福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。62回目はくまざわ書店 ららぽーと福岡店(福岡市博多区)の佐藤夕華さんを訪ねました。あわせて、この時期に読みたい話題の6冊を紹介します。
実在する福岡のライブハウスが舞台!
「ブードゥーラウンジ」鹿子裕文著
―こんにちは! 今回佐藤さんが紹介されるのはどんな本でしょうか。
鹿子裕文さんの「ブードゥーラウンジ」(2020年1月ナナロク社発行、1,980円、税込み)です。舞台は音楽に魅了された“はみだし者”たちが集まる場所「ブードゥーラウンジ」。そこでのバンドマンとのやりとりや彼らの成長、人生がありのまま描かれています。
ビートルズやセックス・ピストルズなどに憧れを持つミュージシャンが登場するので、40~50代のロック・パンク好きな人は懐かしさを感じるのではないでしょうか。
―ノンフィクションですか?
はい、実話です。「ブードゥーラウンジ」も福岡に実在するライブハウスですよ。鹿子さんは元々ロック雑誌の編集者で「ブードゥーラウンジ」にはよく通っていたそうです。だからこそ、バンドマンとのつながりは深かったのではないかと思います。
―この本を手に取ったきっかけは?
元々児童書が好きで、鹿子さん作の絵本について調べていたところ、小説なども書いていることを知りました。タイトルの「ブードゥーラウンジ」はもちろん、「西鉄グランドホテル」「屋台」「バスが多い」など福岡ならではのワードが出てくる本だったので、気になって手に取ったのがきっかけです。
―気に入っている箇所はありますか?
「ブードゥーラウンジ」の見取り図が載っているページです。バーカウンターやDJブース、フロアの場所、天井や柱についてまで細かく描かれています。鹿子さんの手書きと思いますが、すごく通っていたことが伝わってきました。アングラでサブカルな感じが好きです。
―この本をオススメしたい人は?
知らない世界を見てみたいという人にオススメです。特に若い世代は見たことがない世界だと思います。好きなことを続ける“はみだし者”が集った本なので、自由な生き方に憧れるのではないでしょうか。私は「こんな生き方もあるんだな、いいな」という気持ちになりました。
―「くまざわ書店 ららぽーと福岡店」について教えてください。
2022年4月にオープンした書店です。「ららぽーと福岡」1階にあり、主に児童書やコミックが充実しています。書籍のほか、ステーショナリーも販売していますよ。
―店頭のクリスマス特集に目をひかれます…!
ありがとうございます! この時期らしい本がたくさん並んでいるので、ぜひ手に取って見てもらえたらうれしいです。児童書コーナーでもクリスマスプレゼントにおすすめの本がそろっていますよ。
また、クリスマスの後には人気の児童書を集めたフェアを開催します。「りんごかもしれない」で知られるヨシタケシンスケさん、「パンどろぼう」で知られる柴田ケイコさんなどの絵本が並ぶ予定です。
―受験シーズンですが、関連イベントの予定は?
合格祈願のお守りとして「学駅きっぷ」を配布予定です! 四国に実在する学駅(がくえき)の入場券(きっぷ)は、「入」の字と「学」の字を縦読みすることで「入学」となり、縁起のよさから人気を集めています。配布は1月1日(月・祝)から。小・中・高校生の学習参考書・辞書、一般の資格書を購入した人が対象です。
―ありがとうございました! 目頭や胸が熱くなる一冊、この冬読んでみたくなりました。続けて話題の6冊を紹介します。
「自然やせ力 運動オタクが運動やめたら-10kg!やせ細胞を120%呼び覚ます養生」【Gakken】
Elly 著、山本竜隆 監修/1,540円(税込み)
東洋医学をベースとした、誰もが本来持っている「自然にやせる力」を覚醒させるダイエット方法を紹介。チェックテストでわかる自分の体質に合った方法で、食事、睡眠、運動など、普段の生活を少し変えるだけでOK。これまでダイエットに挫折してきた人でもシニアでも、無理なく続けられ、効果が得られるのではないでしょうか。
「さだまさしから届いた見えない贈り物」【青春出版社】
松本秀男 著/1,650円(税込み)
さだまさしデビュー50周年記念出版! 高校の落研の後輩、元マネージャーで、45年以上親交のあるほめる達人の著者だからこそ書ける「さだまさし本人も知らないさだまさし」の気くばりや言葉の選び方の秘密とは。誰でも読んで元気をもらえる一冊です。
「名前のない鍋、きょうの鍋」【光文社】
白央篤司 著/1,760円(税込み)
フードライター兼コラムニストである著者が自宅にお邪魔し、一緒に食卓を囲みながら話を聞きます。登場するのは「名もなき鍋」。野菜を消費するための豚しゃぶ鍋、師匠に教わった鍋…大事な人の思い出や生き方が詰まった18編を収録。本書を読んでほっこり温まってみませんか。
「トヨトミの世襲」【小学館】
梶山三郎 著/1,980円(税込み)
気鋭の経済記者が「覆面作家」となり、はじめて書けた「世界一の自動車メーカー」の禁断の真実。詳しすぎる内部情報や極秘ネタから、小説に偽装したノンフィクションではと噂され、経済界を震撼させてきたトヨトミシリーズ。その衝撃のラストや如何(いか)に!?
「どうしてわたしはあの子じゃないの」【双葉社】
寺地はるな 著/803円(税込み)
閉塞的な村から逃げだし、身寄りのない街で一人小説を書き続ける三島天は、ある日中学時代の友人のミナから連絡をもらいます。中学の頃に書いた、大人になった互いに向けての「手紙」を見つけたから、30才になった今開封しようというのだ―。他人との間で揺れる心と、誰しもの人生に宿るきらめきを描く、感動の成長物語です。
枝元なほみのめし炊き日記【農文協】
枝元なほみ 著/1,540円(税込み)
いろいろな人の人生に共感し、応援する食を提案してきた自称「めし炊き」の著者がつづる18編のエッセイと30のレシピ。子ども食堂で子どもたちが作った具を先に炒めておく「ひき肉チャーハン」、年末の炊き出し“大人食堂”に彩りを添えた「炒めなます」。謙虚にたくましくご飯を食べて生きて行くすべての人に贈るエールが詰まっています。
いかがでしたか? 温かい室内でゆっくり読書を楽しんでは。次回もお楽しみに!