「アウェイ育児」という言葉を知っていますか?自分の生まれ育った市区町村以外の見知らぬ土地で育児することを意味しています。このアウェイ育児は、頼れる人がいない状態で孤独感に苛まれやすく、ママ達の育児に悩みの種にもなりやすいと問題視されています。
今回はアウェイ育児に悩む方へ向けて、孤独感から乗り切る方法について調べてみました。
アウェイ育児とは?
結婚して、夫婦で新たな土地に住みそこで出産・育児を始めた。夫の転勤等の理由で慣れ親しんだ土地から離れ、親戚や親しい人のいない環境での子育てをすることになったことを「アウェイ育児」といいます。
あまり耳馴染みのない言葉なので、実際に子育てをしている人の中でも知らないという人も多いようです。2019年にゼネラルリサーチが20代~60代の子育て経験のある女性を対象に行った「アウェイ育児に関する意識調査」によると「アウェイ育児という言葉を聞いたことがある、または知っていますか?」という質問には8割近くの方が「いいえ」(78.0%)と回答しています。
約4割がアウェイ育児経験者
同調査によると、「アウェイ育児(慣れ親しんだ土地から離れ、親戚や親しい友人のいない環境での子育て)をした経験はありますか?」という質問には、4割以上が「はい」(44.1%)と回答しました。年代別にみると、60代よりも20代・30代の方がよりアウェイ育児を経験している割合が高くなります。
これは、核家族化が進み、実家を離れて暮らすという家庭が多くなっていることも原因の一つに考えられます。
また、この結果からアウェイ育児という言葉は知らないものの、実はアウェイ育児の状態で頑張ってきたという女性が多いのもわかりました。
ワンオペ育児との違い
いわゆる“ワンオペ育児”とは意味合いが異なります。ワンオペ育児は、家庭内で夫や妻のどちらかがほとんどの育児をこなすこと指しています。住んでいる所は自分の故郷であったり、近所に友達や実家がある場合もあるでしょう。毎日の育児を一人でこなすことに体力的・精神的な疲労を感じやすいという問題があります。
それに比べてアウェイ育児は、孤独な環境下で育児を行い周囲に頼れる人がいないという状況を指します。子育てに悩んでいる人の中には、アウェイ育児の中でワンオペ育児を頑張っているという人もいるでしょう。
アウェイ育児でつらいこと
アウェイ育児をしている方々はどんなことに悩み、つらい思いをしているのでしょうか。
緊急時に子どもをみてくれる人がいない
アウェイ育児の中で夫が激務であったり、ワンオペ状態で育児をしていると自身の体調が悪い時にも子どもを代わりにみてくれる人がいないという状況に。
誰にも頼れず、子育てを行わなくてはいけないという思いを常に抱えながら生活するつらさがあります。自分ひとりの時間もとれず、育児に関する悩みやストレスも感じやすくなります。
ママ友と呼べる人がいない
引っ越してきたばかり・近所の人との接点がないという場合には、ママ友と呼べる人がいないという寂しさを感じることも多いです。
特に幼稚園や保育園入園前は、他の親子と関わりをもつ機会が少なく公園などへ出かけても、既にグループのようなものができているとなかなか輪の中に入れないという人も多いのではないでしょうか。お互いの子どものことを話したり、世間話をする友達が欲しいと悩んでいる人もいます。
子どもの遊び相手がいない
ママ友がいないという悩みと重ねて、子どもの遊び相手がいなくてつらいというのもアウェイ育児の問題。
小さなうちは親子間の関わりを十分にとれていれば成長には問題ないと思いますが、やはりお友達とのやり取りの中でさまざまな刺激や経験から得られることもあります。
ママも四六時中自分だけが子どもの遊び相手をしなければならないというのは体力的・精神的にもつらい部分が多いでしょう。
住んでいる地域の情報がわからない
見知らぬ土地で育児をしていると、地域のことが知らないことばかりで戸惑うことも。幼稚園や保育園選び、遊びやすい公園はどこなのか、評判の良い小児科はどこ?など知りたいことは山ほどあります。
今はSNSやインターネットが普及しているためこのような情報は得やすくなってきていますが、実際に住む人から直接聞きたいということもありますよね。
