子どものスマホはいつから持たせる?スマホ購入前に決めておきたいルールとは

6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

大人は当たり前のように持っているスマホですが「子どもはいつから持たせるべきか」と悩む保護者は少なくないでしょう。購入のタイミングや理由はさまざまですが、トラブル防止のためのルール決めは、何歳でも必要だといえます。

今回は、スマホを子どもにいつから持たせるとよいかを、購入前に知っておきたいポイントとともに見ていきましょう。

目次

子どものスマホはいつから?小学生から持たせる家庭も

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子どもにスマホを持たせるタイミングはさまざまです。家庭によっては、小学校入学前から持たせていることもあります。まずは、スマホを持たせる年齢について、アンケートをもとに解説します。

子どもがスマホを持ち始める年齢は?

2017年のサムライト社によるアンケートで、子どもにスマホを持たせる年齢で最も多かったのは“高校1年生”でした。

※「TONE」より引用

次いで多かったのは中学1年生で、なかには幼稚園や保育園の頃からスマホを持たせていると回答した保護者もいました。反対に、高校2.3年生、大学生になってからスマホを持たせたという回答もありました。

しかし、2023年3月に「MOBIEWN」が行った、子どものスマホ利用に関する調査では、小学校6年生までにスマホを持たせる家庭が67%という結果が出ています。

※「MOBIEWN」より引用

幼稚園や小学校低学年からスマホを持たせているという回答は全体の34%で、2017年の調査で最も多かった「高校生以降」は、2023年には7%。スマホ所持の低年齢化が起こっていることがわかります。

“節目”のタイミングから持つケースは減少傾向?

2017年の調査では高校1年生・中学1年生と、進学のタイミングから子どもにスマホを持たせ始めるという回答が多かったものの、2023年の調査では小学校5~6年生をはじめ小学校のあいだに持ち始めるケースが増えています。

「中学1年生から」という回答も18%と多い結果ではありますが、6年前と比べて「進学のタイミング」を意識している家庭は少ない印象です。

筆者も数年前は「中学生になったから」「志望校(高校)に合格したから」など、節目のタイミングをスマホ所持の目安にしている先輩ママの話をよく耳にしていましたが、調査結果を見ると、こうしたケースは減少傾向にあるように感じます。

子供に携帯・スマホはいつから持たせるべき? 200人の親に聞きました https://tone.ne.jp/column/education/children-smartphone/
子どものスマホ、いつから持たせる? 7割弱の親が「小学6年生までに持たせている」 https://webtan.impress.co.jp/n/2023/03/30/44560

子どものスマホはいつから持たせるのがベスト?

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子どもにいつからスマホを持たせるのか、できれば「ベストな年齢を知りたい」と思う保護者も少なくないのではないでしょうか。筆者はそう思っていましたし、前述のような先輩たちの話を聞いて、子どもが小さい頃は「高校に入るタイミングでいいだろう」と考えていました。

しかし、成長するにつれてスマホがないと生まれる心配があること、子ども用のスマホがあると便利だと感じることが増えたのも事実です。

子どもにスマホを持たせるのに「ベストな年齢」というのはなく、「家庭によって違う」というのが実際のところでしょう。後述するような理由がなく「子どもがスマホを持っていなくても特に困ることはない」という場合は、中学や高校入学の節目のタイミングで購入するのも、1つの方法です。

子どもに早くからスマホを持たせる理由

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子どもの年齢が低いうちからスマホを持たせる理由はさまざまです。「MOBIEWN」をはじめとした調査で多かった3つの理由について、詳しく見てみましょう。

保護者と連絡を取るため

最も多かった理由は、保護者との連絡目的です。年齢が上がると、学校からの登下校だけでなく習い事にも子どもだけで行くケースが増えてきます。また、日中保護者が仕事に行っているあいだ、子どもだけで留守番をすることもあるでしょう。

保護者と子どもが離れた場所にいるあいだもすぐに連絡が取れるようにというのが、スマホを持たせる大きな理由です。

防犯のため

位置情報を共有する機能やアプリを使って、子どもの居場所を確認することを目的に、スマホを持たせる保護者も多くいます。居場所の特定は日常的な防犯に役立つだけでなく、災害など予期せぬ事態が起こった場合にも重宝します。

スマホを持っている子どもが周りに多いから

スマホを持たせる明確な理由がなくても、購入するケースもあります。友だちの多くが持っているからと、保護者から購入を提案するだけでなく、子どもから「友だちが持っているから買って欲しい」とお願いされて購入に至る場合も。

