1人目の妊娠中、「予定日が同じで同姓同名の人」がいると知ってびっくり。同姓同名の人自体が初めてで気になっていたのですが、産後の入院中には見かけませんでした。そのまま会えずじまいかと思いきや、後日意外な場所で遭遇するのです。
同姓同名で予定日も一緒
1人目を里帰り出産することに決めた私。妊娠7カ月の時、分娩予約を兼ねて出産予定の病院へ健診を受けに行きます。健診後、助産師から渡された分娩時の書類に目を通していると、助産師が
「そうそう…」と思い出したような口調で
「同姓同名で予定日も同じ妊婦さん(Aさん)がいるんですよ」と言うのです!
私は苗字も名前もすごく珍しい訳ではないですが、同姓同名の人は初めて。しかも同日に同じ病院で出産予定なんてびっくりです。驚きの表情を浮かべる私に対して、助産師はにこやかな表情のまま
「もう一人の方は経産婦で予定日前に生まれるかもしれないし、実際の出産日はずれる可能性が高いと思います。もし同日になっても、赤ちゃんを間違えないように気を付けますね」
と、私を安心させるように言います。
けれど産後に赤ちゃんが病院でどのように過ごすのか分からない私は「もし赤ちゃんが取り違えられたらどうしよう…」と心配になってしまいました。
産後の入院中は会えずじまい
だんだん予定日が近付くなか
「いつ陣痛がくるんだろう? Aさんの赤ちゃんはもう生まれたのかな?」と出産のことを考えていると、予定日2日前に破水して入院することに。1日以上の陣痛待ちを経て、予定日ぴったりに娘を出産しました。
出産の喜びに浸りながら分娩台に寝ていると、助産師さんが娘の足首にネームバンドを付けるのが見えます。自筆した私の名前と、私の腕についているバンドと同じID番号が書かれたものです。
私が分娩台の上で休んでいる間は、出産に立ち会った夫、出産中は室外で待機していた両親、弟、義両親も娘と対面します。私の腕の上にいる娘を皆が満面の笑みで眺め
「かわいい!」と感動しきりでした。
娘の足にはネームバンドが付いていますし、娘の姿を皆でばっちり目に焼き付けたので、「これで娘と他の赤ちゃんの取り違えは起こらないだろう」とひと安心。
すると今度は「入院中にAさんに会えるかどうか」が気になり始めます。入院中はほとんど病室内で過ごしていましたが、1日に1回娘の体重を測るために授乳室へ行っていました。
6畳ほどの授乳室では、他の人と一緒になることも。新しい人を見かける度、新生児用ベッドに書いてあるママの名前をちらっと見ますが、顔を合わせた人の中にAさんはいませんでした。会えずじまいで退院日を迎えてしまい残念… ですが、まだ続きがあったのです。
1カ月後にまさかの遭遇
娘の1カ月健診で再び病院へ行った時のことです。小児科で健診を終えあとは会計のみ。総合病院なので、会計窓口の前にずらっと並ぶ椅子に座って待ちます。
私の名前が呼ばれ、娘を母に預けて窓口へ向かうと、会計担当者が
「本日は産婦人科の受診ですね」と言うのです。私が戸惑いながら
「小児科です…」と言うと、担当者は
「えっ?」と驚き、領収書を確認。私も見ますが、確かに産婦人科と記載されていました。
2人で混乱し始めた時、後ろから
「あの… ○○です」と、遠慮がちに私と同姓同名を名乗る声が。振り返って私と同世代の女性を見た瞬間、私はAさんのことをハッと思い出します。同時に、小児科の受診なら呼ばれるのは娘の名前のはず… と自分の間違いにも気づきました。
私が会計担当者に
「すみません。私も同じ名前なので間違えました」と伝えると、
「あっ」と何かを思い出した様子のAさん。そして笑顔になったAさんを見て、Aさんも私のことを助産師から聞いていたんだな、と思いました。
つられて笑顔になった私はAさんに会釈して戻ります。会計担当者だけが、混乱した顔のまま私たちを交互に見ていました。
あれから5年以上たちますが、同姓同名の人に会ったのはAさんのみです。会えないまま退院日を迎えた時は少し心残りがあったので、後日会うことができてスッキリしました。遭遇したのが会計窓口という意外な場所、しかも私が会計を間違えたから対面できたというハプニング付きで、今もしっかり印象に残っている出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター/坂 真琴)