身体をつくるもとともなるタンパク質。小学生頃の子どもにとって、タンパク質は成長と発達のために必要不可欠な栄養素のひとつです。この記事では、タンパク質の重要性や摂り方、摂取の目安などについて、2児を育てる管理栄養士が解説します。
小学生にとってタンパク質が必要な理由
小学生のころは、成長と発達の重要な時期にあたります。タンパク質は筋肉、骨、皮膚、髪など、身体の多くの部分の構成要素となるため、十分な量を摂取することが非常に重要です。ここからは、タンパク質が必要な理由について解説していきます。
免疫系の強化のため
タンパク質は、免疫系の機能に重要です。適切な量のタンパク質を摂取することで、抗体の生成を助け、病気から身を守り、丈夫な身体にするサポートをしてくれるはたらきがあります。子どもは一般的に、免疫力がついた大人よりも病気にかかりやすいため、免疫系の強化のためにタンパク質が必要です。
学習能力の向上のため
タンパク質は、脳機能と学習能力にも影響を及ぼします。タンパク質は、アミノ酸がいくつもの集まってできている高分子化合物です。アミノ酸は、神経伝達物質の合成に必要であり、これらは記憶、注意力、集中力などの認知機能に直接関わっています。
注意点
タンパク質の過剰摂取は、肝臓や腎臓に負担をかける可能性があります。これはタンパク質の代謝と処理に深く関わっているためです。代謝プロセスにおいて、肝臓と腎臓に過度のストレスをかけてしまうと、これらの器官の機能障害を引き起こす可能性があるので気を付けましょう。
タンパク質の目安量
タンパク質は、具体的にどのくらいとったらよいのでしょうか。日本人の食事摂取基準2020で、推奨量が示されているのでみていきましょう。
年齢別・男女別によるタンパク質の量の違い
身体の大きさや身体活動量によっても変わってきますが、おおよそ下記の数字が目安になります。
- 6~7歳の男女:30g
- 8~9歳の男女:40g
- 10~11歳の男児:45g
- 10~11歳の女児:50g
※参考:日本人の摂取基準2020
この数字は、1日あたりの数字です。1食に直すと10〜15gほどです。
動物性タンパク質と植物性タンパク質
タンパク質は大きく分けて2種類あります。両方のタンパク質を組み合わせていくことが上手にタンパク質を摂取する秘訣。ここからは、動物性タンパク質と植物性タンパク質について解説していきます。
動物性タンパク質
動物性タンパク質とは魚、鶏肉、牛肉、卵などのことです。これらの食品はアミノ酸のバランスが良く、吸収率も高く「完全タンパク質」ともよばれます。動物性タンパク質は、筋肉の成長や修復、ホルモンや酵素の生成、免疫系の機能維持などにおいて重要です。しかし、動物性タンパク質には飽和脂肪やコレステロールも多く含まれているため、過剰摂取には注意しましょう。
植物性タンパク質
植物性タンパク質とは豆腐や納豆、豆乳などの豆製品、全粒穀物、ナッツ類などの植物由来の食品のことです。これらは繊維質やビタミン、ミネラルも豊富に含んでいます。異なる種類の植物性タンパク質を組み合わせることで、必須アミノ酸のバランスを整えることが可能です。植物性タンパク質は飽和脂肪が少なく、食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富で、心臓病や高血圧、糖尿病などのリスクを低減する効果が期待できます。
効率の良いタンパク質の摂り方
効率よくたんぱく質を吸収するためには、食事のタイミングがカギとなります。効率のいいタンパク質の摂り方を攻略して日々に活かしてみましょう。
朝食
特に、朝食にたんぱく質を含めることで、1日の活動に必要なエネルギーを供給します。朝食時のタンパク質の吸収率が良いのは、一晩の断食状態からの回復に関係しているといわれています。睡眠中は身体が断食状態のため、朝には栄養素を積極的に吸収する準備ができます。結果、朝食で摂取したタンパク質は、特に効率よく吸収されやすくなるのです。
さらに、朝にタンパク質を摂ると、一日のエネルギー代謝を高め、筋肉の合成を促進するはたらきがあります。朝食にタンパク質を摂る習慣がない家庭も多いといわれていますが、積極的に朝食に取り入れるのがおすすめです。
運動後
運動後にタンパク質の吸収率が良くなるのは、運動をすると筋肉を作るスピードがあがるためです。高強度の運動は、筋繊維を損傷します。これによって、身体は修復と筋肉の成長を促すために、タンパク質の合成を高めるのです。そのため、筋肉はアミノ酸をより積極的に吸収するようになります。また運動後は、タンパク質とともに炭水化物を摂取することがおすすめ。タンパク質の吸収と利用がさらに効率的になります。
効率良くタンパク質を摂るための食事の工夫
お肉だとパサついたり、魚だとクセがあって食べなかったりと食事の工夫も必要となってくるタンパク質。子どもが好むような工夫を凝らしたレシピで、タンパク質を楽しく摂りましょう。また揚げ物よりも、焼く、蒸す、煮るなどの健康的な調理法を選びましょう。揚げ物の時でも、油を少なくして揚げ焼きにするだけでも脂質の摂りすぎを抑えてくれます。タンパク質の質を保ちつつ、不必要な脂質の摂取を避けることができますよ。
タンパク質が豊富な食材
どのような食べ物にタンパク質は豊富に含まれているのでしょうか。ここからはタンパク質が豊富な食材について紹介します。
肉
鶏肉、豚肉、牛肉などにタンパク質は豊富に含まれています。とくに鶏むね肉は低脂肪かつタンパク質が豊富。値段も安いことが多く、家庭の強い味方となってくれます。
魚
サーモン、まぐろ、しらす、さばなどの魚類もタンパク質が豊富。特にしらすのタンパク質は必須アミノ酸をバランスよく含んでいます。さらに子どもに不足しがちな栄養素であるカルシウムも豊富。ご飯にかけてサッと食べることができます。
たまご
全ての必須アミノ酸を含んでいるたまごにもタンパク質が豊富に含まれています。しかしビタミンCや食物繊維などの一部の栄養素が欠けているため、野菜と一緒に炒めたり、スープにしましょう。
乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズなどには良質なタンパク質が含まれています。特に濃厚なギリシャヨーグルトには含有量が多いです。おやつや朝食などに取り入れやすいので活用するとよいでしょう。
豆類
レンズ豆や黒豆、ひよこ豆、豆乳や納豆などの大豆製品にもタンパク質が豊富です。豆類なら煮物にしてみたり、黒豆は蒸しパンやパウンドケーキにいれてみたりとバリエーションに富みます。
穀物
キヌア、玄米、オートミールなどの穀物には良質なタンパク質が含まれています。サラダやスープのトッピング、またご飯に混ぜ込んでもおいしいです。
ナッツ類
アーモンド、カシューナッツ、チアシードは手軽に食べることができるうえにタンパク質が豊富です。おやつや、スムージーなどのトッピングにいかがでしょうか。
野菜
ブロッコリーやほうれん草、アスパラガスなどの一部の野菜にもタンパク質は含まれています。食卓の彩りとなる野菜をプラスαすることで、食卓がより楽しくなり親子の会話も弾むでしょう。
適切な量のタンパク質で成長期の子どもをサポートしよう
成長期にあたる小学生。タンパク質をしっかり補って、子どもの健康維持向上をサポートしていきましょう。