昨年話題の舞台「しゃーSHE♀彼女」 6月17日から第2弾! cheluさんにインタビュー

 2021年10月に福岡市で上演され、女性客からは多くの「共感」を得た一方、男性客には「女性の怖さ」を知らしめて話題となった舞台「しゃーSHE♀彼女」の第2弾が2022年6月17日(金)~19日(日)、福岡市中央区の福岡市美術館ミュージアムホールで開かれます。前回と同じく総合演出はテレビドラマ「半沢直樹」の脚本家・金沢知樹さん(長崎県出身)、プロデュースはchelu(チェル)さんです。またcheluさんは今年1月に福岡市でプロデュースした舞台「こりゃもてんばい」(原案・脚本:斉藤優さん=パラシュート部隊)の第2弾公演も8月にプロデュースすることが発表されました。福岡で相次いで舞台をプロデュースするcheluさんに「しゃーSHE♀彼女2」などについて話を聞きました。

目次

福岡での「縁」が生んだ舞台

撮影:重村誠志

―福岡で公演をプロデュースするきっかけはなんでしょうか。

 元々、東京で芸能活動をしていましたが、2011年から福岡市を拠点にした女性3人の音楽ユニット「BASEBALL☆GIRLS」(ベスガ)での活動に軸足を移しました。当初は東京から通っていましたが、その後、生活の拠点も福岡に移しました。2018年、ベスガが無期限活動休止になった後はソロデビューしました。また東京時代から役者としての活動を続け、2018年には福岡市が拠点の「劇団トキヲイキル」にも加入しました。ただ、ベスガの活動休止後は、福岡ではチャンスが少ないと感じ、東京に生活の拠点を戻しました。約6年間の福岡生活の中で金沢さんや斎藤さんなど多くの方とのご縁ができました。それが巡り巡った結果、福岡で俳優を目指す若い世代が表に出る機会を作ることになりました。

「しゃーSHE♀彼女」ゲネプロから 提供:「しゃーSHE♀彼女2」

―今回の見どころは。

 前回に続き、実話をベースに面白く脚色しています。オムニバス形式となっていてAB両チームで14作品を演じます。2作品は両チーム共通ですが両チームの公演を観ないと全貌は見えないかもしれません。前回は男性出演者もいましたが、今回は全員女性。前回以上に「女子のリアル」に迫っていると思います。

東京に負けないものを福岡発で

「しゃーSHE♀彼女」ゲネプロから 提供:「しゃーSHE♀彼女2」

―「しゃーSHE~」はテレビ西日本(TNC)でのドラマと連動しているのも特徴です。

 好評だった舞台が後でドラマ化されることはありますが、「しゃーSHE~」は最初からドラマと同時進行です。お芝居と同じ舞台を使って公演とは別の日程で収録しますが、当然、テレビ用と舞台用で演技や演出は異なります。番組配信もあり、TNCさんの放送エリア外でもドラマ版舞台を楽しんでもらえます。実際に観劇した人はドラマと舞台の演出などの違いも楽しんでもらえます。東京発に負けないものを福岡から全国に発信できることを証明できたらいいですね。

―今回、「しゃーSHE~」公演はABの2チームに分かれていて、出演者は女性ばかり24人。福岡や九州に縁がある人が目立ちますね。手応えや望むものはありますか。

 生っぽい演技が求められるので、それぞれの素を大事に生かせるように、キャラクターが被りすぎないように気を付けてチーム分けをしました。前回の舞台に出演していた人は演出の狙いなどが分かっている分、最初はリードしていたようですが、初めてのメンバーも稽古を重ねてよくなりました。出演者はみんな素直なのが美点ですね。演技指導や演出の狙いの、のみ込みが早い気がします。座組の雰囲気もとてもいいです。東京では芯が強い人が多いのでなかなかこうはなりません。

