みなさんは「中1ギャップ」という言葉をご存じでしょうか。小学校と中学校では学習内容や環境が大きく変わるため、うまく対応できない子どもが多いのだそうです。その対策に、娘が通う小学校では、ある取り組みが行われていたのですが…。
小、中学校の先生が一緒に作成した手厚い「学びの手引」
小学5年生の娘が、3学期の初めに冊子を持って帰ってきました。それは中学生になる心構えが書かれた「学びの手引」でした。
「学びの手引」は全20ページで、小学校と中学校の先生の手作り。教科ごとに教える先生が替わる教科担任制や、中間・期末テストの実施、部活動などについてが詳細に説明されています。
学校生活の大きな変化にギャップを感じて不登校にならないための、事前対策なのでしょう。どうやら5年生時に学びの手引を渡し、6年生になると実際に中学校に体験学習に行く計画のようです。
娘は早速、学びの手引を広げて、ドキドキワクワクしながら読んでいました。私にもこんな時代があったな… と思い出していたら、娘の様子がちょっとおかしいことに気が付きました。
中学生になりたくない! 小学生のままでいたいと言い出した娘
「学びの手引」は、中1ギャップをなくしてあげたい! という先生の思いがあふれんばかり。
「中学校での学習内容や小学校との学習内容の違い」
「中学校に入学するまでに身につけておいてほしいこと」
「授業を受ける時に気をつけてほしいこと」
「家庭学習の注意点」などが、各ページにびっしりと書いてありました。
一通り読み終えた娘は、抜け殻状態のようになっています。どうやら不安になってしまったようです。
中学生活を安心して迎えるための手引きなのに、これで意気消沈してまったら、本末転倒です。私は何とかフォローしなければと、娘に声を掛けました。
「お母さんは中学校って楽しかったな。戻れるなら戻りたいくらいよ!」
すると
「中学生なんてなりたくない。小学生のままがいい」とボソッと答える娘。
そこで私は
「部活は楽しいし、カッコイイ先輩がいるかもしれないし、修学旅行も沖縄みたいだし…」と、思いつく限りの中学校の魅力を伝えました。娘は何も言わずうつむいていましたが、やがてにっこりと笑いました。
どの言葉が娘の心を動かしたのか分かりませんでしたが、どうやらまた少し中学校が楽しみになった様子です。
早くも中1ギャップ? と少し焦りましたが、その顔を見て一安心。青春時代はいろんなことがあるけれど、後からいい思い出になるから大丈夫!
中学校に進学する前に、そう娘に伝えてあげようと思いました。
(ファンファン福岡一般ライター/なな)