4兄妹の末娘は、上の子を見ているからか、小さな頃から何でもすぐにできる優等生でした。そんな娘が急に「幼稚園に行きたくない」と言いだしたのは、年長の夏休み前のことでした。
まさかうちの子が登園拒否になるなんて!
4月産まれの娘は、ひらがなの読み書きもできるし、縄跳びも得意、かけっこも速くて、毎日楽しんで幼稚園に行っているように見えました。
幼稚園でもクラスのリーダー的存在で、自分のことが早く終わったら、まだできていない子に色の塗り方を教えてあげたり、片づけを手伝ってあげたりしているようでした。
そんな娘に心配する要素はなく、特別に気にかかることはありませんでした。唯一、気になるとすれば、少し朝起きるのが苦手なことでしたが、遅刻するようなことはなく、毎日ちゃんと幼稚園に通っていました。
ところが、年長の夏を迎える頃、その娘が少しずつ登園を渋るようになりました。
最初はちょっと調子が悪いのかな? と思って休ませていたのですが、熱もなければ、風邪の症状もありません。昼寝をすると元気になり、次の日は元気に登園していきました。
でも次の週の月曜日、また行き渋るのです。そんなことが月に何度か続き、これはちょっとおかしいと思うようになりました。
幼稚園に行きたくない理由を聞いても、ただ泣いて嫌がるだけ。お手上げでした。私も仕事に行かなくてはいけなかったので、登園途中で泣き出す娘を無理やり先生に引き渡して仕事に行く日々。園に行けば、友達と楽しく過ごしているときもあるのですが、迎えに行くまで別の教室で泣いている日もあったようで、それは親子共に本当につらい日々でした。
私は子どもと向き合う時間を作るために仕事先に相談し、それまで自宅で行っていた仕事を、子どもが帰ってきてからは一切しなくていいようにしました。
みんなの前でダメな自分を出せたことが転機に
そんな日々に転機が来たのは、夏休みに入る直前の事でした。
それまで優等生だった娘が、クラスのみんながいる前で
「いやだ~! 行きたくない!」と大泣きして逃げまどい、暴れたのです。
クラスの子は
「えっ? あの子が、なんで泣いてるの?」とびっくりしていたようですが、みんなの前で弱いところを見せることができたことで、娘は少しほっとしたようにも見えました。娘は知らないうちに、先生や親からの期待に応えようと頑張り過ぎてしまっていたようでした。
登校拒否になる子には、優等生や真面目な子も多いそうです。考え過ぎて、抱え込んでしまうのですね。娘のつらかった気持ちを考えると、胸が痛みました。
夏休み明けからは、また普通に通えるようになりました。先生も娘に他の子のお世話を頼っていたことを反省して、気を遣ってくれるようになりました。娘も、忘れ物をしてしまったり、お弁当をゆっくり食べたりするようになり、優等生の殻を捨てられたようでした。
小学生になった今でも、月曜日はちょっと苦手で学校を休むこともあります。でも、そういうときは無理せず休ませるようにしています。親としては複雑な気持ちもありますが、この子のペースで付き合っていくことが大事なのではないかと、今は感じています。
(ファンファン福岡公式ライター/おきょうさん)