子育てには幸せを感じる一方で、毎日が疲れ切っていました。1歳の次男は夜泣きがひどく、4歳の長男は好奇心旺盛で目が離せません。育児と家事に追われ、心身ともに限界を感じる日々が続いていた時、夫のある一言で限界をむかえてしまったのです。
ワンオペ育児の地獄

朝5時、次男の泣き声で目を覚まし、すぐにミルクをあたえておむつを替え、その後長男が起床。朝食の準備、食べこぼしの掃除、歯磨き、着替え、保育園の送迎、パート勤務、買い物、洗濯、掃除、夕食準備…。休む暇もなく動き続ける毎日。
夫は朝早く出勤し、夜遅く帰宅。仕事で忙しいのは分かりますが、家事を全くせず、スマホやテレビを見ている夫の姿に不満が溜まっていきました。洗い物と子ども寝かしつけはやるという、最低限の家事育児分担を約束したはずなのに全く動く気配なし…。
指先はガサガサ、髪はボサボサ。鏡を見る余裕もなく、次第に自分を見失っていくような感覚に。パートと育児を両立する疲れに「これが私の人生なのか?」という思いが頭をよぎる日々でした。
限界を迎えた瞬間

ある平日の夜、パートから帰宅し、次男を寝かしつけている最中に、リビングでくつろいでいる夫から声がかかりました。
「お風呂、沸いてる?」その何気ない一言が、私の限界を迎えた瞬間でした。
「なんで自分で確かめないの!? 私だって休みたい! 一晩でいいから、何も考えずに眠りたい!」涙が溢れ、声が震えました。毎日、誰かのために生きるのに、心も体も疲れ切っていたのです。
夫がまさかの対応

翌朝、次男の泣き声で目を覚ました私は夫がいないことに気付きました。リビングに向かうと、驚くべき光景が広がっていました。リビングはピカピカに片付いていて、テーブルには朝食が並び、キッチンも掃除され、洗濯機が回っていました。
夫がにっこりと笑いながら、
「今日は会社休みにした。君は好きなことしてきて。子どもたちのことは任せて。君が倒れたら、この家は成り立たない。だから君が元気でいることが、俺たち家族にとって一番大事なんだ」と言ってくれたのです。
私は言葉を失い、ただ涙が溢れました。それは昨日の涙とは違う、安堵と感謝の涙でした。その日、私は久しぶりに自分の時間を楽しむことができました。美容院でカットとトリートメントをし、カフェでゆっくり一人ランチ。温かいコーヒーを飲みながら本を読む贅沢な時間を過ごしました。
スマホには、夫から送られた子どもたちとの写真が。公園で遊ぶ三人の笑顔に胸が温かくなりました。夕方家に帰ると、夫は少し疲れた様子で迎えてくれました。
「正直、思ったより大変だった。君はこれを毎日やってるんだね」と言われ、私はその姿を見て、新しい可能性を感じました。
家族の変化
それから3カ月が経ちました。夫は家事や育児に積極的に関わるようになり、毎日のお風呂当番や週末の掃除、時には料理も担当してくれるように。月に一度は私の「育児オフデー」が定番になりました。
子どもたちも変わり、今まで夫に遠慮がちだった長男は
「パパ、遊ぼう!」と甘えるようになり、次男も
「今日はパパと一緒に寝る~」と夫と寝ることが増えました。
今思えば、あの日泣きながら本音を伝えて良かったと心から思います。夫は悪気があったわけではなく、私の大変さを知らなかっただけ。もし伝えなかったら、何も変わらなかったでしょう。今でも大変な日はありますが、一人で抱え込まなくていいという安心感が、新たな力を与えてくれています。
限界を感じたら、声を上げること。それが家族みんなの幸せに繋がることを学びました。親子の時間も大切ですが、「自分の時間」も同じくらい大切。それを実現するためには、パートナーとの対話と協力が不可欠だと改めて感じています。
(ファンファン福岡公式ライター/ぴち)


