バレンタインが近づくと、なんだかワクワクしませんか? 夫はチョコレートが苦手なので、結婚後は私も興味を失っていたバレンタイン。でも、娘がチョコを食べられるようになってから、楽しいバレンタインが復活したのです。
娘にチョコをプレゼント…喜ばないのはなぜ?
娘が初めてチョコレートを食べたのは、3歳の頃でした。その時のリアクションが本当にかわいくて。
「こんなおいしいものが世の中に!」と驚いたように目を見開いたあと、顔の筋肉が溶け切ったような表情になったのです。
人間ってそんなに幸せそうに笑えるのね、と感心するほどの表情は、10年近くたった今でも「あの時、動画を撮っておけばよかった!」と、後悔しているほどです。
そんな娘へのバレンタインに、私が選んだのは昔ながらのペンシルチョコ。鉛筆状の細長いチョコをカラフルな包み紙でくるみ、まるで色鉛筆のように仕立てたあの懐かしいチョコレートです。
バレンタイン仕様のペンシルチョコが6本とハートの形のチョコが1つ入った箱を手に、私はウキウキ帰宅したのでした。 ところが、娘にプレゼントしてみても、なんだか微妙な反応です。
「ありがと」とは言うものの、箱は机に置いたまま。
「食べないの? これチョコレートだよ?」と説明すると、
「これチョコなの? 食べていいの?」とやっと目を輝かせました。
気付いてなかったのか、と私はひそかに笑いながら、パッケージを開けてあげました。 娘はハートのチョコを取り出して、幸せそうな顔でパクリ。ゆっくりと1粒のチョコを味わっていました。そして
「これ入れといてね」と、残りのペンシルチョコを箱に戻すように私に言ったのです。
もっと大喜びをすると期待していたのに、すっきりしない娘の反応。なんとなく腑(ふ)に落ちない気持ちで、私はペンシルチョコを片付けました。
そうだったのね! 娘が喜ばなかった理由は
ところがその夜。娘が
「ママ、お絵描きしていい?」と言い出しました。 いいよー、と画用紙と色鉛筆を渡そうとすると
「ちがうよ、ママがくれたやつ使うのよ」と言う娘。私は何のことかさっぱり分からずに、ママがくれたやつってなあに? と聞きました。
「ママがくれたやつよ。あの、女の子のやつ」 私があげた? 女の子の? 本当に訳が分かりません。
すると、言葉では伝わらないと察知した娘は顔芸に! 目玉をギョロリと動かして、舌をペロッと出したのです。
「女の子がこんななってるやつよ」 その顔に私はハッとしました。もしかして、この顔は不○家のペ○ちゃんでは?! 娘は、ペンシルチョコの箱に描かれていたキャラクターの顔真似をしていたのです。
私は棚からペンシルチョコを取り出して、娘にもう一度説明しました。
「これはね、色鉛筆みたいだけどチョコなんだよ」
「これもチョコ?」と、娘はけげんな顔。どうやら娘はハート形のものだけがチョコで、あとは本物の色鉛筆だと思っていたようです。
包み紙をむいて見せるとびっくり仰天した娘。そしてついに、私の大好きな最高の笑みを見せてくれたのでした。
何度思い出してもほっこりするバレンタインの思い出。私は今でもあの笑顔見たさに、娘にチョコを献上しています。 (ファンファン福岡公式ライター/あいちー)