成人の日が始まったのは1948年!「18才から成人」による変更点は?

6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

「成人の日」は、お正月の次にやってくる1月の祝日です。現在は1月の第2月曜に指定され、新成人以外にも3連休を満喫する人は少なくないでしょうが、どのような歴史を持った祝日か、ご存じでしょうか。

今回は、成人の日の由来や、第2月曜に変更した理由などを解説します。民法改正により成人式に生じた変化にも触れていますので、子どもと祝日について話す際の参考になれば幸いです。※諸説あります

目次

成人の日の歴史と由来

Adobe Stock

まずは、成人の日の歴史と由来を確認しましょう。成人の日が祝日に定められたのは、昭和20年代のことです。

1948年に定められた国民の祝日

成人の日が国民の祝日に定められたのは、1948年(昭和23年)7月20日です。これは「国民の祝日に関する法律(祝日法)」が公布された日で、祝日法とともに、成人の日が生まれたことがわかります。

当時の日本は、第二次世界大戦後。敗戦から立ち上がろうとしている時期でした。

成人の日はどんな行事に由来する?

成人の日の元となっているのは、平安時代に始まったといわれる「元服」や「裳着(もぎ)」といった行事です。元服は、男の子が一人前の大人として認められる儀式で、10~20歳のあいだに行われていました。また、裳着は結婚前の女の子の成人儀礼で、12~16歳くらいが対象です。

これまでの子どもの髪型や着物から、大人の髪型や着物に改め、成人として認められる元服や裳着に代わる現代の儀式を行う日として、成人の日ができました。

成人の日とは?由来や成人年齢が18歳になって変わったこと https://www.studio-alice.co.jp/seijin/furiho/adult%27s-day/

「成人の日」と成人式は別物?

Adobe Stock

「成人の日」と聞くと、成人を迎えた人たちのための「成人式」をイメージする人も多いでしょう。しかし、実は成人式は、成人の日が祝日に制定される前から行われていた儀式だそうです。

成人式は“イベント”の名称

成人の日と成人式を混同してしまうかもしれませんが、厳密にいうと2つは同じものではありません。成人の日は祝日、成人式は成人を祝うイベント名称です。

成人式は、地方自治体が企画・実施します。年度内に成人を迎える人を招待し、式典や講演会を行ったり、記念品を贈ったりします。

「成人の日」制定前に行われていた成人式

前述の通り、成人の日が制定されたのは1948年ですが、成人式が初めて行われたのはその少し前、1946年11月でした。イベントを開催したのは埼玉県の北足立郡蕨町、現在の蕨市です。同市は1946年11月22日、「敗戦後の苦しい時代でも、次代を担う若者に明るい希望を持ってほしい」という思いのもと、「青年祭」というイベントを開きました。

成人の日が祝日に決まってからは「成人式」と名前を変え、開催時期も1月になりましたが、「青年祭」は祝日の制定に大きく影響を与えたともいわれています。

成人式、成人のお祝いは何をする?

地方自治体が行う成人式では、市長や来賓の方の祝辞や、成人代表の挨拶などが行われるのが一般的です。なかには地域の学校や団体の演奏や、その地域出身の著名人を招いての講演会やパフォーマンス、ビンゴ大会のようなゲームを行う自治体もあります。

成人のお祝いとして、保護者から贈り物をする家庭も少なくありません。また、家族でお祝いの食事をする、成人を迎えた子どもを囲んで家族写真を撮ることもあります。

女性の「振袖」も、成人式ならではの風習だといえます。一生に一度の記念の日に振袖を着て大人への一歩を踏み出す姿は、保護者にとってもかけがえのない思い出になるでしょう。

成人式の式典の内容とは https://chouseisan.com/l/post-120380/

成人の日は1月15日から変更!その理由は…

Adobe Stock

1948年の祝日法で制定された成人の日は、1月15日でした。しかし、2000年から1月の第2月曜日に変更され、現在に至ります。そもそもなぜ1月15日を成人の日としたのか、そして1月の第2月曜日に変更となった理由を解説します。

1月15日が成人の日になったのはなぜ?

