公益財団法人 生命保険文化センター「令和元年度・生活保障に関する調査」によると、生命保険の加入率は男女ともに8割を超えています。しかし、生命保険は「入っていればよい」というものではありません。なぜなら、備えるべきリスクは年代によって変わるからです。今回は全ての年代の人へ向けて、生命保険の見直すべきタイミングについて、ファイナンシャルプランナー(FP)歴10年の私が解説します。
その保険、いつ加入しましたか?
現在加入している生命保険、いつ加入したか覚えていますか? すぐに思い出せない人は要注意です。保険証券や、加入内容の分かる書類などで、加入時期を確認しましょう。
加入したままになっていませんか?
令和元年「厚生労働省・人口動態統計月報年計(概数)の概況」のうち死因に関する調査結果によると、悪性新生物(がん)は、10代後半~20代の死因の第3位です。30代になると第2位に、40代~80代では死因の第1位となります。 この結果から、少なくとも40代以降では、ガンのリスクに備えておく方がよいといえます。 例えば高校卒業後に社会人になった人で、当時加入した生命保険を継続している場合などは注意が必要です。10代後半のリスクは保険でカバーできていても、現在の年齢のリスクに備えられていないかもしれません。
定期的な見直しは必要
死因のランキングを確認してみると、年代別に「備えておくべきリスク」が違うことが分かります。リスク管理という視点から、10代のうちに加入した保険に50代まで加入し続けるのは必ずしも得策ではありません。 金銭面で考慮しても、定期的な見直しをせずに保険に加入し続けるのは、「見えないムダ」が発生している可能性があります。
人生の節目は、保険の見直しに最適
リスク面と金銭面の両方から「保険の見直し」は必要です。ここからは生命保険の見直しの適切な時期について、目安となるタイミングを紹介します。
結婚や出産など家族が増えるとき
生命保険の見直しで、最もお勧めしたいのは、結婚や出産で家族が増えるタイミングです。家族が増えると、自分に万が一のことがあった場合に「遺族保障」として備えたほうが良いからです。独身時代に「自分のための保障」だけで良かった保険とは性質が少し変わります。
住宅を購入するとき
一般的に、住宅ローンを契約する際には「団体信用生命保険(通称・団信)」に加入します。住宅ローン契約者が死亡または高度障害になった場合、ローンの残債は団信によって相殺されます。つまり、遺族が残りの住宅ローンを支払う必要はなくなり、住宅もそのまま遺族に遺されるため、安心して住み続けることができます。 従って、住宅ローン契約時に保険を見直し、死亡保障の減額をすることも良いでしょう。そうすれば、おのずと毎月の保険料も下がります。
退職するとき
退職時の保険の見直しは、全ての人にぜひやっていただきたいです。退職は、人生の中でも大きな転機です。定期的な給与所得はなくなり、退職金や年金が主な収入源となります。限られたお金の中でさまざまな支払いをしていくことになりますから、これまで通りの生活では少々出費がかさむかもしれません。 また、既に各種ローンの支払いを終えていることも考えられます。退職に伴い、いま一度生活費全体を見直すことをお勧めします。その中で、保障内容が過分だったり、保険料が大き過ぎて負担だったりする場合は、減額するタイミングです。
安心した生活のために
いかがでしたか。ライフステージの変化を目安にして、定期的な保険の見直しをお勧めします。本当に備えるべきリスクに対応することもできますし、節約にもつながります。 適切な保障を知りたい場合は、インターネット上の簡易シミュレーションも利用できます。併せて参考にして、無駄のない保険を継続してくださいね。