周囲にスマホを持っている子どもが多いと、スマホを持っていないだけで仲間に入れなくなる可能性はゼロではありません。また、兄や姉がスマホが必要となり購入するタイミングで、妹・弟にも一緒に買い与えるパターンもあるようです。

その他の理由

上述の3つは、子どものスマホ購入で挙げられることの多い理由ですが、「スマホで楽しめるエンタメを体験させたい」「学習ツールとして活用する」「ネットリテラシーを高める」など、保護者の考えはさまざまです。

保護者が考えるスマホ購入の目的は、スマホを持たせることによって得られるメリットにも共通します。

※「MOBIEWN」より引用

仕事などで離れているあいだも、子どもと連絡したり居場所を確認できたりすることはもちろん、使い方次第で子どもにとってもよい影響があるといえるでしょう。

子供にスマホを持たせて大丈夫?ルール作りのポイントや注意点について解説 https://aeonmobile.jp/column/kids-smartphone-rule/

【子どものスマホ】多くの保護者が心配していることは?

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子どもにスマホを持たせることで発生するのは、メリットだけではありません。離れていても見守れる安心感とは裏腹に、子どもにスマホを持たせている保護者は、次のような不安を抱えています。

スマホ依存症になってしまわないか

動画視聴やゲームなど、子どもは連絡手段以外のさまざまな方法でスマホを利用します。夢中になってスマホを使っているあいだに、スマホ依存症になるのではないかと不安に思う保護者は少なくありません。

スマホに限らず「ネット依存」の話になってしまいますが、KDDIの調査によると、2020年のネット依存率は小学生が13.7%、中学生が18.9%となっています。自由に使える自分用のスマホを持っている子どもの保護者は、よりネット依存が心配なのではないでしょうか。

ネットでのトラブルに巻き込まれないか

ネット上でのトラブルは、自由に投稿やメッセージのやり取りができるSNSを中心に、さまざまな場所で起こる可能性があります。ネットの正しい使い方を理解しないまま、親の目の届かない場所でネットの世界に入り込んでしまうと、トラブルや犯罪に巻き込まれることもあるかもしれません。

視力が低下しないか

同じ距離で長時間画面を見続けると、視力が低下することもあります。ゲームやテレビ、パソコンなども同様ですが、昨今はスマホによる視力低下も深刻です。スマホで動画やゲームなどを長時間楽しむことは、視力低下だけでなく、眼精疲労やドライアイといったさまざまな目のトラブルにつながります。

生活リズムが乱れないか

夜遅くまで動画を見たりゲームをしたり、友だちとメッセージのやり取りをしたりしていると、夜更かしにより生活リズムが乱れてしまいます。夜更かしすれば朝もなかなか起きられなくなりますし、睡眠時間が短くなることで成長に影響が出たり、気持ちが不安定になりイライラしたりすることもあるため注意が必要です。

学力に影響しないか

スマホアプリには、学習に関連するコンテンツも多くありますが、動画視聴やゲーム、SNSなど学習とは関係のないコンテンツを長時間利用すると、学力低下につながるのではないかと心配する保護者もいます。

「スマホを持っているから学力が低下する」ということはありませんが、本来学習すべき時間にスマホをずっと操作していれば、学力に影響する可能性は高いです。また、夜遅くまでスマホを使っていることで「朝起きられない→遅刻や欠席が増える→学校の勉強についていけない」ということも起こるかもしれません。

課金や詐欺などの金銭トラブルが起こらないか

子どもが保護者に無断で、有料サイトやコンテンツに課金をしてしまうというトラブルは実際に起こっています。また、オンラインという顔の見えない場所を悪用した詐欺などに遭う可能性も、スマホを使っている以上ゼロではありません。

金銭トラブルも、子どもがスマホを持つことで保護者が心配するものの1つです。

Time & Space https://time-space.kddi.com/au-kddi/20210302/3071

【子どものスマホ】持たせる前に確認したいポイント 

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子どもにスマホを持たせようと決めたら、ルールや使い方について事前に親子で話し合うことが大切です。ルールを守れなかった場合どうするかというところも、細かく決めておきましょう。

【保護者】スマホを持たせる目的

子どもにスマホを持たせるのには、何かしらの理由があるはずです。スマホ購入の前には、「なぜ子どもにスマホを持たせるか」という部分を明確にしておきましょう。「連絡用」「防犯用」として必要なのであれば、スマホではなく目的に合った「キッズケータイ」などを選択肢に入れるのも1つの方法です。

