元小学校教師で現webライターの冬野はなです。アラフォー主婦でもある私が、友人とその子どもとの間でジェネレーションギャップを感じた話です。
変化する言葉
時代の流れと共に、変化していく言葉の意味。その時を生きる人々によって使い方やニュアンスに少しずつ違いが生じ、全く別の意味になることもよくあります。 例えば、最近変化が生じた言葉に『ヤバい』があります。本来は「危険なさま、具合がよくないさま」を伝える時に使用する言葉ですが、現在では良し悪し関係なく心が動いた際に使われています。もはや感嘆詞の位置付けとも言えます。
言葉のジェネレーションギャップを感じた出来事
そんな言葉の意味の変化を痛感した出来事がありました。 先日、アラフォー主婦のFちゃん宅にお邪魔し、二人で他愛もないおしゃべりをしていた時の話です。 Fちゃんには小学5年生になる一人娘がいます。娘さんと私は、一緒におしゃべりしたり、遊んだりするほど仲が良いので、私がお邪魔した時は同じ部屋にいることが多いです。その日も、娘さんは私たちと同じ部屋で一人ゲームをしながら、時折私たちの話に入ってくるなどして過ごしていました。
きっかけはアニメの話
最近話題に上がっていたアニメ、『呪術廻戦』について話していた時のことです。私はアニメや漫画が好きで、小学生に今人気のアニメは何なのか興味があり、いつも娘さんやFちゃんに聞いて情報を集めています。 『呪術廻戦』は、呪いを題材に扱ったホラー要素のあるダークファンタジーです。グロテスクな描写も多々あり、そういうものが苦手な私は途中から見ることができなくなってしまった、という趣旨の話をしていました。個人的には『鬼滅の刃』は何とか見ることができたのですが、『呪術廻戦』はそれを上回るグロテスクさで、断念してしまったのです。 そのことを、私は 「『呪術廻戦』は『鬼滅の刃』よりえぐいシーンが多くて、途中で見れなくなった」と話し、Fちゃんは 「あぁ、『鬼滅の刃』よりえぐいよね。私もそう感じたよ」と、答えました。
その会話を横で聞いていた娘さんが、ふいに 「『エグい』って、『すごい』って意味だよ?」と、不思議そうに話しかけてきたのです。 それを受けて、Fちゃんがまだ詳しい意味を知らないものね、と 「違うよ。『グロテスク』とか、『残酷』って意味だよ?」と説明したのですが、娘さんは 「でも、教室では皆すごいって意味で使ってるもん!」という感じで全く通じません。 娘さんも自分が絶対あっている! Fちゃんも自分が絶対あっている! と、話が通じず平行線になってしまいました。 私もなぜ話が通じないのかしばらく分からなかったのですが、3年前に小学校勤務している時も、子どもたちが『エグい』という言葉を『すごい』という意味で使っていたことを思い出したのです。調べてみると、とあるYoutuberが使い始めたことで、若者に一気に広がったということでした。 そのことをFちゃんと娘さんに説明すると、二人とも「なるほど!」と、納得がいったようでした。特にFちゃんは、 「今の子どもたちは、私たちと全く違う言葉の意味の中で生活しているんだね。近い世代なのに違う意味で使われていたとは思いもよらなくてビックリした」と、話していました。 世代間で言葉の使い方に違いがあるからこそ生じた、今回のジェネレーションギャップ。今、私は時代の中で言葉の意味がうつろいゆく現場に遭遇したのだなと、変なところで感心してしまいました。 (ファンファン福岡公式ライター/冬野 はな)