「しゃーSHE♀彼女」ゲネプロから 提供:「しゃーSHE♀彼女2」

 一方で「この中で一番輝いてやる」というような貪欲さが弱いかもしれません。金沢さんなど一流のスタッフが関わっていますし、テレビでも放送されます。また「こりゃもてんばい」では、TV番組「ゴリパラ見聞録」(TNC)などで人気のお笑い芸人の斉藤優さんとの仕事です。「この現場で結果を残したら、次につながる」といった野心をもっと強く持ってもらえると嬉しいです。

夢は福岡と韓国の合作エンタメ

撮影:重村誠志

―cheluさん自身は昨年11月以降は舞台出演がありません。一方で昨年は「しゃーSHE~」の後に、お笑いタレント斉藤優さんが原案・脚本の舞台「こりゃもてんばい」もプロデュース。今回の舞台の後も8月に「こりゃもてんばい」の第2弾をプロデュースするなど「裏方」での活動が目立ちます。もう表舞台は引退ですか?

 表に立って表現するだけではなく、「仕事を作る」ことも同じように大事だと思っています。いま優先したいのがプロデュース業というだけで、表舞台に立つことを引退したわけではありません。今も劇団トキヲイキルのメンバーですし、劇団以外からでも素敵な舞台のオファーがあれば挑戦していきたいです。歌手としても発売日などは未定ですが新曲「入籍」も準備しています。

―プロデューサーとしての夢はなんですか。

 今後もいろんな企画を考えていきますが、いずれは「福岡はエンタメが強いよね」と認識される一助となれば嬉しいです。そのためには同じ志を持った仲間や協力者、スポンサーがもっと増えてほしいです。また地理的な近さを生かして日韓、というより福岡と韓国合作のエンターテインメントをプロデュースしたいです。

【インタビュー後記】

 BASEBALL☆GIRLSのライブを何度か拝見したことがあります。どのライブでも、所狭しとばかりにステージいっぱいに動き回りながら“応援歌”をテーマにした楽曲を歌うcheluさんのパワフルさに圧倒されました。舞台では「セクシー担当」が多かったのですが、しっかりとした役作りのためか、どんな役でも演技には安心感がありました。特に対話場面での演技には息をのむことが多かったです。おそらく、真面目で真っ直ぐな(そして負けず嫌いな)性格なのでしょう。その印象は今回のインタビューでも変わりませんでしたが、特に強く感じたのは「プロ意識の高さ」です。

 6年過ごした福岡で生まれた「縁」がきっかけとなった舞台のプロデュースについては、「福岡の人たちに、俳優になりたい、舞台に立ちたいという夢を夢で終わらせてほしくないから“出口”を用意したい」と力強く語ってくれました。

 「今日この瞬間を作ってくれたすべてのあなたに感謝」というcheluさんの言葉で終わることが多かったベスガのライブ。今も「縁」に感謝し大切にしながら着実に前進していく姿にその言葉が蘇ります。
 ベスガで活動中も福岡市で活動するアイドルグループの楽曲制作に携わった経験があり、昨年も「HelloYouth」に「僕らの唄」の歌詞を提供しました。今ではHelloYouthの代表曲の一つになったと言っても過言ではありません。

「僕らの唄」ではこう歌います。

きっと 何回も 何回も 何回でも 這い上がる力を
人は 誰も生まれたときから 手にしている
君に 会いたくて 会いたくて 会いたいから 走り続けるよ
いつか見た未来へ
君と見た未来へ

 芸能の世界に足を踏み入れて以来、決して平たんでも思い通りでもなかったであろうcheluさんの姿にどこか重なります。5月に結婚し私生活が新たなステージに入りましたが、「私もまだまだ夢の途中ですよ」といたずらっぽく笑う姿には、「また何か面白い事をしてくれるに違いない」という期待を抱かざるを得ません。

 まずはcheluさんプロデュースの舞台を楽しんでみませんか。

ライター:重村誠志

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