがなの書き取りが満足にできませんでした。しかし、あることがきっかけで、めきめき上達したのです。今回は、息子がひらがなを使いこなせるようになった出来事をお話しします。
文字を覚えるのが苦手な息子
息子は赤ちゃんの頃から大きなケガや病気がなく、言葉の発達も早いほうで2歳時には
「ねこがいたよ、かわいいね」「ママ、こうえんいこう」などスラスラ話していました。
心も体も健康に育ち、幼稚園に入園。同級生よりお喋りが上手で、口で敵わない友達が癇癪を起こし息子を叩く、なんて小さな喧嘩もありました。
年中になると、文字に興味を持ったり書けるようになったりする子がぐんと増えますが、息子は文字を書くことに興味を持ちません。「話すのは上手なのに、どうしてだろう? 何かしたほうがいいのでは?」と不安になった私は、読み書きを習う幼児教室に体験入学させることにしました。
しかし、幼児教育で行うひらがなのフラッシュカードや書き取りは、息子にとって相当なストレスだったようで、
「やりたくない! いかない!」と断固拒否。「まだ年中だし、無理強いもよくないかな」と思い直した私は、とりあえず見守ることにしました。
学習障害? と疑いつつも見守る
年長になると、幼稚園でひらがなのワーク学習が始まります。息子はひらがなワークを「つまらない」と言っていましたが、周りに合わせて渋々取り組んでいる様子。文字の手本を見て写すことはできますが、手本なしでは創作文字を書いたり、「い」と「り」の違いがわからなかったり、正しく書けません。
私は「周りの友達は漢字を書ける子もいるのに…」と不安になり、園の先生にこっそり「学習障害なのでは?」と相談しました。先生はにっこり笑いながら
「○○くんは自分の名前を書けますし、今の時点では問題ないですよ。興味が出たらスラスラ書けますから」と、焦る私を諭してくれました。
たしかにワークのような教材はできないけれど、例えば「コーラ」や「おもちゃ」など、自分の好きな物の文字は読めるのです。お祭りの屋台で
「コーラ買って!」とねだられ、
「読めるの?!」と驚いたこともありました。
それでも不安に思いながら、小学校生活がスタートします。
小1の国語で最初に習うのはひらがな。なんとか読むことはできるようになりましたが、書き取りは怪しいままひらがなを終え、カタカナ学習が始まります。
案の定、息子は混乱。ひらがなとカタカナ混じりの不思議な文章を書くようになりました。特にカタカナの「ソ」と「ン」と「ツ」の違いは何度教えても覚えられません。
私は何度も叱りそうになりましたし、不安でした。しかし、幼稚園時代に先生にかけてもらった「興味が出たら覚える」という言葉を信じ、宿題以上の書き取りを強要しないようにしました。
興味を持つきっかけは手紙交換
小1の終わりになると、仲の良い友達から手紙をもらってくるようになりました。好きなゲームやアニメの話など、なんてことない内容ですが、息子は
「手紙の返事をかく!」と大はりきり。
自分から鉛筆を持って机に向かい、
「書いたお手紙ちゃんと読めるかみて!」と、私に確認を求めます。息子が初めて積極的に書いた文章は、ひらがなとカタカナが混ざっていたり鏡文字があったり。滅茶苦茶でしたが、私は嬉しくて涙が出そうでした。
文章をたくさん褒めながら
「こうするともっと読みやすいよ」と正しい書き方を教えると、息子は素直に訂正し、お手紙を書き上げました。
手紙交換は何度か続き、それがきっかけで、息子は自分で「書く意欲」が芽生えたようです。キャラクターの絵に簡単な台詞や文章を添えて漫画を描くようになりました。多少の間違いはあるけれど、少し前までひらがなが書けなかったなんて思えないくらい、積極的に文字を書くようになりました。
ひらがなを覚えられない時期は、私にとって忍耐が試される期間でした。今となっては「興味が出たらできる」の言葉を信じ、無理強いしなくてよかったという気持ちです。
これからも、急がず焦らず周りと比べず、息子の興味に合わせてサポートできたらいいなあと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)