「ママ! ソッコリ食べたよ」その言葉、ズルいくらい可愛い。ある日、2歳の息子が放った一言。言い間違いの可愛さに笑いながらも、そこに込められた優しさと成長に胸がじんわり。子育ての中でふと訪れた、忘れたくない“宝物みたいな瞬間”を綴った心あたたまるエピソードです。
母を笑顔にした魔法のひと言

あれは、今からちょうど2年前のある日の夕方。夕食を終えて、私はキッチンで食器を洗って、テーブルの片付けをしていました。そのとき、当時2歳だった息子が、パタパタと小さな足音を鳴らして私のところにやってきて、 満面の笑みでこう言ったんです。
「ママ! ソッコリ食べたよ!」
「えっ? ソッコリ?」と思わず手を止めて、息子の顔を見て聞き返しました。
「何を食べたの?」 というより、
「ソッコリって何!?」 息子は、にっこにこ。ドヤ顔で、
「うん! ソッコリ〜!」と得意げに繰り返すばかり。その姿に、なんだか笑いがこみあげてきて、私はふふっと小さく吹き出しました。
「ソッコリ」って、そういうこと!?

よくよく話を聞いてみると、どうやらキッチンの奥に置いていたお菓子の袋をこっそり開けて、中にあったビスケットを1枚だけ食べていたらしいんです。
「こっそり食べたの?」と聞くと、
「ううん、ソッコリ食べたの! ママに見つからないように〜!」と、まさかの自己申告。
コッソリ→ソッコリ。なるほど、言いたいことはわかるけど、惜しい! でもその間違いが、もうたまらなく可愛くて、ズルいくらい愛おしくて。そして何より、「コッソリ」って本来は誰にも見られずにこっそりやるものなのに、息子はわざわざ堂々と報告しにきました。
もう、その小さな矛盾が面白すぎて、私は台所で笑いをこらえながら、
「それ、ソッコリじゃなくて、コッソリだよ〜!」と教えました。
でも本人は照れ笑いしながら、
「ソッコリだもん」と譲らず。その自信満々な表情に、またまた笑ってしまいました。
その裏には、ちょっとした感動も

そのソッコリ事件は、わが家にとってただの笑い話で終わりませんでした。それから息子の中で“ソッコリ”は特別な意味を持つ言葉になったようで、
「ママ、ソッコリしたよ。今日はソッコリおもちゃかたづけた〜!」と、まるで魔法の合言葉みたいに日常のあちこちで使い始めたんです。
ある日、夕食のみそ汁の人参を残そうとしていたので、
「じゃあ、今日はソッコリ食べてみる?」と私が声をかけると、
「うん! ソッコリ、がんばる!」と、困った顔をしながらもパクッ! それを見たとき、私の胸がじわーっと温かくなりました。
この子にとって「ソッコリ」は、“悪いことをこっそりする”言葉じゃなくて、 ママが喜ぶことをする魔法の行動になっていたんです。たった2歳でも、「ママに褒められたい」「喜んでもらいたい」って気持ちを、こんな風に自分なりの言葉にして伝えてくれるんだ… って、その純粋さと愛しさに思わずウルッときてしまいました。
日常が宝物に
「ママ、ソッコリ食べたよ!」その一言は、 ただの言い間違いじゃありませんでした。笑えて、癒されて、そして心がポカポカするような、宝物みたいな思い出をくれた大切なエピソード。子どもの言い間違いって、ただのハプニングに見えても、そこには想いや成長が詰まっているんですね。
今でもわが家では、「ソッコリ」は大事なキーワード。そんな「ソッコリ」を生みだした息子(長男)は現在4歳。下の子たち(長女2歳、次男9カ月)も大きくなったら、同じような“宝物ことば”を残してくれるのかな? なんてそんな未来を想像して、今日もまた子どもたちとの時間を楽しんでいます。
(ファンファン福岡公式ライター/奈緒)