もともと成人の日だった1月15日は、古くから「小正月」として、元服の儀式をしていた日だといわれています。成人の日は男の子の元服に由来するので、成人の日もこの日に制定されました。

2000年から1月の第2月曜日に変更

長らく成人の日とされていた1月15日から、現在の1月第2月曜日に変更されたのは、2000年からです。この背景には、国民の祝日の一部を、従来の日にちから特定州の月曜日に移動する「ハッピーマンデー制度」があります。

週休2日制が企業にも浸透しはじめていた当時、月曜日を国民の祝日にすることで「3連休」を満喫してもらおうという趣旨で制定された「ハッピーマンデー制度」。成人の日のほか、スポーツの日(旧体育の日)も2000年より10月10日から10月の第2月曜日に移動し、その後2003年には、海の日を7月の第3月曜日に、敬老の日も9月の第3月曜日に変更されました。

ハッピーマンデー制度が適用されたのは2000年の成人の日からで、この年は1月15日ではなく、1月10日が祝日でした。

成人の日は毎年日にちが変わる!

2000年から第2月曜日に変更された成人の日は、毎年日にちが変わります。2024年の成人の日は1月8日でしたが、来年、2025年の成人の日は1月15日です。

月曜から始まる年は1月8日、火曜からの年は1月14日が成人の日となり、年によって最大6日の幅があります。余談ですが、私が成人式を迎えた2008年の成人の日を調べたところ、1月14日でした。

平成24年成人の日にあたって https://www.hibari.jp/weblog00/archives/2012/01/post_1303.html
ハッピーマンデー制度 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%83%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%83%87%E3%83%BC%E5%88%B6%E5%BA%A6

民法改正で“18歳”から成人に!成人式はどうなった?

Adobe Stock

成人の日が1月15日から1月の第2月曜に変更になっただけでなく、2022年には民法改正で成人年齢の引き下げもありました。成人年齢が20歳から18歳になったことで、成人式にはどのような変化があったのでしょうか。

18歳から成人で変わったことは?

これまで20歳からしかできなかったことのなかには、民法改正によって18歳からできるようになったことも多くあります。2024年1月現在の情報で最も代表的なのは、「選挙権」ではないでしょうか。

ほかにも20歳未満での結婚は親の同意が必要でしたが、民法改正により不要となりました。ただし、女性はそれまで16歳から婚姻可能だったのが、民法改正とともに男性と同じ18歳に引き上げられています。

また、アパートの契約やクレジットカード作成、10年パスポートの申請、国籍の変更、携帯電話の契約なども、18歳から可能です。反対に、飲酒や喫煙、ギャンブルなどは民法改正前と同様に、20歳を過ぎないとできません。

名称を変えて20歳で式典を行う自治体が多数

20歳の式典である「成人式」も、成人年齢が18歳になったことでどう変わるのかが注目されていました。結論、民法改正後もこれまでと変わらず20歳で式典を行う自治体がほとんどのようです。

18歳の1月は多くの人が高校3年生。大学受験真っ最中という人もいれば、就職や進学が決まり準備に追われている人もいます。18歳で成人式をしない理由はさまざまですが、そのような状況で成人式に出席するのは難しいのではないかということが、「18歳での成人式」実現に向けた最も大きな懸念点だったのではないでしょうか。

とはいえ「18歳から成人」という事実は変わりません。従来の成人式は「20歳のつどい」などと名前を変えた式典へと変化しています。

少数ながら18歳で成人式を実施する自治体も

ほとんどの自治体が20歳で記念式典を行う一方で、18歳を成人の式典に参加させる自治体もあります。2024年の成人式で18歳を成人式に招待したのは、大分県国東市と三重県伊賀市、宮崎県美郷町の2市1町でした。

民法改正後に迎える2度目の成人の日でしたが、18歳で実施したのは全国でたった3例。今後も18歳の受験や就職活動などを考慮し「式典は20歳で」という風習は続いていくのではないでしょうか。

成人式の謎~なぜ「成人の日」は1月15日でなくなったの?なぜ式典に18歳は参加できないの? https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ea2723a2a0c6723d6e48f1833a736dd50935cb1f

成人の日は昔の儀式に由来!成長の節目を家族でお祝いしよう

Adobe Stock

成人の日は、祝日法により1948年に制定された国民の祝日です。もとは1月15日でしたが、「ハッピーマンデー制度」により、現在は1月の第2月曜日となっています。

成人年齢の引き下げもありましたが、旧成人式は「20歳のつどい」などと名前を変え、20歳で行われるケースが多いのが現状です。家庭では成人を迎える18歳で、就職や進学と一緒にお祝いしてもよいでしょうし、従来通り20歳という節目のタイミングにお祝いするのも1つの方法です。

伝統的な日本の行事が由来の成人の日。大人への一歩を踏み出すわが子を、温かい気持ちで次のステップに送り出せるとよいですね。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

目次