通知表といえば、嫌な思い出が多いかもしれません。私にとっての忘れられない思い出といえば、先生からの嬉しいコメントでした。その言葉は大きな自信につながり、今の私へと成長させてくれたのです。それなのに、わが子の通知表を見ると…。
大好きな図書委員
小学5年生の時、私は図書委員を担当していました。図書委員の仕事は、昼休みと放課後に図書室を開けて、本の貸出と返却の受付をすることです。
本が大好きだった私は、5年生になったら絶対に図書委員になろうと決めていて、立候補をして図書委員になりました。
毎日、昼休みや放課後が待ち遠しくて、チャイムが近づくとそわそわしていたことをよく覚えています。貸出しカードを学年ごとに並べたり、低学年の子に図書室のルールを教えたり、毎日楽しく図書委員の仕事に取り組みました。
自慢の通知表
委員は学期ごとに変わるので、楽しい図書委員はたった3カ月間だけのものでした。もっと続けたかったな、と寂しい気持ちで迎えた1学期の終業式の日。受け取った通知表の先生からのコメント欄には、こんな一文が書かれていたのです。
図書委員の仕事をとてもよく頑張りました。当番の日を絶対に忘れません。仕事を間違えることもなく、低学年の子の面倒をよく見て、楽しんで取り組みました」
読んだ瞬間、私は嬉しさのあまり、ぴょんぴょんと飛び跳ねました。まさか私が1番頑張っていたことを、先生がわかってくれていたなんて! 驚きと喜びで、心は大爆発です。
もちろん、帰宅すると母には一番に通知表のコメント欄を読んでもらいました。
「お母さん、ここ! ここ読んで!」
「すごいじゃない。楽しくできてよかったね」父にも仕事から帰宅するなり見せ、両親に何度も褒めてもらいました。
「さすがだね、えらいね、すごいね」私があまりに喜んでいたからでしょうか、母も父も数日間に渡って褒めてくれました。すっかり調子に乗り、私はえらい、私はすごい、と心の中で繰り返しました。通知表で評価されたということが、とても大きな自信につながったのです。
この時の通知表の成績面がどうだったのかは、全く覚えていませんが、自慢の通知表を書いてくれた先生の顔はしっかり記憶しています。
先生は50代の女性ベテラン教師で、普段から厳しい人でした。他の児童と同じく、私も少し怖いなと感じていたのですが、通知表をもらってからはすっかり尊敬する先生になりました。そんな先生が教えてくれた、なにかを頑張ることで得られる自信、それは今でも私にとって、人生においての大切な指針になっているのです。
それでもわが子の通知表は…
さて、調子に乗ったまま大人になった私も、今では2児の母です。長女は小学3年生になり、学期末には通知表を持ち帰ってくるようになりました。娘はもちろん嬉しそうな顔で自信満々に見せてくれるのですが、親として真っ先に目がいくのは先生からのコメント欄ではなく、もちろん成績。
「ここが前よりひとつ悪いじゃないの!『できない』のところに丸があるけど、なにがわからないの?」わが子が何が得意で、何が不得意なのかを探り出すことに必死になってしまいます。
あの時、私の頑張りを見てくれた先生、そして大いに褒めてくれた両親を、私も見習うべきだとわかっていますが、親として気になるのは丸の数なのです。
さて、今年のお子さんの通知表にはなにが書いてありましたか? 皆さんもやっぱり、丸の数をかぞえてしまいますよね?!
(ファンファン福岡公式ライター / ましまろ)