小学生になると、お家のお手伝いをすすんでしたり、子どもにも家事の役割分担の一つとして手伝いをお願いすることが多くなります。子どもにとってお手伝いは、単に親の負担軽減になるだけでなく“生きる力”を身につけられる良い経験に。今回は、小学生ができるおすすめのお手伝い内容や、お手伝いのメリットなどをご紹介。
お手伝いをしてもらう上での親の関わり方のポイントも解説していますので是非参考にしてみてくださいね。
小学生はどんなお手伝いをしているの?
小学生の子ども達はどんな日ごろお手伝いをしているのでしょうか。
お手伝いをしている子の割合・頻度
厚生労働省の調査によるとお手伝いをしているという子どもの割合は女の子は82.7%、男の子は79.3%にのぼり性別によって若干差があるもののおよそ8割の子どもが何かしらの手伝いをしていることがわかりました。母が専業主婦よりも就業している子の方がお手伝いをする割合が少し多くなっているようです。
また、全国生活協同組合会が小中学生のお子さんを持つ女性1,000名に行った調査によると子どもがお手伝いをする頻度については「ほぼ毎日」が24.8%、「週に3~4日」が25.7%で、「週に1日以上」の割合は67.0%という結果に。週に1日以上手伝いをしている子の中でも毎日の手伝いが習慣づいている子も多いことが分かります。
お手伝いの内容
小学生のお手伝いの内容は炊事・洗濯・掃除のいわゆる家事全般の中で子どもの年齢に合わせて自分で選んだり親がお願いしていることが多いです。例えば、炊事はお米を研いだり料理を一緒に作る・食器の配膳や洗い物。洗濯は洗濯物を畳む作業。掃除はお風呂やトイレの掃除の他、掃除機をかけるなど。
よくするお手伝いの中には食後の食器を下げる、兄弟の世話、ゴミ出しなどがあげられます。ペットがいる家庭ならペットのお世話も子どもの役割になる場合が多いでしょう。
【参照】
Microsoft Word – 第12回概況 (mhlw.go.jp)
小中学生のお手伝いに関する調査 (jccu.coop)
お手伝いが子どもに与えるメリットは?
小学生の子どもの手伝いは親の負担が軽減されてママやパパが嬉しい!のはもちろんですが、子どもにとってもさまざまな成長ができる良い体験に。では、家事をお手伝いすることは子どもにとってどんなメリットがあるのでしょうか。
生きる力を養える
家庭内で小学生がするお手伝いは、多くが炊事・洗濯・掃除など大人になって必ず必要になる家事ばかり。小さなうちからこのような家事ができると、自然と生きる力が養えるようになります。
生きる力とは家事スキルが上がるというだけでなく、責任感や自己肯定感など子どもが健全に成長するために必要な要素も含まれています。お手伝いをやり遂げた時に感じる達成感、両親に褒められた時に高まる自己肯定感は、やがて頼まれたことを最後までやり遂げようとする責任感をもうんでくれるでしょう。
手指の発達にもつながる
洗濯をたたむ・食材を切るなどは指先を沢山使うお手伝いです。どんな作業でも体を使うことが多くなるため、手指の発達や心身の発達をうながしてくれるともいえます。
また、さまざまな素材の衣服をたたんだり、食材に触れることでものの感触の違いを感じ取ることもできます。五感の発達にもメリットがありそうですね。
親子間のコミュニケーションが増える
一緒に買い物へいったり、料理や掃除をするお手伝いを通して、自然と親子間での会話が増えコミュニケーションをとる時間が増加します。
仕事や下の子のお世話などで小学生の子どもとゆっくりと話す時間がとれないという場合には、このようなお手伝いの時間を一つのコミュニケーションタイムとして一緒に作業したり見守りながら今日一日の出来事などについてお話を聞いてみるのもよいでしょう。
思考力の向上にも一役
お手伝いが慣れてくれると、子ども達もどのようにしたら早くできるようになるのか、効率的な進め方や自分なりのやり方を考えられるようになります。洗い物やトイレ掃除、お風呂掃除など一見やり方が決まっていそうなものでも、子どもなりにこうしたら楽になるかも!もっとこうしてみよう!など工夫してお手伝いを楽しめるようにもなるでしょう。
【学年別】小学生におすすめのお手伝い
これからお手伝いをしてもらおうと思っている方へ、小学生におすすめのお手伝いの項目をご紹介します。低学年・中学年・高学年と小学生もできることが増えていきますので、年齢やその子にあったお手伝いを無理なくお願いしてみましょう。
低学年
小学校1,2年の低学年のうちはまだ体や手も小さいので、簡単に楽しくできる様なお手伝いを子どもと選んでみてください。
料理
子どもが興味をもってやりたがる家事の一つがお料理。おままごとの発展として幼稚園保育園時代から料理のお手伝いを好んでしているという子も多いです。
初めてする場合は、包丁や火は使わずに餃子のタネを混ぜる・つつむ、ホットケーキの生地をまぜるなど簡単な作業がおすすめ。
ゴミの分別
使ったものを戻す、いらないものは捨てるなど基本的な片付けは小学生の低学年のうちから身に着けておきたいところ。ごみの分別も立派なお手伝いです。SDGsの観点からも、リサイクルできるものはどれなのか親子で話し合いながら分別する習慣をつけましょう。
ゴミ箱に燃えるゴミ・燃えないゴミ・ペットボトルなどイラストやラベルをつけてあげると子どもにもわかりやすくなります。
上履き洗い
“自分のものは自分で洗う”という習慣つけなら上履き洗いがピッタリ。毎週末学校から持って帰ってくるので、週末のお手伝い項目にしてみていかがでしょうか。最初はうまく洗えないので子どもが洗った後親が仕上げをしてあげるなどの配慮も必要ですが、少しずつ一人でできるようにもなります。
中学年
小学校3,4年生頃は、掃除や料理もできることが増えていきます。中学年になると中だるみや思春期の入口にさしかかり、習慣だったお手伝いもめんどくさいと思ってやらなくなったりさぼることも。無理強いをするのではなく、子どもの興味関心に合わせて新しいお手伝いを提案してみるなど、飽きずにできるような工夫をしていきましょう。
料理
子ども用の包丁で食材を切る手伝いも中学年になるとやりたがるように。包丁を使う際には子どもだけにせず必ず親がそばに付き添うようにしましょう。切る食材は、ハムやウインナーなど柔らかいものからお願いすると切りやすいです。可愛い切り方などをSNSで検索して一緒に実践してみるのもおすすめ!