アウェイ育児から脱出する方法
アウェイ育児でつらいのは、他者との関わりは希薄になり孤独感を感じてしまうことです。困った時に助けをもとめることができずに追い詰められてしまう前に、是非一歩勇気を出して行動してみましょう。地域には、気軽に利用できる子育て支援施設や、困った時に子どもをみてくれる一時保育室などもあります。
子育て支援センターを利用する
市区町村の自治体や県では、「子育て支援センター」という地域子育て支援拠点事業を行っています。子育て支援センターは主に、保育園や児童館、市役所などに併設されており、子育て中の親子に交流の場を与える機能を持っています。
支援センターでは、0歳児から就学前のお子さんを対象としたさまざまなイベントが行われており、自治体によっては看護師や保育士による発達相談や、身体測定の日なども。ゆったりと自由に遊べるスペースが設けられており、センター内には保育士や児童館の職員などが常駐しているため初めての人でも気軽に利用できます。
自分の住まいのどこに子育て支援センターがあるかを知りたい時には、市役所のHPを調べてみるとよいでしょう。引っ越しの際には、手続きと同時に子育て支援の資料などをいただいておくのもおすすめ。
保育園の一時保育を登録利用しておく
ママの体調不良や通院などで子どもを預けたい時には、保育園の一時保育やベビーシッターなどを利用してみてはいかがでしょうか。一時保育というのは、親の病気や介護などで家庭での保育が困難な場合に、認可保育施設で、一時的または断続的子どもを預かってくれる制度。
自治体によって利用基準などが異なりますが、福岡県福岡市の場合は生後6ヶ月から小学校就学前の乳幼児を対象に、月に14日まで預けることができます。費用は1時間300円前後。3歳未満の子の方が若干料金が高くなる傾向に。
利用する前には事前に登録が必要。登録完了後に利用したい日を予約する流れが一般的ですが、事前に保育施設と面談することもあります。
通院や体調不良という理由以外にもリフレッシュで預かってもらうこともできますので、息抜きをしたい時・疲れてしまった時にはママのためにも活用してみてくださいね。
妊娠中から地域とつながる
アウェイ育児にならない為には、出産前から地域とつながっておくことも大切です。自治体で行うプレマママスクールや産婦人科のプレママ教室などでは、同じくらいの月齢になるお子さんを妊娠している人出会う機会にもなります。気が合う人と出会えることもあるでしょう。
妊娠中の不安を話し合ったり、先輩ママにはこの地域における育児の情報などを教えてもらうこともできますよ。
近所の人にも積極的に挨拶を
アウェイ育児をしている時は、何かあった時に頼れる人がいない分近所の人との関係をよくしておきたいところ。近所の人には積極的に挨拶をして、友好的な関係を築くことも大切です。
最近はプライバシーを重視したい・他の人とかかわりを持ちたくないという考えの人も増えてきていますね。しかし、最低限の挨拶などはしておくべきだと思います。災害時や緊急時に協力を仰げるよう家に小さな子がいることなどは伝えておくとよいでしょう。
ただ、防犯面にも気をつけなけばならないので家のこと・子どものことをどこまで話すのかなどは家族で相談する方がよいですね。
夫の協力体制がなにより大切
アウェイ育児に悩む妻にとって、最大の味方であるのが夫の存在。仕事に忙しい夫を気遣いなかなか悩みを打ち明けられないという人もいると思いますが、育児は妻だけでするものではありません。もちろん、夫だけでするものでもありません。お互いが思いやりを持って協力して子育てをしていけるようにするのが理想です。
新しい土地での育児に不安はつきもの。休日には子育て支援センターなどに夫婦で一緒にいってみたり、地域のイベントなどに参加するなどして「ここで一緒に子育てをしていく」という気持ちを共有できるようにしていきたいですね。
【参考文献】
・ゼネラルリサーチ「アウェイ育児に関する意識調査」report20191129.pdf (general-research.co.jp)