3年前の春。近くの大きな公園に家族でお花見に行きました。池やボート、野球場、広い芝生、大きな滑り台や遊具もあるこちらの公園は、春には桜も綺麗に咲きお花見ポイントとなっています。私達も6カ月の娘とのんびり芝生に座ったり、ベビーカーを押して散歩したり…春の暖かい光を満喫していました。休日でお天気もよかったこともあり、いつもよりも賑わっていた園内で起こった驚きの出来事です。
春の公園 心温まる光景
桜がヒラヒラ舞う中、ベビーカーを押してのんびりお散歩するのは至福の時間。芝生にはヨチヨチ歩きの子、キャッチボールをする親子、寝転がる若いカップル…「娘も何年か後にはこんな風になるのかなー」そんな光景を横目に、芝生の横の坂道をのぼり、丘の上にある遊具を目指して私達は歩いていました。
遊具に続いている坂道は、お散歩コースにもなっており、上から子どもたちが元気に走ってきたり、のんびり森林浴している方もいます。緩やかなカーブもある坂道。
私達ものんびり歩いていたその時! カーブの向こうから男性が飛んできたのです!
スタントマン!?
男性は私達の少し前の方に全身で着地。まるでスタントマンかのように地面に転がり、下を向いてうずくまり動かなくなってしまいました。男性の後ろからはスケートボードが…。
一瞬、時が止まったようでした。周囲の人たちも驚きのあまり、立ち止まったまま。
「いってぇー…」動いた男性が顔をあげると眼鏡が割れ、顔から血が出ています。周りにいた方々が駆け寄り
「大丈夫ですか!?」
「救急車呼んだ方が!」
「ご家族は!?」と声をかけ始めました。
男性は
「大丈夫です…」と弱々しく返事するものの、とても大丈夫には見えない状況。
「だって眼鏡が!」
「血も出てるし!」と周囲もあたふた。
私も何かないかと鞄の中を探すと、未使用のウェットティッシュを見つけたので
「よかったら使ってください」と差し出しました。
「すいません…」彼は受け取り、顔を押さえていました。
すると
「パパ大丈夫ー!?」と小学校低学年くらいの男の子が笑いながら走ってきました。“パパだったんだー! パパは笑えない怪我よ”きっと誰もが思いました。
ご婦人が
「ママはきてる?」と男の子に声をかけた時
「もう何やってるのー」と呆れた様子で奥さんも走りよってきました。
「本当にすいません。」と頭を下げ
「ほら行くよ!」と強めの口調の奥さん。男性も傷口を押さえたり眼鏡を確認したりとゆっくり動き始め、そんなパパの横で息子さんは終始ケラケラと笑っていました。奥さんに
「派手に転んでいたので病院に行った方が…」と声をかける方もいました。奥さんも来て一安心したので、私達はその場を後にしました。
若い頃のようには動けないもの
彼はやんちゃそうな若者ではなく、落ち着いた雰囲気の男性でした。ちょっと若かりし頃を思い出し羽目を外してしまったのか… それとも本当はとても上手で、お子さんにカッコいい姿を見せたかったのか…。
目の前に人が飛んでくると、助けるべき状況なのに、驚きのあまり時が止まってしまうということがわかりました。まさに、テレビで見るドッキリと同じ反応。
帰り道、私は夫に言いました。
「10代、20代のように体は動かないから、あーゆーことは絶対しないでおこうね」と。奥さんから“心配”の他に、恥ずかしさ、呆れ… そんな感情が滲み出ていたのが感じられました。
それにしても本当に痛そうでした。パパさんの怪我が大したことがなかったことを願います。
(ファンファン福岡公式ライター / ちょこまま)