わが家は転勤族。子どもが小さい頃は身軽に引っ越しをしていましたが、長男が幼稚園に通い始めたことで、転勤族の大変さを身に染みて感じるようになりました。なによりも、幼稚園の先生たちやお友達とのお別れが悲しい…。親になってから、初めて経験したお別れは、いま思い出しても胸が熱くなります。
順調だった幼稚園生活
コロナ渦の中でスタートした、3歳息子の幼稚園生活。
陽気な性格の息子は、集団生活にもすんなりと馴染み、愛情いっぱいに接してくれる先生とお友達に囲まれ、楽しい園生活を過ごしていました。
ところが、2学期が終わり、冬休みに入った12月末。わが家に急展開が訪れます。
その日、帰宅した夫はいつもと違う雰囲気。神妙な面持ちでスーッと大きく深呼吸をしたかと思ったら、申し訳なさそうに
「すみません、異動になりました。」と一言…。
転勤族とはいえ、長男の卒園までは通えると考えていたため、今回の異動はまさかのまさか! もちろん、夫が悪いわけではありません。わかってはいるけれど、この気持ちをどこへぶつけたらいいのか… その日は缶ビールをグビッと飲んで、就寝しました。
荷物の整理と気持ちの整理
異動=引っ越し。まったく予期していないタイミングだったので驚きました。真っ先に頭に浮かんだのは、「転園しなくてはいけない」ということでした。
ようやく慣れた環境だったので、「いやいや、今じゃないでしょ!?」と心の中でツッコミつつ、渋々引っ越しの準備をはじめることになりました。
荷物の整理よりも大変だったのが、気持ちの整理。
慣れた環境を離れること、親の都合でお友達とお別れさせなければならないこと…、気持ちの整理ができないまま、どんどんと日にちが過ぎて行きました。
一瞬、”単身赴任”というワードも頭をよぎりましたが、地元ではない土地での単身赴任は非現実的ということもあり、2カ月後の引っ越し日が決定。
息子には、最後の登園日の2週間前に、引っ越しをすること、幼稚園が変わることなど、出来るだけわかりやすく伝えました。どんな反応をするかドキドキでしたが
「うん、わかった!」と、あまりにもあっさりとした反応で、これもまた複雑な気持ちになりました。
先生がくれた大きなハグ
いよいよ、最後の登園日。息子はいろんな先生に
「元気でね!」と、ギューッとハグをしてもらい、ニコニコ嬉しそうに笑っていました。その姿を見て、私は「1年間だけでも、この幼稚園に通えてよかったな」と、涙しそうになるのを堪えるのに必死でした。
荷物をまとめ、最後の挨拶をして帰ろうとした時です。
1番お世話になった先生が、両手を広げて待っていました。そして、息子ではなく、私にギューッとハグをしてくれたんです!
先生の温かさに、今までこらえていた涙がこらえきれず、涙腺崩壊。それはそれは、息子や夫も笑っちゃうほどの大号泣っぷりでした。
お別れの寂しさや先生の優しさ、感謝の気持ちなど、いろんな感情が凝縮された、この涙のおかげで、私の気持ちはようやくすっきり! 新しい環境への生活にも、前向きになれました。
ソーシャルディスタンスをが当たり前になり、オンラインでなんでも出来ちゃう便利な世の中で、ひさしぶりに感じた温かい気持ちは、一生忘れられない思い出になりました。
引越しから約1年、わが家は新しい環境にもすっかり慣れ、楽しく過ごしています!
(ファンファン福岡公式ライター/natsu.0703)