ちなみに「周囲が持っているから」というのも、立派な理由の1つだと筆者は考えます。ただし、「友だちとのコミュニケーションを円滑にするため」「ネットのコンテンツを楽しむため」に購入する場合も、ルールを徹底することは必要でしょう。

スマホ利用に関するルール

小学校低学年、中学年の子どもだけでなく、高学年、中学生になってもスマホ利用に関するルールは必要です。具体的には、次のような内容を決めておくと、購入後にトラブルや保護者の悩みが起こりにくくなります。

・スマホが使える時間帯
・1日にスマホを使っていい時間
・スマホを使う場所
・使っていいアプリ

その他、ルールに入れたい内容例は以下の通りです。

・食事中や勉強中は使わないこと
・フィルタリングサービスを使うこと
・勝手に課金をしないこと
・夜は使わないこと など

その他、保護者が使用を想定し「これは譲れない」と思うルールがあれば、リストアップして子どもと確認しましょう。

インターネットの正しい使い方

スマホを持つと、必然的にインターネットの利用機会は増えます。小学生のうちからインターネットを使うのは早いと思う保護者もいるかもしれませんが、正しい使い方を教えて活用すれば、ネットリテラシーを学ぶ機会にもなります。

インターネットの正しい使い方として、親子で確認したい内容を見てみましょう。

・個人情報の特定できる内容、写真は投稿しない
・SNSの利用可能年齢を守る
・ネット上に悪口を書かない(メッセージでも同様)
・知らない人に電話番号やLINEIDを教えない、交換しない
・困ったことがあれば保護者に報告する(都合の悪いことを隠す、嘘をつくのはNG)

FacebookやInstagram、TikTok、TwitterなどのSNSは、13歳以上を利用可能年齢としています。12歳以下の場合は、これらSNSでの投稿はもちろん、閲覧もしないよう徹底しましょう。

LINEは推奨年齢を12歳以上としていますが、それ以下の子どもも家庭で話し合って利用の有無を決めてほしいという方針です。保護者との連絡手段として利用したい場合もあるでしょうが、「友だちとは交換しない」「連絡先やメッセージを保護者がチェックする」などのルールを決めておくと、トラブルに発展するリスクを軽減できます。

ルールを守れなかった場合のペナルティ

スマホ購入前には、ルールをもし守れなかった場合についても話し合って決めておきます。時間や使い方に関するルールを破った場合はもちろん、「成績に影響が出た場合」など、ペナルティが発生する状況を家庭によって追加するのも1つの方法です。

ペナルティは「一定期間のスマホ利用禁止」「特定の機能(保護者との連絡のためのもの)以外は使用禁止」など、年齢に合わせて実行できる内容を設定します。また、ルールを守れなかった場合には、実際にペナルティを遂行することも重要です。

「かわいそうだから」「今回だけは」などと曖昧にしてしまうと、子どもが「ルールを破っても問題ない」と判断する可能性もあります。「ルールを破ってしまったら、100%ペナルティが発生する」という意識を子どもに持ってもらうためにも、具体的かつ子どもも納得できるペナルティを決めましょう。

子どものスマホは何歳から持たせる?平均やいつからなのか解説 https://coeteco.jp/articles/10849
私たちのスマホルール https://aeonmobile.jp/plan/securityplus/img/rule.pdf

子どものスマホをいつから持たせるかはさまざま!小中学生は保護者の管理もしっかりと

子どもにスマホをいつから持たせるかは、保護者の仕事の状況や子どもの習い事、きょうだいの有無などによっても異なります。小中学生でスマホを持っている子どもは増えていますが、トラブル防止にはルールをしっかりと決め、保護者の管理のもとで使用することが重要です。

わが家では、昨年8月から小2の長男にスマホを持たせています。持たせる予定はなかったのですが、実父のスマホを解約するかどうか迷ってショップに相談に行ったところ「格安スマホに乗り換えては?」との提案を受け、そのまま譲り受けました。

LINEは父のアカウントを引き継ぎましたが、ほとんど使っていなかったので息子の連絡に必要な家族のものを残し、メッセージなどの内容も私が管理しています。留守番やお出かけの際に持たせる以外は、土日に動画を見るときにたまに使用を許可するだけ。その他の時間は私が預かっているので、「長男のスマホです!」といえるかは微妙ですが…。ちょっと放置していたら、勝手に「LINE VOOM」というショート動画を見ていたときがあったので、ルールを決めて使う、保護者が内容も端末も管理するというのは、低学年の子どもには必要だと実感しています。

スマホ利用のルールは家庭によって異なりますが、保護者ができるだけ不安なく子どもにスマホを渡せるようなものを、考えてみてくださいね。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

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