子どもがまだ幼稚園に通っていたころ、なぜか私に度々突っかかってくるママ友がいました。当時はつらく感じたのですが、ママ友の不可解な態度には、切実な理由があったのです。
どうしていつも私に? 意地悪な物言いにうんざり
そのママ友の子どもとうちの娘は、幼稚園の年少から年長までずっとクラスが一緒。子ども同士は仲良しでした。しかし、そのママ友が事あるごとに私に突っかかってくるため、私は苦痛を感じていました。
例えば、わが家が賃貸住まいであることに対して
「お金がないの?」と言ったり、彼女の子にできて私の子にできないことを
「○○ちゃんはだめだね」と子どもの前で言ったり。いつも見下すような言い方をされるので、私もいつしか弱みを握られたくないと緊張するようになっていました。
けれど自分が嫌な気持ちを態度に出すことで、子ども同士の仲に影響してはいけないと思い、対応には我慢。子どもには、別の友達と仲良くしてくれないかなと願うこともありました。
このままずっと関係を続けていくのは正直つらいし、うんざりもしていたので、小学校の校区が違うことをきっかけに、卒園したら付き合いは終わりにしようと、心に決めていたのです。
家に呼ばれて目撃したママ友の別の姿にびっくり
卒園を間近に控えたある日のことです。園からの帰り道で、彼女から
「今までのお礼がしたいから、家に来てほしい」と誘われました。いつもファミレスや公園で会っていたので、自宅に行くのは初めてのこと。あまり気が進みませんでしたが、もう最後だからと自分に言い聞かせて、その足で訪問しました。
私に「まだ賃貸なの?」と言うだけあって、立派な2世帯住宅でした。そして姑(しゅうとめ)さんが
「いつもお世話になっています」とにこやかに出迎えてくれました。
その後に目にしたのは、驚きの光景でした。姑さんは、私には笑顔で優しいものの、嫁であるママ友のことを冷たくあしらうのです。そしてそれは、ママ友が普段私にしているのと、まるで同じ態度だったのです。
例えば、ママ友がいれてくれたコーヒーが少し熱かったのを
「いつになったら、これくらいまともにできるようになるんでしょうね」と言ったり、私の子が玄関で靴をそろえたのを見て
「うちの孫は、いつも脱ぎっぱなしでね。母親がちゃんと教えないから」と言ったり。
そんな言葉に言い返せず、しゅんとしているママ友の姿を見て、なぜ私に意地悪な態度を取っていたのか分かったような気がしました。
その後、卒園式の前日。一緒にお茶を飲んでいた時に、私は思い切って
「あなたの言葉にずっと傷ついていた」と打ち明けました。すると、彼女は
「私はあなたとこれからも仲良く付き合っていきたい。嫌な態度をとっていたのは、ごめんなさい。実は、あなたがいつも幸せそうだったから、八つ当たりしていた」と告白されたのです。
予想外の言葉に驚きましたが、正直に謝ってくれたのはうれしく思えました。だから私は笑って
「別にいいよ」と言えました。腹を割って話せたおかげで、子どもが小学校に上がってからも付き合いが続いています。ちなみに、彼女からはその後、意地悪な態度は一切取られていません。
(ファンファン福岡公式ライター/牧野ゆか)