ご飯の配膳を手伝ってもらう場合には食器の置き場所を正しい位置で教えてあげてください。
食器洗い
食後の食器洗いも手が大きくなったこの時期から頼むのがおすすめ。大きなお皿やフライパンも洗えるようになっていきます。子どもが洗って親が拭くなど家族で分担作業をすると、会話しながら楽しく手伝いが行えます。
掃除
トイレ掃除やお風呂掃除なども一人でできるようになります。おふろ掃除は子ども一人では時間がかかることもあるので、兄弟がいる場合には一緒にお願いするという方法も。
家族で具合の悪い人がいる場合には、衛生面に配慮してトイレやお風呂掃除は子どもにはやらせずに親がするようにしましょう。
高学年
小学5,6年生になると、親が不在の間にお手伝いをお願いすることも多くなるでしょう。安全面に配慮して、約束事を確認しておくことも大切です。
料理
食材を切ったり焼いたりできるようになったら、一人でも簡単な料理を作れるようになります。卵焼きや焼きそば、チャーハンなどフライパン一つでできる料理にチャレンジさせてあげるのもよいですね。
とはいえまだまだ火傷などのケガや火事の心配もあります。親が留守の際には火は使わない約束を徹底しておきましょう。
洗濯
背が高くなってくると、洗濯を干したり取り込む作業もできるように。洗濯を取り込んで畳む、タンスにしまうという家事の一連の流れを理解して最後まで行えるように教えてあげましょう。
ベランダでの転落事故などを防ぐために、物干し竿は手前に設置するなどあらかじめ危険を防止する策をとっておくことも大切。
自分の部屋の片づけ
高学年は自分の部屋を持つ子も多いです。自分の部屋の掃除や片付けをお手伝いのリストにするのもおすすめ。思春期に入る子どものプライバシーを守るためにも、自己管理能力を高めるためにもよいですね。
お手伝いをしてもらう時のポイント
小学生にお手伝いをしてもらう際には、強制ではなく子ども自身がやりたい!と思えたり、家族の助けになろう!という気持ちをもって行えるようにしていくことが大事。親の声掛けや関わり方によってその後のやる気も大きく変わっていくので、ポイントを押さえておくとよいでしょう。
褒める・ありがとうを伝える
何か一つでもお手伝いしてくれたら、行動を褒めたり「ありがとう」と感謝の気持ちをストレートに伝えましょう。お手伝いしてくれたからどのように助かったのかなどを子どもにわかりやすく詳しく伝えることで、子どもも自分がママパパの役に立ったという気持ちになれます。
やってくれて当たり前という意識を持たずに、思いやりのある気持ちを常にもっていることも忘れずに。子ども自身も自然と親へ感謝の気持ちが芽生えたり、日ごろ親がどれだけ忙しく大変な中頑張っていくれているかを感じられるようになるかもしれません。
失敗してもしからない
お手伝いに完璧を求めるのはNG。まだまだ小学生の子ども達は、やってみよう!頑張ろうとチャレンジする心が素敵なのです。
時には親のお願い通りにできずに失敗することもあるでしょう。そんな時も叱らずに、一緒に作業したり次はどうしたら失敗せずにできるかを一緒に考えてあげるとよいでしょう。
子どもの気持ちを尊重する
お手伝いをする内容は、親が一方的に決めるよりも子どもがどんなお手伝いをしたいかを尊重してあげることも大切です。
ただ、家族が快適に過ごすにはこんなにたくさんの家事があって、お手伝い・協力することで助かることがあることも理解できるように伝えたいですね。家庭のルールとしてお手伝い係をつくるなら、候補をリストアップして子どもにそこから選ばせるというのもあり。
おこづかい制するかは各家庭の判断で
ご家庭によっては、お手伝いを一回したら何円などお小遣い制度を取り入れている場合もあるでしょう。これには賛否意見が分かれるところですが、お手伝いの内容を仕事として捉えるならお小遣いをあげるというのもよいと思います。子ども自身が目標をもって(何円貯めたいのかなど)それに向かって努力するということも成長には大切な経験です。
しかし、お手伝いは子どものやりたいきもちを一番に考えたいという場合は、あえてお金や報酬を与えることはせずに「ありがとう」の言葉だけでも十分だと思います。各家庭で話し合いどのようにお手伝いをしてもらうのか判断してくださいね。