私が勤めていたのは、外資系の人材紹介の会社。人事に関する業界ということもあり、ワークライフバランスを重視していることを広くアピールしていて、外部からの評価も高い企業でした。私も、この会社ならプライベートとのバランスを取れるのでは、ママになった後も業務を継続できるのではないか、と期待して入社したのですが…。
プライベートのサポート宣言
私が所属した部署では、しばらくの間マネージャーのポジションが空いていました。その中で、一番経験が長い同僚は、結婚もしておらず、仕事一本に集中している風の年上女性のBさんでした。会社のイベントやホームページに掲載される記事の中でも、
「部下にも仕事の顔とは別に、プライベートの顔もあるので、それを理解してサポートするマネージャーになりたい」という発言をしていました。
仕事はテキパキとこなす人で同僚として尊敬していました。それらの発言や仕事ができることが評価され、Bさんはマネージャーのポジションに昇進しました。その時までは、昇進は適任だと感じていたのですが…。
尊敬するBさんに妊娠報告
Bさんが昇進し、私とは上司と部下の関係になってしばらく経った頃、私は念願の妊娠をすることができました。つわりも思ったほどではなく、なんとか業務を継続でき、安定期も視界に入ってきた頃、まずは自分の上司に伝えようと思い、面談をお願いしました。
雑談から始まり、フレンドリーな会話をした後、現在妊娠していること、出産の予定日等を伝えました。すると、態度が豹変…
「予定日の近くって、大きなプロジェクトが入ってるんだよ、参ったなー。社内の同僚や社外の知り合いで、産休カバーしてくれるような人いない? 産休・育休は1年丸々取るつもり?」
私は、
「良かったね!」もしくは
「おめでとう!」と言ってもらえると予想していたので、いきなりそのような発言をされ、何も言えなくなり、気まずい沈黙の時間が1分以上続きました。私の顔は、人生で最も血の気が引いたような、青白い顔をしていたはずです。
「一番最初にお伝えしようと思ったので、家族以外、まだ他の誰にも伝えていないです」
そのような私の説明に対しても、特に反応はなく、面談は困った態度をはっきりと示されたまま終了しました。
まるで何か大きな間違いをしたかのような、大変迷惑をかけたような態度をあきらかに示され、あまりにショックで、面談終了後、人のいない会議室で、一人声を押し殺して泣きました。
あの宣言は何だったのか…
働きやすい、プライベートを大切にする会社、と思っていましたが、実際は部署によって違いがあり、別部署では産休・育休が普通に取得できているのに、私の部署では上司の方針もあり、サポート体制はほとんどありませんでした。チーム内でのカバーや臨時職員の採用もなく、またつわり休暇もなく、どうしても体調が悪い日は通常の無給の疾病休暇を取得するしかありませんでした。
後日、産休・育休期間中の業務をカバーしてくれる同僚や知り合いはいないと伝えると、
「自分のカバーを探すのも社会人の責任だと思うけどね」という上司としてあり得ない一言。
まさかあの仕事に一生懸命な同僚が、上司になった途端に、鬼のような発言をするとはびっくりでした。会社の文化や、周りの人たちを一気に信用できなくなってしまいました。
仕事内容自体は好きでしたが、こんな上司や会社だと、仮に産休・育休の後で職場復帰しても、きっと親身なサポートはしてもらえないことが明白だったので、結局産休に入る前に、そのまま退職を決意しました。結局退職するまで、おめでとうの一言ももらえませんでしたが、今でも退職したのは正しい決断だったと感じています。
(ファンファン福岡公式ライター/Kojika)