暑い夏。家事と育児にクタクタになり、3歳の息子と一緒に昼寝するのが日課だった私。しかし、知らぬ間に知恵をつけた息子は、母親が爆睡している間に、こっそりと驚くべき行動を取っていたのです。
真夏の家事・育児はヘトヘト 楽しみは“お昼寝タイム”
うだるような暑さ。うるさいほどのセミの声。実家の居間で風に吹かれながら、ふとテラスを眺めると、思い出す夏の出来事があります。
当時息子は3歳を過ぎたくらい。私達は実家で暮らしていました。息子は、まだ片言くらいのおしゃべりしかせず、朝からテラスに広げたプールで遊ぶのが楽しみ。大きな水鉄砲にご執心です。
掃除、洗濯をすませたら、プールにいる息子にホースでシャワーをかけながら、水鉄砲に応戦する私。
プールが終わると、熱いシャワーを浴び、お昼ごはんです。簡単なものでも、作って食べる頃にはぐったりでした。
昼食が済んだらお昼寝タイム。
実家は風通しの良い高台にあり、ふだんは窓を全開にしていました。昼寝の時だけ寝室にクーラーをつけ、玄関は一応鍵をかけていました。
予め冷やしておいた寝室に入ると、涼しくてまさに天国! 床に敷いた布団に寝転がり、絵本を読めば、あっという間に親子で寝落ち。午前中だけでクタクタになった私は、その日も添い寝という体で爆睡していました。
起きて仰天! 息子がいつのまにか外に
インターホンのチャイムが鳴って目を覚ましました。寝ぼけながらあたりを見回すと、息子の姿がありません!
飛び起きて隣の部屋へ行っても、いません。もう一度チャイムが鳴り、窓から玄関に向かって
「お待ちください」と言おうとしたときです。
玄関には、子どもを連れた中年女性が立っています。よく見ると、子どもはなんと私の息子!
「今行きます!」と大声で叫び、急ぎ階段を下りて玄関へ向かう私。何が起こったの? 息子は保護されたの? 混乱したまま、玄関の扉を開けました。
「こちらのお子さんですか?」と女性は困惑した表情で尋ねました。
「はい! そうです! すみません」と慌てる私。息子は靴をちゃんと履いています。自分で玄関から外に出たということでしょう。
「すぐそこの道を、1人でキョロキョロしながら歩いていたので、声を掛けたら、ここまで来て立ち止まったのよ」と女性はインターホンを鳴らした理由を説明してくれました。
平謝りでお礼を伝え、息子を家に上げました。頭を何度も撫で、抱きしめ、無事であったことを感謝します。息子が家の外を1人で出歩いたのは、この時が初めてでした。
片言のおしゃべりのため、理由は分からずじまいでしたが、無事で本当によかったと思いました。
二度目のチャイムで理由が判明! ご近所さんに感謝
夕方。食事の用意を始めようとしているときに、またインターホンが鳴りました。あわてて出ると
「すみません。お財布を落とされているようなんですけれど…」と見知らぬ男性の声。
今日は外出していないのに? と疑問に思いながら、わずかに警戒心を抱きつつ玄関ドアを開けました。
そこには、私の緑色の長財布を持った作業着スタイルの男性が立っていました。
「そこに自販機を置いている工務店の者なんですが… 自販機の前で、小さな男の子が財布を落としていったんですよ」と男性は気まずい表情で説明します。
「すぐに拾ったんだけど、現場に行かなきゃならなくて、そのまま…」とすまなそうに言い、
「で、さっき帰ってきて、財布の中を見たら免許証にこちらの住所があったので」と補足説明をしてくれました。
私はまたしても平謝り! 深々とお礼を伝えました。頭の中は大混乱です。
考察の結果はこうです。息子は財布を持って靴を履き、玄関の鍵を開けて外に出て、100mほど先にある工務店の自販機で、ジュースを買おうとしたのでしょう。
しかし、ジュースは買えず、なぜか財布を落とし、家に戻ろうとしたところを女性に保護された…。3歳を過ぎると、まさかそこまでの知恵をもって行動するとは思いもしませんでした。
息子が消えたことにも気付かず、財布が消えたことにも気付かなかった私。どちらも無事帰ってきたことを、ご近所の親切な皆さんに深く感謝した出来事でした。
夏バテママ、添い寝にご用心。
(ファンファン福岡公式ライター / 文月)