以前勤務していた会社に、とても横柄な態度の社員がいたんです。相手を見て態度を変えてくる人で、何かを言われる度に私はいつも嫌な思いをしていました。ところがある日、食堂のおばちゃんが言い放った一言で、その社員は見事に撃退されることに…。
いつも横柄な態度の社員Aさん
私が以前働いていた会社には、とっても性格の悪い男性社員Aさんがいました。どういう感じか簡単にご説明すると、入社9年目で年齢は当時31歳。高圧的なものの言い方を得意とし、役職が自分より下だと思えば偉そうに、上司にはへこへこと、人によってあからさまに態度を変えるところが嫌な感じだなといつも思っていました。
でも眼鏡をかけた端正な顔立ちをしているので、本性を知らない人は好印象を抱いてしまいそうな雰囲気なんです。外見がいいことを自分でわかっていそうなあたりも個人的には気に入らなかったですが、それは置いといて。私の役職は事務職で当時27歳。威張る対象として私は適任だったのかもしれません。
イライラをぶつけてくる
ある日、Aさん宛てに来客があった時のことです。この日は他の来客も立て込んでおり、お望みの会議室が押さえられなかった不満を、事務の私たちにぶつけてきました。会議室は基本的に早い者勝ちなので、使いたい会議室を使えないのは私たちのせいではありません。
「B会議室はいつ空くの?」と、もちろん高圧的に聞いてきます。
「15時からは取れます」と答えれば、
「もっと早くなんないの?!」と返ってきます。
それに対して
「なりません」と、普段使わないような低い声と真顔で返すのが私たちに出来る精一杯の抵抗でした。
いつも嫌な思いをさせられている事務の私たち、後輩たちからの評判は、それはそれは最低でしたが、彼の同僚や上司からの評判は悪いものではなかったので、それも腹立たしかったです。
お茶出しを要求
この会社では、来客があった際、役員以外の社員は自分でペットボトルを冷蔵庫から取り出して、自身でお客様にお出しするスタイルになっていました。
しかしAさんは、役員でもないのに
「お茶を淹れて早く持って来い」と要求してくることが多々ありました。もちろんお断りしていましたけれど、その都度イライラでした。
その上、上司にはへこへこしているので、なかなかこの本性をわかってほしい人たちに伝わらないのもモヤモヤでした。
食堂のおばちゃんの痛快な一言
役員へのお茶出しを担当していたのは、私たちではなく食堂のおばちゃんKさんです。いつも明るくて頼りになる人だったので、私は大好きでした。お茶出しの必要があると私たちが判断すれば、Kさんに依頼して出していただくという流れでした。
ある日たまたま事務の私たちが食堂にいたら、Aさんが食堂に来て、おばちゃんに直接
「お茶を早く出せ!」と要求したことがあったんです。
おばちゃんの方がもちろん年上でしたが、自分より下と判断したんでしょうね…。年下のくせに偉そうな言い方でした。それを見ていた私の怒りはふつふつとしてきましたが、それは次の瞬間消えました。なぜならその言葉を受けたおばちゃんは食堂に響き渡る大きな声で、
「ヒラ社員はセルフですから!」と言い放ったのです 。その瞬間、にぎやかだった食堂の空気が凍り付いたのは無理もありません。ヒラ社員に向けて「ヒラ社員!」と言い放った人を、私はこの時人生で初めて見ました。
Aさんの顔が怒りで固まったのもこの時初めて見ました。私たちがいることにも気付き、何も言い返せず立ち去るAさん…。私はあまりにも衝撃的な場面に出くわし、笑いを堪えるのに必死でした。
みんなの態度が変わる
「ヒラ社員」と言われてショックだったのか、天狗の鼻をへし折られたかのように、それ以来私たちにもAさんがお茶出しを要求してくることはなくなりました。
これを機に少しでも横柄な態度を取ろうものなら、私たちもガンガン言い返すようになり、次第にAさんは何も言わなくなりました。
食堂のおばちゃんのおかげで、快適な仕事ライフを手に入れた私だったのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / めめこ)