「お兄さんが捕まっています」詐欺かと思ったら本当に捕まっていた… 一体何があった?

娘が生まれて半年ほど経ったころ、いつもと変わらぬ日々を過ごしていた私たち家族に、思いもよらない人物から連絡がありました。その1本の電話をきっかけに、今まで経験したことのない事態に巻き込まれていくのです…。

夫の携帯電話に知らない番号からの着信

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 育休中、夕食の準備をしながら夫の帰りを待っていた私。19時頃帰宅した夫は、「ただいま」の声もなく慌てた様子で部屋に入ってきます。
 「どうしたの?」と尋ねると、
 「知らない番号から着信があったから一応調べてみたんだけど、なんか弁護士っぽいんだよね」弁護士…? 今まで大きなトラブルもなく生活してきたので、思い当たる節はありません。

 「とりあえず一回かけてみたら?」と伝え、夫はその番号に折り返しの連絡。子どもの声が入るのをさけるため、別室で電話をかけてもらいました。部屋から戻ってきた夫から告げられたのは
 「兄ちゃんが捕まったらしい…」というあまりに衝撃的な内容でした。

急遽開催される家族会議

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 三兄弟の三男である夫。どうやら長男がDVで拘留されているらしいのです。通報した相手は一緒に暮らしていた彼女。毎晩続く暴力に耐えきれず警察に連絡し、兄が捕まったという事でした。電話をかけてきた人物は国選弁護人。私たちは「30万円払って兄を釈放するか、そのまま留置所に入れるか」の選択を急に迫られることになったのです。

 義両親はすでに他界し、夫が相談できる身内は遠方で暮らす次男しかいません。次男に連絡し事情を説明するも、元々酒癖が悪く、騒いでは近所に迷惑をかけていた長男の面倒をみる気なんてありません。

 「ただ… このまま留置所に入れば今の仕事はきっと続けられなくなる。それで路頭に迷えばこっちにも迷惑をかけてくるだろう」と自分の心配をしています。しまいには、
 「お前たちに任せるよ」とさじを投げられてしまったのです。

義兄の運命は私たちに託された

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 次男が関わらないと言っている以上、自分達で結論をださなければいけません。そして長男が夫の連絡先を弁護士に伝えていることから、夫を頼りにしていることだけは間違いない。「今までも酔っぱらって警察から連絡がきて交番に出向いたり、散々迷惑をかけられてきたんだから、このまま拘留してもらった方がいいのではないか」と考える夫。

 「なぜ保釈金を支払わなかったんだと逆恨みをされるのではないか」と心配する私。この2つの意見が入り混じり、なかなか結論が出せません。娘も生まれて育児のストレスも溜まっていた私にとって、この数日の話し合いはとても過酷でした。

私たち夫婦が出した結論

 毎晩娘を寝かしつけた後も続く話し合いの末、結局私たちは保釈金を払う選択をしました。酒に酔った長男は何をしてくるか分からないので、逆恨みを避けるために決めたことです。今でも、自分たちの生活を守るためにはこれしかなかったと思っています。

 保釈金を納め、夫が兄を迎えにいきます。長男はいつもと様子が違い低姿勢で出てきたようですが、夫は
 「これ以上手助けはしない。これで最後だから」と告げて帰ってきたそうです。

 この後長男は、会社に頭を下げてなんとか仕事復帰させてもらえました。私たちとしては彼の収入源が途切れず一安心です。こんなことに30万も支払うなら娘のおもちゃや洋服がどれだけ買えただろうかと、今思い返してもはらわたが煮えくり返るような出来事です。

 その後、酔っぱらった長男から着信が残っていることが何度かありますが、すべて無視し続けています。彼が今どのように生活しているのか詳しくはわかりませんが、また見知らぬ着信が来ないことだけを願って生活しています。

(ファンファン福岡公式ライター/aoyama)

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