運動不足の小学生が増加?!原因や解消法を考えよう

近年小学生の運動不足が問題になっています。運動不足が深刻化すると、子どもの成長や健康などにも影響を与えかねません。実際に、運動不足の影響もあり子ども達の体力は年々低下しているとスポーツ庁や文部科学省のデータで明かされています。今回は小学生の子どもを持つ保育士ママライターが小学生の運動不足について原因や解消法を考えてみました。

目次

小学生の体力低下が問題に?

写真AC

スポーツ庁が令和4年に小学生・中学生を対象として行った「体力・運動能力、運動習慣等調査(スポーツテスト)」。この結果、小学生・中学生の男子・女子ともに、令和元年度から3年連続で、体力合計点が低下したことが明らかに。

スポーツテストとは?

小学校では毎年6月頃スポーツテストというものが行われ、記録に応じて点数が加算され、総合得点によって体力判定がA~Eに区分されます。AやB判定をもらえた子は運動優良児として表彰されることも

【小学生のスポーツテストの項目】

・50m走

・シャトルラン

・上体起こし

・反復横とび

・長座体前屈

・立ち幅跳び

・握力

・ソフトボール

スポーツテストの平均記録が年々低下傾向に

令和4年にスポーツ庁が公表したスポーツテストの結果によると、小学生では各実技テスト8種目のうち、50m走、20mシャトルラン、上体起こし、反復横とびで昨年よりも低下していることが分かりました。特に体力・持久力が重視される20mシャトルランにおいては、平成30年から数値が毎年低下しつづけており、令和4年度は過去最低を記録。

握力やソフトボール投げは若干の減少は認められるもののほぼ横ばいの記録になっています。

また、すべての種目で低下しているわけではなく、体の柔らかさを確認する長座体前屈では令和元年からは毎年微増しています。

参照:小学校児童の調査結果 (mext.go.jp)

運動不足・体力低下の原因

小学生の運動不足が体力低下の要因になっていることは想像がつきますが、そもそも運動不足や体力低下は何が原因で起こっているのでしょうか。主な要因としては生活習慣や家での過ごし方など3つあげられます。

遊び場の減少

今の小学生は私たち親世代と比べると放課後に体を動かして遊ぶ場所が減少しています。広い公園がなかったり、あってもボール遊び禁止になった公園も多いですね。

学校が終わった後に仲間と集合して鬼ごっこや野球、サッカーをするなど集団遊びを楽しむ姿もあまり見られなくなっています。このような遊び場の減少が体力低下の一因になっているともいえるでしょう。

また、最近は体を動かすこと以外の習い事も盛んで、塾やプログラミング、ピアノなど座って活動するものが多いと運動する機会も減少します。

スクリーンタイムの増加

公園や広場で体を動かす代わりに、今小学生が夢中なものといえば、ゲームやスマートフォンなどの遊び。ゲームやスマホを使う時間を示す「スクリーンタイム」は年々増加しており、とくに高学年にあがるほど長時間化しています。

スポーツ庁が行った「体力・運動能力、運動習慣等調査」の生活習慣に関する調査結果によると男子はスクリーンタイムが1日5時間以上の小学生が15.4%、中学生は11.8%で、いずれも前年度より増加。女子は小学生で9.2%、中学生で10.1%でした。この結果とスポーツテストの結果を照らし合わせてみると小・中学生の男女ともに、スクリーンタイムが長いほど体力合計点数が低いという傾向もみられています。

元保育士ママ

わが子や周りの友達をみていると、男子の方がテレビゲームなどで遊ぶ時間が長く、女子はスマホのアプリなどSNSを利用したツールを見たり友達とやりとりすることが多いようにも感じます。

肥満など体型変化によるもの

食生活の変化や運動不足が影響していることもあり、小学生の体格にも変化が。小・中学生の男女ともに肥満の割合が増加。令和元年度の小学生男子の肥満の割合は11.1%、女子は8.1%。これは肥満の頻度が最少だった平成27年度から上昇傾向にあります。

運動時間が減少し、高カロリーなおやつやファストフードなどを摂取することも多い現代の食生活が肥満の原因になっています。

運動不足が子どもに及ぼす影響とは

写真AC

小学生の運動不足は、子どもの体力低下や運動機能の低下に影響しているだけでなく、生活習慣病を引き起こす可能性も。生活習慣病は大人がなるものと思っている人も多いと思いますが、実は子ども達もなりうる現代を象徴する病の一つです。

