公立中学なのに?! 制服をどこで買ったかマウントするママたち

これは「バブル世代」のママ達のお話です。女性はステータスが大事。夫や子どもの自慢できることは競って自慢する。そんなママ達の対立は、地元公立中学校の制服作りにまで及んだのです。

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バブル世代のママはちょっと違う

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 長男を育てていた約20年前の話です。当時はママの価値観も、今と大きく違っていました。彼女たちが結婚した時期は、まさにバブル景気。何をするにも「人がうらやましがる」ことが大切でした。

 私が住んでいたT町も、バブル景気で二極化がすすみました。
 生まれてから結婚後も、ずっとT町で暮らしているママが一定数。
 そして、バブルで地価が高騰するなか、まだ手が届きやすかったT町に新居を構えたというママが一定数。

 二者の対立は、子どもの幼稚園から始まります。

 お寺が経営している地元幼稚園(庶民派)と、学校法人S学園付属幼稚園(ブランド志向や受験志向が高い派)、という二大勢力になり、小学校に上がる頃には、保護者間の価値観が大きく異なるようになっていました。

 私は1駅先の保育園に通わせていたこともあり、どちらでもない立場でした。

いよいよ中学生、まずは制服作り

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 小学6年生の秋。学区の公立中学校の説明会へ参加すると、渡された袋には洋服屋のパンフレットがたくさん入っていました。 

 「卒業式の服よりも、まずは制服作りだ!」と、地元商店街にある洋品店に採寸へ行きました。元気なおじいちゃんおばあちゃんが、息ぴったりで仕事をしています。

 「こういった地元感がいいなあ」と思っているうちに、万事手際よく終わり、出来上がりを待つのみとなりました。

 保護者間でも
 「どこで制服を作った?」という話題になります。
 生地の良し悪しや、購入特典について… いつまでも続く噂に、私はうんざり。

百貨店で制服を注文?!

 そんななか、びっくりする話を耳にします。制服作りのために、わざわざ某有名百貨店の外商を家に呼び、制服試着会を行ったというではありませんか!

 附属幼稚園派のママAさんが呼びかけ、5名ほどのママが名乗りを上げたそうです。
 1人1人が制服をファッションショーのようにお披露目をし、親子揃って楽しい制服作りだったそうです。百貨店が用意した制服のサイズもかなりの着数だったとか。

 試着会に参加したママが、声を掛けてもらえなかったママに自慢。それを聞いた地元幼稚園派ママから噂は広がっていきました。情報ソースのママは
 「誘われなかったママは、くやしそうな様子だったわ!」と嘲笑気味に語っていたそうです。

プライドをかけたママの争い

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 私の住むT町は、都心の有名地域ならいざ知らず、埋め立て地に工場がある昔ながらの町です。

 子どもを公園で遊ばせている時から
 「小・中受験を考えるなら付属幼稚園がいいよ!」と言って付属幼稚園に子どもを通わせたママ達。でも受験して合格するのはわずかな人だけです。公立小学校に入学してからも、懇談会では常に熱心な親で、「出来のよいわが子」をアピールしていました。

 それは、ママ達のプライドをかけているようにも感じられました。
 「例え子どもが公立の学校に通っても、上流意識は捨てないのだ」と。私からしてみたら、いまだに昔の考え方にとらわれているようで、哀れにさえ思ってしまいました。

15年後 ママたちの変化

 それから約15年。下の子を育てる時は、結婚前に働いてコミュニケーション力を培ったママが多数に。ママの処世術は格段に向上していました。

 ブームの情報ソースはSNS。“卒業式で女子は袴を着るか”という話でもちきりで、“どこで制服を作ったか”については全く騒がれなくなっていました。

 思えば長男のときは、テレビと雑誌と噂話が全て。パソコンは触ったことがない人も多く、自身が取り残されてしまった分も、子ども達は親のステータスを上げる道具にされているように見えました。

 小学校高学年になると、塾に追われて友達と遊ぶことができなくなる子が増えます。学校の懇談会で担任の先生が
 「寝不足気味で、皆疲れています。しっかり睡眠をとらせてあげて」と注意喚起するほどでした。

 それでも
 「親の言うことを聞くのは小学生までだからね!」とお受験派ママが語っていたのが忘れられません。
 子どもを親の見栄のために利用してほしくない、それが今も私の本音です。

(ファンファン福岡公式ライター / 文月)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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