男女の自然な出会いが意外と少ない昨今、普段の生活では異性と出会えないタイプの人とも知り合えるのが「婚活」。メリットも多い婚活ですが、びっくりするような人に出会うことも…。婚活あるあるのひとつ、「マザコン男性に閉口」した体験談をご紹介します。
婚活で遭遇した「印象に残る男性」
もう「今は昔」の話なのですが、夫と出会うずっと以前に「婚活」をした時期があります。今ではアプリを使った出会いも一般的になりましたが、私の場合は古典的な「結婚相談所」。30歳の時に、結婚を考えていた元彼と破局し、「とにかく結婚しちゃおう」とヤケになって登録しました。
結婚相談所からはスムーズに何人も紹介され、その中で数人とは「おつきあい」と呼ばれるところまで進みました。でも、「この人なら!」と思える人には残念ながら出会うことはありませんでした。
紹介された中で、今も強く印象に残っているのは、上場企業に勤務するスラッと背が高いイケメン男性。他の誰よりも「見た目も経歴もハイスペック」な人でした。
この男性を今もはっきり覚えているのは、「ハイスペック」だからではありません。まるでドラマに登場するような「ママ大好き男子」だったからなんです…。
紹介されたスペック良好男子
「イチオシのかたがいるのよ〜」と、結婚相談所から連絡をいただき、写真や経歴書を見せてもらうと確かにいい感じ。とんとん拍子に会うところまで決まりました。
実際に会った彼は、清潔感のあるスマートな外見で誠実そう。あまり自分からおしゃべりをするタイプではないのか、若干もの静かな印象。でも相談所のコンサルタントが彼の母親の話をすると、急ににこやかになりました。
「お母様とワインをいろいろ試されるのがお好きなのよね?」
「ご結婚されたらお母様と3人で旅行をしたり、美味しいものを食べにいったりしたいとおっしゃっていたわね」などのコンサルタントの言葉に、嬉しそうにうなずいています。お父様を早く亡くされて、母と息子の2人暮らしなのだとか。
「お母様思いのやさしいかたなのよ〜」とコンサルタントがぐいぐい売り込んできました。
デートの印象も悪くはなかったけれど
紹介を受けたのち、2人で出かけました。なんとなくぎこちないけれど、悪い印象はなし。ただ彼から出てくる話題は母親ことばかり。その時だけ嬉しそうに笑顔になるんです。
「母がそろそろ孫の顔が見たいと言うんだよね」
「母が一緒に台所に立って、わが家の味を覚えてくれる人がいいって言うんだ」
「結婚したら母と一緒に色々旅行したいと思ってる」
「この間買ったワインは、母の好みだったらしくて…」
「結婚相手は、母のような女性がいい」
話をしているうちに、「この人は自分のための結婚ではなくて、お母さんのための嫁を探しているのかも」と思えてきました。
過去に付き合った男性たち、いずれも「ママ大好き」だったけれど、ここまで「母、母、母、母」を連発する人は初めてでした。これぞ真性マザコン、と言ってもよいのではと思います。
結果はどうなった?
この縁談はどうなったでしょうか。「とりあえずお付き合いを」という運びになり、再度デートの約束もできました。
ところが、その前日から40度近い高熱を出してしまった私。インフルエンザにかかってしまったんです。ベッドから動くのも大変なくらいの状態でした。そのことを電話で説明すると、
「えっ…。そうですか」と言って、それで電話は切られてしまいました。
その夜、相談所のコンサルタントから連絡がありました。
「インフルエンザくらいでキャンセルするなんて、真剣味が足りないのでお断りしたいとお母様からお電話をいただいて…」と。本人ではなく母親からのお断り、というところにドン引き!
こちらの事情(病気)を全く考えてくれない様子にも、さすがにビックリしました。どちらにしても「ママ大好き」すぎて気味が悪かったので、かえってホッとしたのを覚えています。
その後はパッとした出会いもないまま退会。でも、代わりにすぐ「この人と出会いたかった!」と思える人にめぐり会いました。それが今の夫です。無理に焦らなくても出会う時にはちゃんと運命の人と会えるものなのだなと、つくづく思った一連の出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/吉野まのん)