祖母が語った不思議な話・その参「雨宿り」

 私が小さい頃、明治生まれの祖母は、ちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつ紹介していきます。

イラスト:チョコ太郎

 「ガサガサ、ゴトゴト」
 雨が続いていたある日、床の下から音がした。
 何だろうと思った祖母は、勇敢にも縁の下に入って行った。
 そこは、十歳にならない祖母には広く暗い不思議な空間だった。

 目が慣れてくると、たしかに何かがいる。
 「ザッ!」近づくと犬のようなものが逃げて行った。

出典:チョコ太郎

 それから数日後、また音が聞こえた。
 今度は潜らず、入口に芋を置いて待った。
 五分、十分…出てきた!
 それはたいそう痩せた子狸だった。

出典:チョコ太郎

 可哀想に思った祖母は自分が食べるつもりだった分の芋まで与え
 「人に見られると獲られるから、早くお帰り!」と話しかけた。
 すると食べるのをやめ、祖母の顔を見ながら子狸が口を開いた。

出典:チョコ太郎

 「デモ…アメ」
 祖母には確かにそう聞こえた。
 狸は雨が嫌いで、雨の日は巣から出ない習性があるそうだ。
 祖母が十八歳でお嫁に行くまで、雨が降るとたびたび狸はやって来たという。

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