結婚が決まり、義両親との顔合わせを兼ねて両家で食事会を開くことに。実は義両親と会うのはそのときが初めてでした。しかし、義母からの仰天提案で、せっかくの食事会が気まずい雰囲気になってしまうのです…。
両家で初めての顔合わせ

初めての義両親との顔合わせの日を迎え、私は緊張していました。「優しいご両親かしら? 気が合うだろうか?」と朝からそわそわ。食事会の会場は落ち着いた和食の個室。私たちが先に到着してしばらくして、義両親と夫が到着。
義両親が初対面の私に笑顔で接してくれたおかげで、少し緊張がほぐれました。世間話をしつつ料理も進み、場の空気が和んできた終盤。「このまま無事に終わりそう!」と思った矢先のことでした。
和やかな空気が一転

デザートが運ばれ、皆で談笑しながら食べていたそのとき。義母が突然、真顔で私にこう言ったのです。
「しらたまさん… 私たちが年を取ったら介護もお願いね!」
「… え?」
その場の空気が一瞬にして凍りつきました…。「結婚式もまだしていないのに、もう介護の話!?」と頭が真っ白に。けれどもとっさに返事をすべきではないと思い、目をそらしました。ふと他の家族に目をやると義父は苦笑いし、夫は困惑した表情をしています。
私の両親は明らかに驚いていました。特に母は、信じられないという表情。全員が押し黙っていると、気まずさを取り繕うように、義母が再び口を開きました。
「まあ、私たちもお世話にならなくていいように頑張りますからね。ね、お父さん」
「うん、そうだな」
その場は一応収まり、気まずい空気のまま食事会はお開きとなりました。
結婚前に介護!? 実母が激怒

食事会が終わって実家に戻ると、当然ながら話題は義母の発言に。特に怒りをあらわにしたのは母でした。父も義母の発言にとても驚いたと言います。
「介護のために娘を育てたんじゃない! 私たちは子どもに迷惑かけないようにって、ずっと思っているのに」なぜ自分の息子に言わないで、将来の嫁に言うのか。自分の親は実子が面倒を見るべきだというのが母の考えでした。
両親と話し合った結果、夫にこの件について考えを聞いてみることに。結婚後、介護の問題は現実として生じるもの。互いの考えを事前に確認することも大切だと感じました。後日、夫と食事をしながらたずねました。
「〇〇は両親の介護のこと、どう考えている?」
「うーん、まだ先の話だし。そのときになってみないとわからない」
なんとも煮え切らない返事に、私は少しがっかり。そこで、自分の両親もいつか介護が必要になること、そして私が一人娘であるため、実家の面倒を見る責任があることを伝えました。そのうえで、1人で義両親の介護は難しいかもしれないとも伝えました。
夫は「そうだなぁ」とつぶやいただけ。その言葉を胸に引っかけたまま、私は結婚式の日を迎えることになったのです。
「家族になる」ということ

義母からの介護のお願いは「家族になるのだから当然」という軽い気持ちだったのかもしれません。しかし、初対面の場でいきなり言われた私にとって、それはプレッシャー以外の何物でもありませんでした。また、結婚前にもかかわらず、微妙な心の距離ができてしまったのも事実です。
家族になるとは、少しずつ信頼を築いていくこと。だからこそ、1つ1つの言葉に配慮することが大切だと感じました。今は義両親との関係に特に問題なく過ごせていますが、初めての顔合わせは私に「言葉の重み」と「距離感」を教えてくれた出来事になりました。
(ファンファン福岡ライター/しらたま)


