これは息子が初節句を迎えた日の話。はじめての男の子の孫の初節句ということで、義両親は大張り切りでした。そんな義両親に好きにさせまいと、お祝いは義実家ではなくわが家で行うことに。この選択を後悔することになろうとは思ってもいませんでした。
初男孫の節句に張り切る義両親
わが家が住む地域は、長男を重要視する風潮が根強くあります。義両親も例に漏れず長男第一な人たちで、男の子の孫(わが家の息子)が生まれたときは、それはそれは喜んでいました。
そんな息子が10カ月のころに初節句がありました。4歳の長女のひな祭りが終わってもいないときから
「今度は息子ちゃんの初節句だから盛大にお祝いしなきゃ」と鼻息を荒くする義両親。義実家は家も土地も大きいので10人ほどの親戚が集まることが頻繁にあり、大体のイベントは義実家で行っていました。
当然、息子の初節句も義実家で人を集めて盛大にやる気満々。私たち夫婦は2人とも行事に頓着がないので、「またか… 疲れるなぁ」と肩を落としていました。しかし、ある日夫が
「初節句はうちでやろうよ!」と提案してきました。
義実家から車で5分のところにあるわが家。人がたくさん呼べるほど大きくないので、義両親も人を呼ぶのは諦めるだろうと思ってのアイディアでした。早速義両親に相談し、「わが家と義実家だけでこじんまりとやりたい」と伝えると意外にもあっさりOK。
当日、衝撃の光景
息子の初節句でたくさんの親戚や義両親の友人の相手をしなくて済むだけで、かなりストレスが減りました。しかし当日、衝撃の光景を目にすることになったのです。
当日はわが家と義実家の大人4人と子ども2人の分の食事を、少し多めに用意していました。いつもの親戚の集まりと比べたら格段に量が少なくとてもラク。そして義両親がインターホンをならし、出迎えると、そこにいたのは義両親、プラス10人ほどの親戚たち。
「え?!」と驚くと同時に混乱して言葉が出てこない私。
「おじゃまするわよ」とぞろぞろ入っていく義両親と親戚に、引きつった笑顔で
「どうぞ」
「いらっしゃい」としか言えませんでした。中で出迎えた夫も驚いた表情。
夫がこっそりと義母に
「うちとそっち(義実家)だけって言ったろ!」と言うも
「みんなお祝いしてくれてるのになんてこと言うの。かたいこと言うもんじゃない」とつっぱねる義母。
どんどん増える! 家の中は大混乱
当然用意した分ではお酒も料理も足りません。慌てて夫が追加を買いに行き、私は冷蔵庫にあるものでなんとか補います。けれど椅子も机も足りないので、みんな床に座ってお祝いの雰囲気でもありません。
夫が追加のお寿司やオードブルを買って帰宅してすぐ、またインターホンがなりました。出ると
「ここはAさん(義母)の息子さんのお家?」と言う8人ほどのグループ。私の後ろから義母が
「あ、入って!」と招き入れました。義母は友人も呼んでいたのです。
もうお皿もコップも足りません。部屋の中もパンパンで、廊下でしゃべる人もいます。何とか見つけた紙皿と紙コップでしのぎますが料理も足りないので、再び夫が買い物へ。それと入れ違いにまた人が来たので、
「お義母さん! もう家に入りません!」と私が言うと、義母は
「せまい家でごめんねー」と笑いながら家の外で話し出す義母。
お祝いに来たはずの人たちは最初こそ息子に声をかけるものの、後は好き勝手おしゃべりしているだけ。主役の息子はたくさんの人に驚いて泣くので、義父に
「うるさいからそっちにやって」と言われてキッチンで私がおんぶ。なんのための集まりなのかわからなくなり、とても虚しくなりました。
結局2時間ほどでみんな自然と解散していき、怒涛の初節句が終わりました。最後に義両親に
「どうしてこんな狭い家に、あんなに人を呼んだんですか?」と怒りを込めながら聞くと
「招待はしてないわ。近くを通ったら寄ってとは言ったけど」とすました顔。普段の集まりの何倍も疲れて終わりました。
義両親の予想外の行動に驚き、てんてこ舞いのまま終わった息子の初節句。義両親は最後に
「やっぱりここじゃ狭いわ。お祝い事はうちで盛大にやりましょう!」と不満げに言って帰宅。私も夫もどっと疲れて、もう二度とうちでイベントをしたくないと強く思いました。
(ファンファン福岡公式ライター/K)