私が小さい頃、明治生まれの祖母がちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつアップしていきます。
祖母が六つの歳の春、村のYというおばあさんに、突然不思議な力が備わった。
「明日は○○さんが来る気がする」と言うとそれが当たるのだ。
最初は偶々(たまたま)だろうと言っていた家族も、あまり毎回当たるので「これは本物の先触れだ」と驚いた。
なぜ分かるのかと訊いても笑って答えない。
もう一つ不思議なことがあった。
それは、おばあちゃんっ子だった孫がYさんの寝ている座敷に入ろうとしなくなったことだ。
何度もそんなことがあり三月が経った頃、Yさんが言った。
「姪のK子が明日来るよ」
「え? K子さんですか?」
お嫁さんは驚いたが、Yさんはとても楽しみにしているようだった。
翌朝、いくら待ってもYさんが起きてこないのでお嫁さんが見に行くと、Yさんは横になったまま息が止まっていた。
ここまで語り終えた祖母が少し声をひそめて言った。
「お嫁さんが不審に思ったのは、数日前にK子さんの訃報が届いていたからなんだよ。気落ちしてはいけないとYさんには知らせなかったんだけど」
「迎えに…来たのかな?」
「どうかねえ…孫は夜になるとおばあちゃんの部屋から知らない人の声が聞こえるから怖い…と言っていたよ」
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