保育園に通う長女のお遊戯会に参加した時、テープを使った斬新な場所取り方法に衝撃を受けました。そこに座った家族一同の行動にもドン引きで、結局子どもの晴れ舞台をモヤモヤした気持ちで観る事になったのです。
お遊戯会の観覧席は争奪戦

長女の初めてのお遊戯会、渋滞に巻き込まれ会場に到着するのが遅れてしまいました。焦った私たち夫婦は、長女を抱いて場内まで走りましたが、中はもう満席状態です。仕方なく後方に立って観劇する羽目に。
前年の教訓を生かし、次の年は早く出発して開場1時間前に到着しました。しかしすでに大行列で、結局最後尾付近に並んで開場を待つことに… 列の先頭で扉に張り付くように並んでいたのは、長女の同級生の父親でした。
開場した途端、その父親は中へ猛ダッシュ! 続いて保護者たちが雪崩れ込むように入って行きます。その勢いに少々戸惑いながら私達も場内へ。
座席に張り巡らせた黄色のテープ

何とか席を確保して一安心です。「今年はゆっくり観れる」と思いながら場内を見渡すと、もう満席でした。確かに園側が用意したのは小さな会場でしたが、保護者や祖父母だけでなく、親戚や友人も来場したことが座席不足の原因のようです。
前を見ると、最前列の全席を囲うように肘掛け部分から背もたれにかけて黄色いテープが巻かれてあることに気付きました。それは「立ち入り禁止」のため警察が巻く黄テープを連想させました。
そこにあの父親が、テープを避けるため浅く腰掛けています。
「あそこに座ってもいいの?」と主人に話していると、隣の人が
「あれ、あの人が巻いたのよ」と教えてくれました。「えっ?」と驚いていると…
お遊戯会はまるで遠足気分…?

その父親の家族と親戚一同がぞろぞろとやって来て、黄テープ席に次々と着席しました。どうやら最前列席を一度に確保するため、座席一列にテープを巻いたようです。その方法に唖然とする私たち。
お遊戯会が始まり会場は薄暗くなりましたが、一同の様子はどの席からでも確認出来たと思います。舞台で子ども達が発表中だというのに親族で盛り上がっており、そこにガサガサとお菓子の袋を開ける音、パリパリポリポリという咀嚼音も重なって… 子どもたちのセリフが聞こえずらかったのを覚えています。発表会中の飲食は禁止されているのに!
長女のクラスのお遊戯が始まりました。さすがに身内の子の発表は大人しく観るのでは、と期待しましたが、一同はその子に大声援を送ったり、連れて来た小学生たちが舞台下をウロウロし出すという始末でせっかくのお遊戯会が台無しです。
舞台上の長女を観たいのに、うろつく小学生が邪魔です。溜まりかねて
「注意してこようか」と言う主人、けれど騒ぎになって舞台が中断されるのでは、とおそれた私はそれを引き止めました。
「去年は静かに観劇できたのに…」と隣の人も呆れたように呟きます。私も同じ気持ちでした。テープの座席取りも衝撃でしたが、それよりもこの場を遠足や宴会のように振る舞う一同の行為が情けなく、またこの日まで一生懸命練習してきた子どもの発表を温かく見守ってやれないのがとても残念でした。
結局、一同の賑やかな観劇は終演まで続きました。帰り道
「今年も落ち着いて見れなかったね」と言う私に無言で頷く主人。
次の年から前列は「カメラ席」になり、自分の子の発表時だけそこで観劇できるという形式に変更されました。保護者からの苦情で、園側も対策を取らざるを得なかったようです。
あの後注意されたのかあの家族も大人数で来場することもなくなり、静かに観劇できるようになりました。親として自分勝手な行動は慎まないと、と改めて考えさせられた一件でした。
(ファンファン福岡公式ライター/どりもあ)


