7歳・9歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
突然お葬式に行かなければならなくなった場合、「子どもの服装はどうしようか」と悩む人もいるのではないでしょうか。小学生の喪服のマナーは事前に把握しておくと、いざというときも安心です。
今回は、小学生のお葬式の服装の基本を紹介します。喪服の代用にできるコーディネートやポイントを知り、マナーを守って参列しましょう。
【確認】喪服の定義

まずは、喪服の種類や特徴などの基本情報を確認しましょう。
喪服の種類
喪服とは、葬儀やお通夜、法事といった、いわゆる「弔事」で着用する服です。もともと、大切な人を亡くした遺族が着るものでしたが、現代では参列者も喪服を着用します。
喪服は大きく、「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3種類に分類されます。正喪服は最も格式が高く、喪主や遺族が着用するものです。参列者は、一般的な喪服である準喪服や、ダークカラーで光沢を控えた略喪服を着ます。
立場や、故人が亡くなってからどれくらい経過したかによって着用する種類は異なりますが、昨今は喪主や遺族も葬儀から準喪服を着用するケースが増えています。
喪服の特徴
「喪服」と呼ばれるものには、以下のような特徴があります。
・深みのある黒色
・光沢がない
・光を反射しにくい素材を使用
・ややゆったりめのシルエット
特に男性は、スーツと喪服の違いがあいまいに感じるかもしれませんが、素材や色などが異なります。大きな違いは光沢の有無や、シルエットではないでしょうか。
小学生に喪服は必要?
弔事の際、大人は喪服を着用するのがマナーです。さまざまな考え方があるため、一概にはいえないものの、小学生をはじめとした子どもについては「必ずしも喪服でなければいけない」ということはないといえます。
大きな理由は、「体型の変化」です。子どもは短期間で身長が急激に伸びたりするため、大人のように同じ喪服を何年も使えるということはありません。しかし、喪服を着る機会は頻繁ではないため、1回使っただけでサイズアウトしてしまう、ということも考えられます。
また、一式そろえるとある程度の出費になるため、「体型の変化に合わせて喪服を新調する」というのは、現実的ではありません。
そのため、マナーを守っていれば、小学生はお通夜やお葬式に喪服以外の服装で参列して問題ないでしょう。
喪服とは|失礼に当たらない男性と女性の服装(https://sogi-navi.com/manner/view_1190/)
喪服とは?|喪服の種類・喪服と礼服の違いなどをご紹介(https://formforma.jp/topics_detail.html?info_id=317)
喪服・礼服・スーツの違いは?お葬式の服装の選び方やマナーを解説(https://www.yoriso.com/sogi/article/sogi/fukuso/mofukusutsu/)
子供の喪服・礼服マナー、お葬式や法事の服装どうする?(https://www.yoriso.com/sogi/article/sogi/fukuso/kodomo-fukusou/)
お葬式やお通夜での小学生の服装はどうする?

「喪服でなくてもよい」といっても、お通夜やお葬式にどのような服装で行ってもよいというわけではありません。小学生が参列する際には、どのような服装で出向くのがベストなのでしょうか。
制服があれば正装になる
小学校によっては、制服がある場合もあります。もし制服があれば、それが正式礼服となりますので、制服を着用して参列しましょう。
制服のデザインはさまざまで、なかには「黒を基調としたものとはかけ離れている」というものもありますが、この辺りは特に気にしなくてよいといえます。
ただし、着崩したり、お葬式にそぐわない靴や靴下、アクセサリーなどを身につけたりするのはマナー違反となりますので、清楚さを意識して小物を選ぶことが大切です。
制服風のコーディネートにする
制服がない場合は、制服風のコーディネートにするのも1つの方法です。白いシャツやポロシャツにベスト、カーディガン、ジャケットなどを合わせ、パンツやスカートを履けば、制服のような見た目になります。
制服”風”にする場合は、カラーが入っていないものを選びましょう。光沢のある生地を避けることも、忘れてはいけません。
モノトーンでまとめた服装にする
白や黒、紺、グレーなどのモノトーンでまとめた服装でも、お葬式やお通夜に問題なく参列できます。デザインは無地に近いシンプルなものを選び、靴下やベストなどの柄はワンポイントまでに収めましょう。また、キャラクターなどのデザインを避けることも大切です。
喪服代わりになる、小学生のコーディネート例

ここからは、小学生の喪服代わりになる具体的なコーディネートを、男女別に紹介します。
女の子の場合
女の子の服装は、白色の襟つきブラウスに、モノトーンのスカートを合わせるケースが多いです。季節によって、袖丈の短いブラウスにしたり、カーディガンやジャケットを羽織ったりします。
また、モノトーンのワンピースで参列する小学生も少なくありません。下にブラウスを着て襟を出してもよいですし、ワンピースのみの「襟なし」スタイルでも問題ないでしょう。
足元はダークカラーの靴下に、黒色の靴がベストです。くるぶし丈の靴下やルーズソックス、ニーハイソックスはNGです。
ちなみに、大人はNGなタイツも、小学生や小さな子どもは許容範囲とされています。「寒いからタイツを履かせたい」と思う場合は、靴下ではなくタイツにしてもよいでしょう。
男の子の場合
男の子は、白色の襟つきシャツやポロシャツに、モノトーンのズボンを合わせるのが一般的です。季節によって、ズボンやシャツの丈を変えたり、ブレザーやジャケット、ベストなどを合わせます。
ネクタイは、あってもなくても構いません。ネクタイをする場合は、モノトーンで光沢がない素材のものにしましょう。また、足元はモノトーンで、くるぶし丈ではない靴下にします。
私事ですが、昨年秋にお通夜・お葬式に参列することになり、息子たちの服装選びに迷いました。
10月とはいえまだまだ暑かったため、白色の長袖ポロシャツに、黒色のパンツを合わせました。夜はやや冷え込む時期でしたので、念のため黒色のベストも用意しましたが、結局気温が急激に下がることがなかったため、着用せずに終わりました。
急なことだったため、子供服のチェーン店で安価なものでそろえたのですが、結果として使わないアイテムもあったので、「無理に高価なものを購入する必要はないのだな」と実感する体験となりました。
お葬式のマナー(https://www.rakuten.ne.jp/gold/catherine/event/blackformal/)
子供の喪服の代用、参列する時のマナー(https://www.hibiya-lsp.com/column/manner/clothe/29/)
お葬式などでの小学生の服装で注意したいポイント