子どもの生活習慣病

小児生活習慣病の種類は、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症、肥満症(メタボリックシンドローム)などがあります。高血圧や糖尿病などは主に肥満症を伴うものが多く、子どもの運動不足や食生活の問題からこのような生活習慣病に疾患する危険性が増えてしまうのです。

子どもの生活習慣病を深刻な問題ととらえ、小学校高学年の児童を対象に小児生活習慣病予防健診などを学校で実施している自治体もあります。

免疫力の低下

適度な運動で体を動かしたり、日光浴をすることは体の免疫力を高め健康を増進するといわれていますが、外遊びが減少し運動不足になってしまうと、子どもの免疫力が低下してしまう恐れも。

体力も免疫力もなくなると、ちょっとした風邪をこじらせてしまったり、感染症にかかりやすくなってしまうなどの心配もでてきます。

集中力・やる気の低下

運動不足の小学生は、体力が低下するだけでなく精神的な面での影響も心配になります。例えば、適度な運動や部活動を熱心にしている子に比べて、集中力が欠けてしまったり、気分の切り替えが上手にできないなども懸念されています。

勉強や部活動を始める際にもなかなかやる気が出ずに、本来の力が発揮できないことも。

家庭でできる運動不足の解消法

写真AC

子ども運動不足を解消するには、親の関わりや家庭での過ごし方を変えていく必要があります。とはいえ、運動嫌いな子に運動させることは難しく、無理やりやらせるのもよくありませんよね。おすすめの解消法をご紹介します。

身体を動かすゲームを取り入れる

テレビゲームが好きな子どもを外に連れ出すのは至難の業。そんな時は、身体を使ってゲームをしたり、敵を倒すようなソフトを子どもと一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。

最近は、身体の動きやコントローラーのダイナミックな動きに連動して世界観を楽しめるゲームも沢山あります。このようなものは、運動量が多く室内でも汗をかくほど身体を動かせるものも。じっと座ってゲームをするだけでなく、時には大胆な動きを楽しめるものを取り入れてあげるとよいでしょう。

TVゲームだけでなく、家の中で身体を動かせるような機具を導入するのもあり。

休日は家族で外へでよう

天気の良い日は、家族皆で近くの公園へ行ったり、大きい公園や広場でピクニックをするなどお出かけする機会を増やすのもおすすめ。

ピクニックへ行くときにはボールやバドミントンなどを持参し、親子で一緒に身体を動かして遊ぶとコミュニケーションもとれて楽しいひと時になります。

朝や夕方に一緒に散歩する

朝夕時間がある時には、親子で近所を散歩するだけでも運動不足の解消に一役たちます。散歩する際にはだらだら歩くよりも、なるべく大きな歩幅で腕を振って歩くと運動量も増してより効果的に。

コンビニへ行くときは一つ先のところまで歩くなど、少しでも歩く距離を増やせるような工夫をしてみるのもよいでしょう。

室内遊戯施設を利用する

暑い日や寒い日は外遊びに行きたがらない子も多いです。そんな時には、ショッピングモールなどに併設している室内遊技場へ出かけたり、公民館や児童館で身体を動かして遊ぶなども。

最近では巨大なトランポリンで遊べる施設や、スポーツやアミューズメントを融合した施設も増えてきています。

親も一緒に楽しむことが大切

子どもの運動不足の解消だけでなく、親子の時間を大切にし親自身も楽しむことが大切です。子どもができるだけ主体的に運動できるよう、無理強いはせずできることから少しずつでも始めてみましょう。

【参考文献】

・小児生活習慣病 | 生活習慣病 | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 (seikatsusyukanbyo.com)

子どもの運動不足はどんな影響を与える?文部科学省のデータをもとに解決策を徹底解説! | 3~12歳の子ども向け専門ジム【いづるベース】足裏から運動能力・学力向上を実現 (izuru-base.com)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

6歳と11歳の娘の育児真っ最中のママライターです。結婚前は保育士として私立保育園で約3年間勤務経験あり。保育士目線と母親目線で子育ての悩みに寄り添えるような記事を書いていきたいと思っています!

目次