小学生がお通夜やお葬式などに参列する際には、小物選びやサイズ感など、注意したいポイントがいくつかあります。マナーを守りながらも、普段とは違う場で子どもがあまり疲れないようにするには、どのような点に注目するとよいのでしょうか。
髪型やヘアアクセサリーにも気を付ける
髪が長い女の子は、耳より下の高さで結びます。お辞儀や焼香などのシーンがあるため、1つ結びやハーフアップで後ろにまとめて、すっきりとさせておきましょう。
あまり長さがない場合も、ピンなどでサイドの髪を留めておくと、清潔感のある印象になります。
髪をまとめる場合は、ヘアアクセサリーにも注意が必要です。ゴムや髪留めも服と同様に、黒や茶色、紺色などの落ち着いた色のものにし、リボンなどは避けます。バレッタやシュシュなどは、黒色ならマナー違反になりませんが、真っ黒なものを探すほうが大変だと思う場合は無理に用意しなくてよいでしょう。
男の子はナチュラルヘアのままで問題ありませんが、寝癖がついている場合は整えます。また、少し長さがある場合はスタイリング剤をつけて整えると、すっきりするのでおすすめです。
負担のかからない服装にする
「マナーを守った服装を」ということに気を取られすぎて、子どもの着心地を重視しないと、参列中に気分が悪くなったり、ひどく疲れてしまったりするかもしれません。
お葬式は緊張感のある場で拘束時間も長いため、子どもは想像以上に体力を消耗します。式への参列はもちろん、移動・会食なども考慮し、できるだけ負担のかからない服装にすることも忘れないようにしましょう。
前述の話に戻りますが、筆者が息子たちの服装にワイシャツではなくポロシャツを選んだのは、着心地も重視したからです。時期的に通気性があったほうがよいのではないか、長時間着るなら伸縮性があったほうが子どもが疲れないのではないかということも考えた結果、ポロシャツになりました。
次に出てくる靴についても、歩きやすさを優先して黒色のスニーカーにしました。結果、息子たちは緊張感や悲しみがありつつも、「服装で疲れる」ということはなかったようです。
靴は”履きやすさ”を重視する
お葬式で履く靴は、黒や紺色、グレーなどの革靴やスニーカーが望ましいとされています。大人はNGのローファーも、子どもはOKです。
より「きちんと感」を出そうと思うと、ローファーやフォーマルシューズとして販売されているデザインのものを選びたくなります。しかし、靴も「履きやすさ」を重視して選ばないと、足が痛くなったり、移動中に脱げてしまったりします。特に、遠方の葬儀に参列する場合は、履き慣れない靴では道中での移動に支障が出るかもしれません。
モノトーンでシンプルなデザインなら、子どもはお葬式でスニーカーを履いてもよいので、迷ったらスニーカーにするとよいですが、汚れや劣化が激しいものは避けましょう。
冠婚葬祭で着まわせるものを選ぶ
大人の喪服は、結婚式や入学式などのお祝いごとには使えません。しかし、制服風の服装やモノトーンでまとめた小学生の服装は、お葬式以外の行事でも活用できる可能性が高いです。
「喪服感」を重視すると、ほかのイベントでは使えなくなってしまいますが、「正装」として選べば、幅広いシーンで活用できます。アイテムによっては、参列後に普段着として使えるものもあるでしょう。
服装を検討する際は、「着まわしができるかどうか」も重視すると、購入した服を何度も使えます。
実はわが家も、お葬式のために購入したベストを、1月に参加したピアノコンクールで使いました。また、ポロシャツは「公演を見に行く」など、ちょっとフォーマルな服装が求められる際に重宝しています。
サイズアウトが早いことを念頭に入れておく
小学生の身体の成長は早いので、お葬式のために購入した服がすぐに着られなくなってしまうこともあります。とはいえ、学校の制服や体操着のように「何年も使うこと」を加味して購入するものでもないので、現在の身体のサイズに合ったものを選ぶのがよいといえます。
そのため、やはり「高価すぎるもの」「なかなか着る機会がないもの」よりも、「冠婚葬祭で着回せるもの」「普段着にできそうなもの」がおすすめです。
子どもの喪服の選び方!幼児・小中高生・大学生の葬式の服装マナー(https://www.e-sogi.com/guide/17485/)
小学生のお葬式での服装は、”喪服”のマナーに即して検討を

大人とは違い、小学生は喪服以外の服装でお葬式に参列してもよいとされています。マナーを守った服装や髪型、小物を意識することはもちろん重要ですが、子どもの負担を考慮してコーディネートを決めることも、忘れてはいけません。
お葬式以外にも幅広く使える服は、子供服専門店をはじめ、リーズナブルなファッションを提供するアパレルメーカーの店舗でもそろえられます。万一の場合に備えて、普段着にもなる「きちんと感」のある服や靴下を用意しておくのもよいのではないでしょうか。


